「第39話」妖食
夕方になり、まず先生がやってきた。
医師「荷物運んでくれて助かったよ。つまみ持ってきたぞ。」
長老「もうこんな時間かい。1日があっという間だ。そろそろ食事を作るか。わしが作る!」
彩菜「あっそう。。それなら、ごはんだけは私が炊くわ。」
おばあちゃんは妖力を使って野菜を切る。長芋を刻み、醤油をかける。
彩菜「へー。何かヘルシーね。おばあちゃん。海苔かけると長芋美味しいよ。」
彩菜はハサミで海苔を切る。
長老「ん?なんじゃ、この黒いやつは。」
美雪「海の藻。草というのか。食べてみて。」
長老「海の香りじゃな。味はあまりないな。ん?もしかしたら。。おにぎりに付いてたやつか!」
彩菜「そう。いろんな使い方あるからね。」
長老がいろいろ作るうちに弁護士さんがやってきた。
弁護士「へー。長老の料理か。。何か怖いような楽しみなような。美雪さんと彩菜さんにジュース買ってきたよ。」
彩菜「ありがとう。妖怪の料理って案外普通よ。トカゲとか出ないらしいから安心して。ねえ、見た感じ美味しそうだよ。そろそろごはん大丈夫かな?」
長老「しかし、ガスは楽じゃな。火力も安定している。確か牛肉の残りあったな。」
彩菜「まだ凍ってるよ。」
長老「火の妖力使えば大丈夫じゃろ。」
美雪「おばあちゃん。表面しか溶けないよ。電子レンジで解凍ってやれば溶けるのよ。」
長老「何と!温めるだけじゃないのか。。すごい機械だな。。」
美雪「おばあちゃん。電子レンジは金属。例えば、メッキしてあるこの金色の皿とか、アルミホイルとかは絶対入れたらダメよ。火花出て火事になる。」
彩菜「あと、生玉子は絶対ダメ。ゆで卵作ろうとかして電子レンジ使うと爆発するから。」
長老「恐ろしいな。」
弁護士「純一確か。。あった。電子レンジの説明書だ。長老。後ろのほうにダメなこと書いてある。また読んでおいて。」
長老「分かったよ。」
おばあちゃんは解凍された牛肉を刻み、野菜炒めに混ぜた。
美雪「そっか。。おばあちゃん妖力使って切るから、凍ってても良かったんじゃない?」
長老「溶けてるほうが使う妖力は少しで済むからありがたいな。」
彩菜「ねえ、おばあちゃん。胡椒入れたら?味見して。」
長老「なかなかじゃ。胡椒っていいな。」
彩菜は塩胡椒を入れる。
彩菜「食べてみて。」
長老「おお、全然違うのう。」
彩菜「ねえ。おばあちゃんの作る料理美味しいわよ。私炒飯はまた今度にするわ。今日はおばあちゃんの料理を楽しみましょう。」
おばあちゃんの作った料理を美雪が運ぶ。全て運ぶとみんなテーブルについた。
弁護士「なんだ。妖怪の食事って美味いじゃないか。」
医師「栄養バランスもいい。だが、若干栄養足りないかな。でも味が薄いな。」
彩菜「これでも足したんだよ?」
長老「妖怪村は食料が少ないからな。食べる目的が寝てる時に妖力が戻りさえすればいいんじゃ。他の者と違って人間と接する機会が多かったから、わしはこだわるが。。確かに他の妖怪は味にはあまりこだわらないな。。そう考えると。やっぱりウナギは私が食べたほうがいいわい。」
美雪「突然ウナギ食べ始めたら変よ。結局は内緒にするしかないのかもね。でも、人間と付き合っているのをずっと黙っておくのは無理だと思う。私達がちょうどいいきっかけになるかもね。私は妖怪の血がある。人間に育てられた。友達が人間って。。土曜日に村の偉い人には言うしかないわよね。」
長老「村の役員に言うのは決めているぞ。美雪の妖力には妖怪村の誰も敵わない。妖力が一番の今の妖怪村だからこそ美雪のことを認めてもらえるじゃろう。土曜日は9時に村に行きたい。昼までに話し合いを終わらせてから死者の村に行きたいんじゃが。」
弁護士「時間は大丈夫ですよ。8時半集合でいいですか?」
美雪「そうしましょう。ごちそうさま。片付けは私がやるわ。」
医師「村では別に早い時間でもない。時間は了解だ。じゃあ、長老。始めますか。やっぱりまずウイスキー?」
長老「それは譲れんわい。」
弁護士「長老の味へのこだわりは、私達以上だな。いただきますか。私は明日から街に行くので、次は土曜日の朝になりますから、今日は楽しみますよ。」
医師「毎日酒は身体に悪いから、明日明後日は酒は無しだ。長老もな。」
美雪「医者の言うことは従うのよ。おばあちゃん。」
長老「さみしいのう。。そういえば弁護士さん。こちらに住むのは土曜日の話し合いの後に決めるよ。もちろんわしの気持ちは決まっている。それに、もし賛同されなければわしは村を出ることになる。そうなれば住むしかないということになる。」
彩菜「なるほど。実質決定事項ってことか。ちょっとお母さんに電話してくるから、楽しんでて。」
彩菜と美雪は今日の出来事を報告して戻ってきた。
彩菜と美雪は畑の1年の計画を庭を見ながら考えている。テーブルでは大人の楽しい宴は続いていった。




