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ピンチは覚醒フラグです

硬直が解けて振り返った瞬間、そこには悪魔が立っていた___



耳は尖っていて、牙が生えている。背丈は目視2メートル、体格もゴツイ感じで身なりはみすぼらしいthe荒くれ悪魔だった。



「村長...アンタ私達を騙していたワケなの!?」



[ん?あぁ、あのジジイのことかぁ?]



「...!。ってことはまさか...」



[あーお察しの通り殺して俺か化けてたぜ。あんな老いぼれちょっとつかんで遊んだら死んじまった!みんなを守るとか言ってあんな下級魔法しか使えねぇとは傑作だったなぁ!]



「そんなっ...」



あまりの絶望に雅がだらりと力なく崩れ落ちる___



「・・・・」



[あぁん?急に黙ってどうしちゃったの~?もしかして今更逃げたいとか!?]



不快な声でゲラゲラと笑う悪魔。掠れそうな声で泣きながら雅が問い詰め始めた。



「いつから...いつから化けてたの...」



[ンなもんどーでも良くて忘れたぜ〜、数ヶ月前かな?]



雅のすすり泣く声は消え、周囲はしんと静まり返った。ヤバい。これは本気で怒っている。



「ふーん...じゃあ黒影屋敷にあった村長達の集合写真は?ボスタルの村長と焼かれた村の村長はバツ印が付いていたけれど」



急に冷たい声になった雅を見て、悪魔はガキ大将のようにはしゃいで雅を嘲笑する。



[あれもう殺した奴だぜ!焼いた村の奴と合わせて生き残ってるのはあと2人ってことだ!]



[もうおしゃべりもいいだろ?ほーら!お兄ちゃん!妹と遊んであげな!]



「えっ...?」



雅が振り返ると気絶していたソールは白目を剥いて叫びながら木の根を振り払い、雅に襲いかかる寸前だった。



[ははははは!もうお前の兄もすっかり悪魔だな!]



やはり操られていたか。まぁ、あらかた予想はついていたが2人の感動の再会をぶった切って兄貴に殴りかかるのはマズいでしょ...



「マンゴー!GO!」



こんなこともあろうかと俺は雅と悪魔が話している間にこっそりとレタを経由して司令を送っていた。マンゴーが高速で飛びかかる___



『HEY!BOY!This is poison ball! Here you are!(へい!そこの青年!これは毒ボールだ!はいどうぞ!)』



マンゴーが手から取り出したのはヒビキを本気で後悔させた例のボール。無毒だが、食べるとあまりのマズさから強烈な吐き気をもたらし、しばらくトイレから出られなくなる恐ろしいお手軽アイテムだ。



マンゴーの手から未調理の毒ボールが放たれ、ソールの口にシュートした。反射的に操られているソールが噛み潰す__



「おろろろろろろ...マズゥ...」



ソールが吐き出した目の付いた根が伸びている巨大なうごめく種子のようなものをすかさずマンゴーはもう片方の手にはめていたツメで引き裂いた。またもやソールは気を失ったようだ。



俺自身まさか操るための種らしきモノが体内に埋め込まれているとは思っていなかったからこれはラッキーだった。もうソールの悪魔化は止まっただろう。



殺さずに救出も完了!やったね!...となる訳もなく...



[ぐぬぬ...悪魔化を一瞬で阻止するとはぁ...それはとんな薬物だ!?腹を思い切り殴られてもこの種は飛び出さんぞ!]



当たり前ですけど計画をいいだけめちゃくちゃにされて大層ご立腹なようです。だがここで敵に冷静になられるのはかなり不利になるから敢えて当たり前の事を聞いて相手の興奮状態を持続させようと試みてみた。



「そっちこそこんなにこの地域一帯をめちゃくちゃにしようとしておいて!何が目的なんだ!」



勇者なら普通〜に悪魔に対して言う使い古されまくった名ゼリフ、だけど悪魔の反応も予想どうりだった。



[クソヘボ異世界オタクの勇者様...とやらなら察しがつくだろう!?領土を手に入れるためだ!昔から攻め込んでおけばいいものを先代や先々代は【中立】とか【共生】とかばっかりを掲げてバカバカしい...だがまぁいい、取り敢えず今はお前ら全員殺してやる!]



登場シーンから殺す気満々だっただろうがと突っ込むヒビキの横で雅が拳を握りしめた。



「...ない」



[あ?]



「させない...アンタなんかにそんなこと絶対させないっ!」



「チッ、そこでめそめそ泣いてりゃいいものを...」



ゆっくり立ち上がり、短剣に手がかけられる___



「もうこれ以上私から仲間大切な人を奪わないで!」



雅が叫びながら斬りかかる...が、軽く腕で払いのけられて短剣は音を立てて地面に落ちた。



[ゲッゲッゲッ!そーんななまくら刀で俺が切れると思ったか!?]



「マンゴー!」



『あいあいさー!』



更にマンゴーが背後からラビットネイルを本気で振りかざし、悪魔の背に切り傷を負わせた___が、しかし



[痛っ...でもすぐ治っちまうんだよ!]



煙と共にすぐに傷口は塞がってしまった。



「(某ビッグなパーソンみたいだな...)」



「(ちょっとヒビキ!何妄想膨らませてぼーっとしてんのよ!)」



[御三家のうち俺以外はここまで再生能力は無かったからなぁ。人間に手を出すべきではないとかふざけたことをぬかすからぶっ殺したし、森の小屋に越してきた子連れの悪魔と天使の夫婦も殺した...力のある息子を幼いうちに殺そうとしたのに夫婦が逃がしやがった!だが泣き叫ぶ息子の前で殺せたのは最高だったぜ!]



「信じられない...なんて残酷なことを...絶対に許せないわ!」



ポケットから猿騒動の時の折りたたみサイズのナイフを取り出して身構えた。



「ダメだ、短剣より短いソレで勝てっこない!」



「ウヒヒヒヒヒ!遂にヤケくそかぁ!?」



今更止めても雅は止まらないだろう。自分は近接攻撃不可なうえに武器も出せていなし、足も疲労で瞬発力は期待できない。完全な足でまといの自分に何か出来ることは?



必死に思考を巡らせていると道具袋からレタが何かを包んで飛び出してきた。これは...妙花のお守り?



緑色に輝いていたびいどろ玉は燃えるように赤く光っている。



これがこの魔物に勝つ鍵なのだろうか?でも自分で握っても何も起きないし、マンゴーにもレタにも反応は無かった。もしかして...



そう思ってヒビキが視線を上げた先にいた彼女の目は真紅に輝いていた___

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