断じて素人が扱えるモノでは無い。
第5話
一通り悶えてある程度落ち着きを取り戻した俺
は、スッと立ち上がる。
ミルドは武具庫のある廊下から既に姿を消してい
た。
(ど、どうしようかなぁ?俺、この屋敷来たこと
ないんだけど…)
とりあえず、状況整理。
異世界(?)に飛ばされて、名前が思い出せなく
て、挙げ句の果てに腕が金属(?)らしきものになっ
てしまった。
「……色々あり過ぎたな、」
もはや夢オチは望めない。
別に元の世界に未練がある訳ではないし、この世
界感が気に食わないわけではないが、せめて…
「そうだなぁ…せめて、もう少し準備期間があれ
ば尚良かったんだが」
朝食、机の上の色々、財布。全て置きっ放しで来
てしまった。
言っていて虚しくなってくる。異世界転移に執行
猶予なんて有りゃしない。
そして何より、
「この…籠手、なのか?武具庫から来たのか?」
武具庫の扉に触れて再生された両腕なのだから、
恐らく噂のオーフェン家の秘宝の一つである可能
性が高い。
しかしミルドの話では、代々の当主が集めてきた
のは「カタナ」だったはずだ。
それに対して、これは純白をメインに銀の縁が入
った騎士の籠手の様なものだ。断じてカタナでは
ない。
「…とりま、用途が知りたいな。」
とはいえ、出来てしまったものは仕方がないのだ
から、せめて何かの能力がある事に賭けたい。
とりあえず、グーパーをしてみる。すると、まる
で自分の掌の様に体の動きに馴染んでいて、誤差
がまったくない。
続いて掌を互いに叩きつけてみるーー刹那、眼前
に歪みが生じる。
生じた小さな空間の歪みは次第に縮んで行き、や
がて消えた。
(空間を…「こじ開ける」のか?)
先程の応用で目の前の虚空を左右に引っ張ってみる。
ゾワァーーーーーーーーーーーーーーーーーー
色彩がない、自分の存在が抹消されてしまいそう
になる程の「無」。
無性に怖くなってきて両手を合わせる。
すると今の今まであった「無」が姿を消して、通
常の部屋が姿を取り戻した。
「………ッ⁈」
異世界転移の代償を払い過ぎた俺は、膨大な能力
を手に入れたのだった。
読んでくださった方々に感謝申し上げます!
感想orレビューにて、意見やアドバイスお願いします。




