第33話『模倣者の呼び声』
拠点から数キロ離れた荒野。
ゴルドフ商会の一行は、意気揚々と帝都へ向かっていた――はずだった。
「おい、どうした! もっと速く走らんか!」
後部座席でゴルドフが怒鳴り声を上げる。
だが、運転席の部下は青ざめた顔で計器盤を叩いていた。
「だ、ダメです! アクセルが反応しません!
エンジンの温度計が……ありえません、レッドゾーンを振り切っています!」
「なんだと!? 故障か!?」
「いえ、冷却水が沸騰して……うわっ、黒煙が!」
プススン……ボシュゥゥッ!!
ボンネットからどす黒い煙が噴き出した。
それだけではない。
ガタガタと激しく振動していた車体が、唐突に悲鳴を上げた。
バキィッ!!
凄まじい金属音が響き、車体がガクリと傾く。
タイヤがフェンダーにめり込み、そのまま砂地へと沈んでいく。
「ひぃっ!?」
「な、何が起きた!?」
ゴルドフたちは慌てて車外へ飛び出した。
そこで彼らが見たのは、無惨な姿になった『ギガ・フロスト・ドラグーンカスタム』だった。
自らの重さに耐えきれず、強化サスペンションと車軸がへし折れ、腹を地面に擦り付けている。
まさに「座礁した鯨」だ。
「な、なぜだ……!
さっきまで、あんなに軽快に走っていたのに!」
ゴルドフは呆然と立ち尽くし、熱を帯びたボンネットに手を伸ばした――が、「アチッ!」と叫んで引っ込めた。
目玉焼きが焼けそうなほどの高温だ。
「くそっ、あのガキ共め!
不良品をつかませおったな! こんな鉄屑に何の価値があるというのだ!」
彼は地団駄を踏み、動かなくなった鉄の箱を蹴り飛ばした。
だが、鉄屑はピクリとも動かない。
魔法(運用者)を失った最新技術は、ただの重たくて熱いゴミでしかなかった。
◇
一方その頃。
『――やあケント君!
どうしたの? 面白い話って?』
画面の向こうで、フィアンが目を輝かせていた。
どうやら、俺からの連絡を心待ちにしていたらしい。
「お前、前に『トラックの構造を知りたい』『分解したい』って言ってたよな?」
『うん! 言ったよ!
もしかして、触らせてくれるの!? 分解していいの!?』
フィアンが身を乗り出し、画面いっぱいに顔が近づく。
食いつきは上々だ。
「もっといい提案がある。
『共同開発』だ」
『きょうどう……かいはつ?』
「ああ。俺のトラックは今、悪い奴に奪われちまってな。
だから、新しいのを作る必要がある。
……お前の持ってる『帝国最高の技術』と『素材』。それを俺の『理論』と組み合わせれば、前のトラックを超える最高傑作が作れると思わないか?」
俺の誘い文句に、フィアンの動きが止まった。
数秒の沈黙。
そして。
『――最高だね』
フィアンの顔が、無邪気な子供の笑顔から、マッドサイエンティストのそれに変わった。
『行く! すぐ行くよ! 待ってて!
あ、素材だね? 研究室にあるやつ、とりあえず全部持っていくよ!』
ブツンッ。
通信が切れた。
◇
直後だった。
ズドォォォォォォォォンッ……!!
遥か彼方、帝都のある北の方角から、何かが爆発したような轟音が響いた。
空気がビリビリと震える。
空を見上げると、雲を引き裂いて迫ってくる「何か」の軌跡が見えた。
「……早えよ」
俺は苦笑いして空を仰いだ。
気が早い野郎だ。
まだ「来てくれ」と言ってから十秒も経っていないぞ。
「マスター……。あれ、転移魔法の連続使用による衝撃波です。
災害が、自ら飛んできます」
シエラが遠い目をして空を指差す。
ゴルドフたちが立ち往生している場所のさらに向こうから。
法律も常識も通用しない、規格外の「協力者」が迫っていた。
ざまぁ(報復)の準備は整った。
次は、こちらのターンだ。
次回は
【 日曜日の 18:10 】に更新します!
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