第三話「光の剣、現れる」
(さて、後はあの連中を……)
ドンドンドンドン!
バンバンバンバン!
(うるさいですね……。人の家のドアを何だと思っているんですか)
里奈はドアを叩く音に、うんざりしていた。
(正面から戦うのはリスクが大きすぎる。こうなったら……)
何かを思いついた里奈は、その場を離れた。
「くそ、反応がねぇ!」
「いっそのこと、ドアを壊すか?」
「ダメだ。もしこのドアを壊したら、大きな音が響いて普通の人間に見られる可能性がある」
「チッ……」
(そうだ。ここは田舎で人通りは少ないが、向こうには住宅街がある。もしここで大きな音を出したら、人間どもがこっちに来やがる)
「じゃあ、どうしたら……」
――その時。
「全く、人の家のドアを強く叩かないでください。壊したら責任を取ってくれますか?」
「!?」「!?」「!?」
「どこだ……。上か!?」
三人のうち一人が上を向いた、その瞬間。
里奈は二階から飛び降り、残党の一人に蹴りを叩き込んだ。
「ぐはっ……!」
蹴りを受けた残党は地面に倒れ込んだ。
「なっ……! お前は!」
「源恵里はどこだ!」
「……いません」
「何だと!?」
「嘘をつくな!」
「いません……というより、逃がしました」
「なに!? お前、そんなことをしてただで済むと思うか?」
「そちらこそ、なぜ執拗にあの人を狙うのですか?」
「それは……。あの方の命令だからだ!」
「あの方というのは、あなた方の上司ですか? それとも……」
里奈はその場で手をかざした。
すると、赤銅色と銀色に輝く杖が、彼女の手元に姿を現した。
「2年前に恵里さんを壊した仲間の一人ですか!?」
里奈は怒りを含んだ声で、残党たちに問いかけた。
残党たちは黙り込んだ。
しばらくして、一人が口を開いた。
「だから何だ? お前には関係ないだろう」
そう言うと、残党の一人が里奈に襲い掛かった。
「『技能 弾丸 炎丸』!」
里奈は杖を前に構え、技を放った。
杖の先から炎の球が放たれ、敵に向かって飛んでいく。
そして、炎の球は残党に直撃した。
「ぐわああああ!!」
炎の勢いに押され、残党は吹き飛ばされた。
「なんだ、この技は!?」
「まさかこいつ、五戦ノ国の戦士か!?」
「さあ! かかって来なさい。私が相手です!」
里奈は杖を構え、残党たちを見据えた。
一方、その頃。恵里は……。
「ふう、この先に進めば裏口の方へ着くのかな?」
そう言って、恵里は薄暗い通路をしばらく進んでいった。
すると、天井から一筋の光が差し込んでいるのが見えた。
「あ! 出口かな。上にあるなあ。何か上るための道具はないかな?」
恵里は辺りを見渡し、出口へ上るための道具を探した。
すると、通路の端の方に梯子が置かれているのを見つけた。
恵里は梯子を立てかけ、出口へと上っていく。
そして、外へ出た。
「へえ、まさか芝生の一部が隠し通路の出口になっていたんだ。あ、裏口だ。あそこから出よう」
恵里が裏口へ向かおうとした、その時……。
「待て。見つけたぞ、源恵里」
「!?」
振り向くと、残党の仲間の一人が恵里に近づいてきた。
「……あなたは、さっきの仲間の一人?」
「その通りだ。お前の息の根を止めにここへ……」
「待って。何でこんなことをするの?」
「こんなこととは?」
「私を殺すことだよ。なぜそうなったのか、私には分からない。何故なら、私は記憶がないから。あなたたちと面識もない。だけど、私の名前を知っていて、命まで狙っている。だから多分、記憶がなくなる前の私は、あなたたちと何らかの因縁があったんだと思うわ」
「そうか。なら、ここで死ね」
残党は恵里に襲い掛かった。
(ま、まずい……! このままじゃ……)
絶体絶命のその時――。
恵里の目の前に、光り輝く剣が現れた。
「ぐっ……。なんだ、これは!?」
「え? 何これ?」
恵里は目の前に現れた剣を手に取った。
その瞬間、失われたはずの記憶の一部と技能が蘇った。
(何これ……。知らないのに、記憶にないのに、まるで自分が覚えていたかのように、頭の中にすっと入ってくる……)
徐々に蘇っていく、恵里の記憶の一部と技能。
そして、恵里は目の前の敵を倒すと決意した。
(技能、剣技……。これが私の力。失われた力。これで目の前の敵を倒す!)
恵里は剣を構え、残党に攻撃を仕掛けた。
「『技能 剣技 剣乱』!」
「ぐああああぁぁ!」
激しい剣さばきに、残党はなすすべもなく倒れた。
「ふぅ、た、倒せた……。この力、覚えていないのに妙にしっくりくる。取りあえず、里奈のところに戻ろう」
恵里は里奈のもとへ戻った。
グチャ……。
「……え?」




