エリル教修道士ベルツ06
足元でギャングのボスがはいつくばっています。
「すみませんでした。
許してください。
わたしもエリル教の信者なんです。
ほら、これ、免罪符です。
エリル教ではこれがあると天国にいけるんでしょ。
寄付もちゃんとさせていただきます。
孤児院を新しく建てるなんてどうですか。
お願いします。命だけは」
下卑た笑いを浮かべながらボスは懇願してます。
ここまでに強い傭兵や幹部が守っていました。
わてだけやったら、しんどいところでした。
そやけど、カルマはんがいてたら、赤子を相手にするようなもんでした。
最後のボスはわてにまかせてくれました。
部下の強さに対して、本当に何ももっていない男でした。
たぶん、孤児院は見せしめのために潰したんでしょう。
孤児院の子供たちはこいつのつまらない面子のために殺されたのです。
わての目になぜか涙がにじんできました。
「ね、ゆるしてください。
エリル教はすべての人を愛せよでしょ。
わたしは天国にいけるんでしょ」
「ご希望どおり。
天国に行かせてあげますわ!」
わては錫杖を振り下ろしました。
人間が壊れる音がしました。
わては笑いながら泣いていました。
それから、わては孤児院を建てました。
その金はもちろんギャングから寄付いただいたもんです。
そして、その運営資金のために冒険を続けています。
孤児も育って、戦える子も出てきました。
この町の自衛組織にもなっていて、安心して任せられるようになっています。
冒険者の真似事をはじめる子も出てきています。
もう、わてがおらんでも大丈夫でしょう。
だから、今回のクエストに参加させてもらいました。
カルマはんに対する恩返しするなら今しかありません。
カルマはんが帰ってくるまで、この村を守って見せましょう。
命をかけても、です。
すべての人を愛せよ。
ギャングのボスが言った通り、それがエリル教最大の教えです。
それを一番わかっているのがカルマはんかもしれません。
来てみろ革命団。
わては、正門のまえに一人立ちふさがりました。