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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、飯テロをする。

 立場のある大人達の難しいお話し合いは、精霊の世界のように単純かつ明朗には進まないらしい。

 ワザと長引かせて居るんじゃないかと、疑ってしまうレベルである。


 そんな事をしても、疲れるだけで誰も得をしない。

 ならば本気でディスカッションをして、必死に討論をしているのだろう。


 アリア程の立場なら、また今回の騒動において完全な被害者なのだから、一方的に命令して、ハイ、終わり。

 でも良いと思うんだけどね。


 両親に似て、マジメなんだろうな。

 損な性格をしている。



 そして同じく親に似てバカ真面目なカノンは、話し合いの途中でもシッカリ役目を果たすべく、アリアに扮した夢魔達の出迎えパフォーマンスをしてくれた。


 その場に俺は居なかったが、時の精霊(クロノス)が時空を捻じ曲げて空から中継を繋いでくれたので、リアルタイムで見ている。


 なかなかの役者っぷりだったよ。



 敬愛すべき国王陛下の無事な姿を見るべく、王都(ディルクルム)から避難して来た人達も、全員でお出迎えをする事となった。


 あまりの人の多さに騎士団の面々が目を白黒させていたのが笑えたよ。

 「街の規模や外観もさる事ながら、住民までこんなに多いとは……! 素晴らしい!!」と感心していたが、残念。

 半分以上は王都の人間です。



 団長殿は(オルトゥス)に到着後、王都(ディルクルム)に残っていた部下に事情を説明され、途中からではあるが、話し合いに参加している。


 王家に叛意を持つ者達を炙り出す為とはいえ、自分達が離れている間に国王陛下が死にかけたのだ。

 王都(ディルクルム)に残るべきだったか、と悔しそうにしていた。


 しかしカノンとアリアに「そんな規模の戦いではなかったから、気にする必要は無い」と言われ、一先ずは落ち着きを取り戻していた。

 表面上は。

 自分達の使命は、王の盾となり剣となる事だからね。


 直接気にするなと言われても、気にせずには居られないのだろう。

 マジメなヤツばかりだな。


 今後の方針が決まって落ち着いたら、王都(ディルクルム)の様子を見させてあげれば良いと思うよ。

 居た所でどうにもならなかったと、受け入れざるを得ないだろうから。



 犯罪者は予定通り、全て‘’スファンクス‘’に移送された。

 現在はギリギリ立ったまま寝なくても良い程度の、スシ詰め状態で各部屋に押し込まれている。

 予定変更前の、最初の約束通りになってしまったね。


 国王暗殺計画を知る、精霊教徒に対する尋問に関しては、今もリビングで話し合っているのかな。

 イシュクの気配があるし。


 ……そう。

 俺が時の精霊(クロノス)元素の精霊(エレミエント)と話し合いを終え、戻って来ても、まだ話し合いが継続中なのだ。

 皆、眠くならないのかな。



 盗み聞きも出来るけれど、結論がなかなか出ない話し合いなんて、聞くだけ時間のムダだ。


 本人達に聞かれたら、シバかれそうな意見だけれど、結論だけ言ってくれたら、俺はソレで十分だもの。

 命令されるのには、慣れているからね。



 どんな辞令が出ても対処出来るように、早めに寝ておくのが吉かな。



 ……理性的な脳ミソは、正しい答えを出している。

 分かっているのだ。


 体力も気力も消耗しているし、回復薬を飲んだ事で代謝が爆発的に上がり、疲労度合いがハンパない。

 元素の精霊(エレミエント)を精霊に変えた事で、一度は回復した霊力も底を尽きかけている。


 早く寝るべきだ。

 分かっている。


 だが、しかし。

 腹が、減った……



  戦は終えたが腹が減り過ぎている現状、何も食べずには寝られない。


 お腹が空きすぎてると、寝付けなくない?

 腹の音がウルサイって理由もあるケドさ。


 血糖値が下がり過ぎると、空腹感のせいで脳が興奮状態になるんだよ。

 イライラして、更に寝付きにくくなる。


 水分程度じゃ、この飢えは満たせない。

 さて、どうしたものか。



 食事は寝る前三時間までに終わらせるのが基本だ。

 胃腸に負担が掛かるし、消化器官が活発な状態になっていると、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下する。


