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2章 21

王宮からの呼び出しもなく、平穏な日々を過ごしていた。


とはいえ、アマーリエ様と接点を持つ前よりも学園で視線を感じるし、いままで話したことのない生徒からも積極的に挨拶をされる。

単なる同級生だった人から、お茶会やパーティーの招待状を渡されるなど、取り巻く環境は変わっていた。



久々に、パウラ様から放課後に学園のラウンジで話がしたいと誘われた。

クラウディア様も一緒だ。扇やお守りの進捗を確認したかったため、私は快諾した。


「肩飾りとお守りは、順調に進んでますわ。

 リサという、昔公爵家に仕えていた元お針子を取りまとめ役に抜擢しましたの。

 先生として勤めていたこともあるから、弟子たちも集まってくれましたわ。」


パウラ様の明るい笑顔にほっとする。

クラウディア様もうれしそうな笑みを浮かべる。

公爵家に仕えていたのならば、腕前も相当なはずだ。

貴族社会のマナーも心得ているはずだし、パウラ様との連携も取りやすいだろう。


少し言いよどんでから、パウラ様は声を潜める。


「実は、扇作りで職人たちがもめているとの報告が入ったわ。

 商会長がとりなしているけれど、お伝えしたほうが良いかと思いましたの。」


私はクラウディア様と顔を見合わせる。


「なにがあったのですか?」

「扇職人と絵師たちが、それぞれの同業者との連携が取れていないらしいわ。

 この前公爵家に招いたのは、都にいる職人のごく一部でしょう?

 彼らは納得してくれているけど、ほかの方々が反対しているらしいのよ。」


そう言いながらパウラ様は眉を派の字にし、ため息をついた。

同業者との連携が不十分では、成功しないだろう。


「小会長はなんと?」


「何とかして説得して期日には間に合わせる、と。

 でも、難航するでしょうね。

 賛成している職人たちは、無理をしてでも製作するつもりらしいわ。

 反対している職人たちに商会長が聞いても理由を話してくださらないそうよ。

 対処の使用が無いわ。」


パウラ様がここまで困り果てた表情をするのは珍しい。

公爵家息女として切り盛りして見せるとの気概があるからこそ、悩んでいるようだ。


国家規模の儀礼に用いる品を材料や職人の確保から手掛けて発注するなど、パウラ様にとっては初めてのことだ。

当然、うまくいかないこともあるが、今まであらゆることを完ぺきにこなし、才色兼備で何でもできて当然のように周囲から思われてきたため

パウラ様自身も戸惑われているのかもしれない。


「パウラ様、反対している職人たちに会うことはできますか?

 商会長には言えない理由があるのかもしれませんし、直接話を聞きたいのです。」


「私も同席しますわ、お役に立てるかはわかりませんけれど。

 もしかしたら、侯爵家の伝手で解決できることがあるかもしれませんもの。」


目をぱちりと瞬かせてから、パウラ様は柔らかく微笑む。


「二人とも、ありがとう。

 併せてもらえるよう、商会長に依頼するわ。」

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