地下洞窟はボス戦間際の証
地下だから真っ暗なはずだが、不自然にも蝋燭が短い間隔で設置され、どれ1つとして消えることが無く、ゆらゆらと空間を照らしている。耳を澄ましてみても自分達の足音しか聞こえない。
レタが音響を元に空間解析をして地図代わりになってくれたものの、書き表されたのはどこからどう見ても一本道。しかも超〜長い。
体力(生命力)や魔力は減らないにしてもスタミナは足で移動する限り消費されてしまう。雅が走りそうになったのを少しだけ我慢してもらい、早足の移動にした。それにしてもこの距離、心当たりのある距離だ。方角さえ合っていれば...あそこか...
~15分後~
道はまだ続いていた。
「まぁ、走らずに体力を温存したとしても昨日からの移動で足は既にパンパンになるんですけどね」と引きつった笑いを雅の後ろでした瞬間、レタが急に動いて目の前に移動してきた。
「なんだこれ...」
レタの地図に現れたのは巨大な空間。しかも大きさが分かることから扉はなさそうだ。こういうのって開ける恐怖もすごいけど空いてるってのも怖いよね。
横からの図を見ると空間の天井はかなり高くなっている。雅も驚きを隠せなかったようだが、俺と同じ場所を思い浮かべたと思う。地下にこれ程の空間を作れるとすれば___
そう、距離的に俺達が例のボックスから着地した山の地下だ。な
るほど、柔らかいマットのような丘の地下に悪魔の巣があるとは誰も思わないだろう。
嫌な話になってしまうのだが、雅が黒幕の可能性も十分にあるのだ。俺のテントを観察、鋭い洞察力、人間離れした体力、毒ボールに耐える鉄壁の胃袋、昨日の敵は今日の友。じゃあその逆も有り得なくもない。ゲームでもありとあらゆる主人公が騙され、裏切られてきた___
でもまあ、いいじゃないか。危険な考えだけど...
【死んでもう一度始めばいい】
いくらダメな考えだと分かっていても今の雅を裏切ろうとは思わないし思えない。しかも森に入ってからずっと1対1で接しているので雅が殺そうと思えば俺はとっくに殺されているはず...
よって、雅を信じることにした___
*****
「は~いおじゃましま~す...」
勇者とはおもえぬへっぴり腰の消えそうな声で突入したヒビキ。さすがの魔王も「今、なんとおっしゃいましたか?」と改まって聞いてきそう。
これは断じてコミュ障ではない!怖いんです!
それっぽい玉座、需要の欠片もないドラゴンのそれっぽい置物、無駄に赤くてふかふかしたそれっぽいカーペット、四隅に加湿効果のありそうなそれっぽいミニ噴水。the魔王の間と言わんばかりの部屋は、RPG慣れしている自分でさえここまで忠実だと逆に恐怖を感じる。
部屋をぐるりと見渡していると、雅が急に叫びながら飛び出した。
「お兄ちゃん!」
雅が駆けて行ったを凝視してみると、玉座よりもその向こう、4面ある壁のうちその壁だけは全く違っていた。
壁から突き出した太い木の根、それは数箇所に何かを固定していたかのように固まっている。ほとんどの木の根の集まりと壁には既に空の空間ができているが、玉座真後ろの端から少しだけだらんとした手が見えている。
「よかった!生きてるわ!」
雅に駆け寄ると笑顔で兄の手を握っている。
ふぅ...と一安心したが、まだ大きな問題が残っている。
【真犯人は誰?】
ソールは気絶しているようなので一方的に捕えられた感じがあるから被害者。雅も多分違う。じゃあこの木の根?どこぞのRPGだと木の根を操る系の敵がいたが、見た目が結構個人的にアレだったので戦いたくない。だが木の根も動くような気配は無い。
「ヒビキ!危ない!」
「へ?」
取り敢えずさっと右にジャンプしてみた。マンガみたいに「え?」のまま立ち止まったりはしないのがヒビキ流___
と考えた瞬間、背後から鋭い爪が突き出してきた。また顔が一瞬で真っ青になってしまう。
「やっぱり、犯人は貴方なのね...!」
背後から殺されかけた恐怖によって一瞬の硬直が生じた瞬間、俺の背後からは「ふぉっふぉっふぉっ...」と言う声が聞こえてきた___
読者の親方ぁ、やーっとこさボスバトル突入ですぜ!(ここまで書いてる側としても長かった(›´ω`‹ ))




