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158-旅立ち

「ということですから、私は国を渡り歩く冒険者になりますわ!」


 お父様、お母様、お兄様、そしてファーダに使用人の方々の前で宣言した。私は雨降さんの別名の[戦いの女神]の頼みとして、国外で手伝いがあると説明した。


 地球や宇宙やAIの話しをしてもややこしくなるだけですからね。


 以前は妙な形で家を出たので、今度はしっかりとあいさつをしていくことにしました。


 農都襲撃から一月(ひとつき)がたち、皆の生活も普段どおりに戻りつつある。農都の人口集中も緩和され、人通りも落ち着いてきた。


 私も少しずつ冒険者の仕事をしていたのですが、誰がどう伝えたのか分かりませんが、冒険者の皆に初代様を撃退したのが私だということがバレてしまい、崇拝されたり、けんかを売られたりと、正直、居づらい感じになってきたのです。


「ふむ、やはりこうなってしまったか……。好きにすると良いが、週に一度は必ず連絡をよこすのだぞ」

「わかりました。認めてくださりありがとうございます」


 やはりお父様は認めてくれるようです。しかし私に言い渡されたのは連絡の義務でした。クロービ人の方を雇い、私の電報を中継するそうです。


 私が、その方にクロービのシステムで電報を送り、その方が手紙に書き写して宛先に送るということになるようです。その逆もしかりです。


「……そうか、うっかり国をつぶしたりするなよ」

「はい、注意しますわ」


 お兄様は私が変に政治介入することを恐れているようです。良い悪いを見極めて付く勢力を間違えるなということでしょうね、お兄様の口下手にも困ったものです。


「きちんとドレスも持っていくのよ?良い殿方がいたら、ちゃんと連れてきてちょうだいね!」

「ええ、わかりました……」


 お母様は私が何をしに行くのか、本当に分かっているのでしょうか?ドレスはともかく、結婚は……。


 いえ!そのうち皆さんに「私の婚約者はこの方でいいですか?」「妥当!」と言わせてみせますわ!

 

「お嬢は転移が使えるんだから、ちょこちょこ帰ってきてくださいよ!」

「もちろん、ですよ!ファーダもきちんと訓練してくださいね」


 私には転移書があるので、その気になれば、毎日家で眠ることだってできる。サキさんがクロービで転移関連の[金属札]を販売し始めたので、在庫もかなり豊富です。


「それでは、使用人の皆様、行ってまいりますわ」

「「「お嬢様お気をつけていってらっしゃいませ」」」


 私は皆にあいさつを済ませると家を出た。屋敷の外まで見送りに来てくれて、いつまでも手を振っていたので、キリがなさそうなので、脚壁で空へと飛び上がった。


 農都を見下ろしながら、友人たちのことを思い出す。


 アリッサは日本人村に移住して開発を始めるそうです。大工のお父様と縫製業のお母様と共に家族ぐるみで移住するらしいです。


 私が旅をして出会った転生者を日本人村にご招待できる日が来るといいですね。


 ラーバルは私の装備を携えて当主決定トーナメントに出た結果、楽々優勝してしまったそうです。あまりにもな、結果でしたので、装備を通常の物に変えて再戦したそうです。しかし、ラーバルはスペクトル契約の褒美として、魔力増大と身体強化の特性を強化してもらっていたので、それでも優勝してしまったようでした。


 結局、ラーバルは騎士団あらため、魔導機兵団の団長になりました。私の作った鎧を解析して標準装備とするようです。本職の魔導具技師さんが改良し、軽量化と燃費向上をした結果、風属性がなくても30分の飛行を可能にしたそうです。さすが、先輩方の技術は折り紙付きですね。


 アークはトトリアのリウス家に婿養子として入るそうです。家では、陶芸用の粘土を生成し、焼き窯に火が入っている間は、巨大ゴーレムを使った造成工事も引き受けているようです。


 私が会いに行った時は、トトリアがアークの腕に絡みつき、じっとこちらを見てきて居心地が悪かったです。私とアークが婚約者だったことがまだ気になっているようですね。


 そして、ファーダというか、私の家のトレイル部隊は貴族制度廃止で収入がなくなったので、暗殺の仕事を引き受ける商売を開業しようとした。ですが、セントレイト家とバルトレイス家に猛反対されたそうです。


 あたりまえでしょ……お父様達は何を考えているのかしら?


 結局、トレイルは外交部門と調査部門にわかれ、ありとあらゆる情報をかき集める仕事に落ち着いたようです。そしてファーダは、その人たらしな性格を買われて外交部門のトップになったようです。


 お兄様は調査部門のトップです。影のあるところ、お兄様あり……国内で悪いことはできませんね……。


 とにかく、私の親友たちは冒険の旅に誘ったけど、皆それぞれやることがあり、結局私は一人旅と相成りました。


 私は、もう一度農都を見下ろす。


 乙女ゲーの悪役令嬢に生まれた私はすべての物語を終わらせ、ついに本物の冒険者になった。


 さしずめ、[怪力悪役令嬢は冒険者になった]ってところかしらね?


 それとも、[押しかけ転生お姉ちゃんは、妹の作った日本人村に転生者を集める!]


 いやいや[最強令嬢は、物語の世界を渡り歩く!]とかでも良いわね。


 とにかく!わたしのこれからは別の物語!


 さぁ!冒険の旅にでかけますよ!



 最後まで読んでいただきありがとうございました。


 思いつきで始めたこの小説も無事完結することができました。


 総合評価100を目標に書き始めた小説ですが、思ったより評価をいただけたことが、無事に最後まで書ききれた理由だと思います。


 本当にありがとうございました。



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