「第41話」会議
土曜の朝、美雪は先日使った装置に問題ないかチェックする。正常なことを確認した。
長老「美雪や、ごはんだぞ。」
美雪「お待たせ。いただきます。」
彩菜「ん。美味しい!さすがね。」
美雪「本当だ!」
長老「まあ、彩菜さんの真似だけどな。」
彩菜「おばあちゃん。これなに?」
長老「海苔と鰹節を醤油で混ぜてみた。」
美雪「ん!天才だわ。。」
彩菜「美味しい!作り方教えてよ。」
長老「いや〜。それほどでも。。」
まんざらでもないおばあちゃんだった。
8時半に全員集まり、空を飛んで村に向かうと20分でおばあちゃんの家についた。
長老「2階で話し合いするから、皆さんはここにいて下さい。村の者は直接2階に入れる。」
美雪「おばあちゃん。ここに扉つけるから、ここから入ってね。みんな入るわよ。」
美雪が扉を閉めると、長老は外に出て待つ。村の妖怪と外階段から2階に上がって行ったようだ。
美雪「音は遮断してあるから話をして大丈夫よ。」
医師「長老以外は、何人かは明らかに妖怪って感じだったな。。」
弁護士「さすがに緊張するな。」
1時間くらい経つと、長老が入ってきた。
長老「美雪。来てくれ。皆を納得させないといけない。」
美雪「どうしたら。。」
長老「妖力が強い奴が偉いんだ。見せつけなさい。」
美雪「なるほど。。分かったわ。ちょっと行ってくるよ。」
美雪が話し合いの場に来た。
役員「お前が雪の子か。」
書記「弱そうだな。」
副村長「何が出来るんだ。見せてみろ。」
美雪「何がしてほしいの?」
副村長「作る力があるのか知らないが、弱い氷の妖力だった美雪の娘なら氷を作るしかないだろう。」
美雪「なるほど。。はい。」
美雪はテーブルに副村長の顔の形の氷像を作る。
書記「うわっ!これは。。す、すごい!」
美雪は火の妖力で氷を溶かすと、闇の妖力で水を空中に浮かし、風の妖力で水球を外に飛ばした。
呆気に取られる村の重鎮をよそに、そのまま美雪は宙に浮かぶと、テーブルを飛び越えて副村長の隣に降りる。
美雪「まだ足りない?」
美雪は役員を宙に浮かせる。
美雪「どこに行きたいですか?ご希望なら月にも行けますよ。」
長老「美雪。十分じゃ。」
あまりの規格外の妖力に言葉も出ない。すっかり怯えている。
長老「みんな。信じられないかも知れないがな。美雪は自分の妖力は一切使っていない。空中の妖力を使ったんじゃ。つまり妖力は無限だ。しかも、美雪は空中から妖力を直接身体に取り込むことが出来るんじゃ。」
美雪が姿を消して、瞬間移動で長老の横に移動する。
長老「安心しろ。美雪は我々の仲間だ。妖怪村を救う能力がある。」
副村長「うむ。すごい。。納得だ。認めよう。」
美雪「私と母を救った人間が7人います。この人達は妖怪のことを決して漏らすことはない。今日3人連れてきている。長老に聞いたわ。あなた達は人間と付き合う時に相手を選ばなかったから嫌な思いをしたの。人間だって付き合う相手は選ぶわ。それも含めて学ぶべきよ。連れてくるわよ。」
美雪が下に行くと3人を連れてきた。
美雪「一応3人とも妖力はあるわよ。」
長老「美雪の友人の彩菜。料理は天才じゃ。治癒妖力は誰にも負けない能力がある。」
彩菜「おにぎり作ってきた。玉子焼きも。良かったらどうぞ。。あら。信用出来ない?おばあちゃんも食べて。」
長老「わしもいいのか。ありがたい。。んー。やっぱり美味いのう。」
長老を見て、他の妖怪も口にする。彩菜の料理にたちまちとりつかれているようだ。
書記「あの、他の2人は。。」
長老「雪が結婚した純一さんと仲良くしてくれた方々だ。雪の恩人だ。」
弁護士「雪さんは素晴らしい心の持ち主でした。」
医師「私達は亡くなった雪さんと純一さんに会うために来ました。妖怪村の場所を言うことはありませんので、ご心配なさらず。」
弁護士「他の人間はともかく、我々とは仲良くして頂けるとありがたいです。我々からです。いい酒ですから是非お召し上がり下さい。」
副村長「分かった。だが、しばらくは私達だけの秘密にさせてくれ。妖怪村が混乱する。」
医師「当然でしょうな。それが正解だと思う。あと、私からの土産です。これを飲むと妖力が一気に回復する。」
長老「飲んでみろ。」
書記「な、何だこれは。。す、すごい。」
弁護士「私達は、妖怪に嫌な思いはさせないと約束します。」
長老「皆、納得してくれるな?今から死者の村に行ってくる。姿消して行くから心配しなくて大丈夫じゃ。誰にも見られることはない。」
役員「姿消す。。どうやって。。」
長老「わしには分からんから、美雪に聞いてくれ。」
副村長「長老が分からないのに、我々に分かるはずがないでしょう。」
美雪と伴に姿を消す長老を見送ると、話し合いは終了となった。
嵐のように去っていった美雪に言葉すら出なかった。