 鬱や不眠症に繋がってしまう危険性もあるから、辞めた方が良い。



 コップ一杯の水を飲んで寝る。


 ソレがベストだ。

 分かっているんだって。



 空腹で眠った方が、成長ホルモンの分泌が促進される。

 もう少し身長が欲しいので、そういう意味でもコレから食事を摂るのは宜しくない。



 ……が、コレは、ムリだな。


 散々悩んだけど、何か食べなきゃ、逆に夢見が悪くて何度も夜中に起きてしまいそうだ。



 夜食と言えば……やはり、ラーメンか。


 健康を考えれば野菜を多めにして、カロリーを低くするために、醤油や塩味にしておくべきだろう。


 だが、俺はガッツリ食いたい。

 今の俺は脂と塩分を欲している。



 醤油だとしても、カツオや煮干しのような魚介ダシだけではなく、ソコに豚骨を追加したい。

 鶏ガラだけじゃダメなのだ。


 コッテリが足りない。

 背脂マシマシの、家系ってヤツじゃなきゃイヤだ。



 でもラーメンのダシって、沢山の野菜や肉を煮込んで出る旨味や糖分をベースに、調味料で塩分を足して作られる。

 ソコに酸味や苦味を加えて、全体のバランスを整えるのが基本だ。


 ぶっちゃけ、素人が手を出して簡単に美味しく出来るものではない。

 「スキル」を使うなり精霊術を使えば、煮込み続ける必要が無いのは有難いが。


 でも一度はチャレンジしてみたかったんだよね。

 この深夜テンションと空腹で、メシマズまでいかなければ何とかなるだろう。


 よし、作るぞ、ラーメンもどき。



 塩分濃度は、煮物や汁物よりも濃くないといけない。

 麺の表面に付着している水で薄まってしまうから、ソレを想定して一.五%にはしたい所だ。


 ……濃い味の方が背徳感増してより美味しく感じるから、やっちゃうか。

 一.八%の塩分濃度。

 なんなら、野菜を多めにして二%でも良い。


 今なら雪下キャベツや白菜もあるからね。

 濃い味のスープで食べる、季節の野菜はきっと美味しいぞ。



 だがしかし、一人前しか作らないと、勿体ないよね。

 手間はどうやったって掛かるもの。


 まぁ、なんなら四次元ポシェットに入れれば良いか。

 時間経過しないんだし。


 こういう時、手軽に作れるインスタントのラーメンって、とても偉大だと思う。



 台所の広さを考えると、大量の野菜や肉でスープを作って、チャーシュー含めた上に乗せるトッピングを用意し麺を茹でて……となると、狭すぎるな。

 キッチンの拡張をしてしまおうかしら。


 「スキル」なら工事の音なんてしないから、ご近所迷惑にはならないし。



 しかも、由々しき事態に気付いた。

 モヤシが、ない。


 みそラーメンにしないから、必須では無い。

 だけど、あったら嬉しいよね、もやし。



 元々この地方って、豆を食べる習慣が無かったんだよね。


 死者へのお供え物だったんだ。

 だから生者が食べるのは、忌み嫌われる行動だった。


 味噌や醤油に加工する為には作られていたし、豆そのままの形でなければ、食べても良いのかもしれないけど。



 だから(オルトゥス)ではまだ、大豆や青小豆の大量生産の体制が整って居ない。

 そもそもノウハウが無いから、収穫量もまだ安定していない。


 ラーメンのレシピが普及するまでには、どうにかしたいな。

 今日は仕方ないし、諦めよう。



 大蒜(アリウム)は盤茎部分を切り落とす。

 ソコから鱗片を被っている保護葉――皮を剥くと、スルリと剥ける。


 玉葱(ウニオ)の皮を剥く時にも同じ事が言えるが、たまに皮の乾燥度合いで剥き難いものもあるから、その時には大人しくチマチマ根気強く剥くしかない。


 今回はペリッと簡単に剥けた。

 ちょっと楽しい。

 手は臭くなるが。



 半分に切ったり発芽葉を取り除いたり、細かい事をするのは面倒臭い。

 皮を剥いたら包丁の腹でベンっと潰して、フライパンに放り込む。


 切れ込みを入れて下処理をした妖兜猪(シルヴァティカ)のバラ肉を、タコ糸で適当に巻いた物をソコに入れて、着火。

 脂を出すために脂肪部分を下にして、暫く置く。


 芳ばしく焦げたニンニクの香りが鼻腔をくすぐる。

 この深夜に嗅ぐには背徳的過ぎる香り。

 もはや暴力である。


 こうする事で、豚肉にニンニクの香りを付けつつ、臭みを消せるのだ。

 豚肉全体に焼き色を付けてメイラード反応を起こし、コクと旨味を加算する。


 このこんがり焼き色の付いた豚肉だけで、十分美味しそうじゃんとは思うが、ガマンだ、ガマン。

 カリッとした脂身部分の、白と茶色のコントラストが食欲を刺激して来るが、抑えねば。



 しっとり柔らかくしたいから、酒と砂糖は多め。

 醤油と生姜(ジンギベル)、あと長葱(ポルム)の青い部分も足して、落し蓋をして煮込んだ。

 視界から消えた事で、少し落ち着けた。


 白い部分は小口切りにするか、白髪ネギにするかで悩むな。

 シャキシャキ食感を楽しみたいし、後者かな。



 スープは寸胴鍋を創る所から始める。

 と言っても、一瞬の事だが。



 ダシ汁の下準備に、大きめのボウルに昆布と鰹節を入れた。


 このダシ用の海産物の仕上がりが、納得いって無いんだよね。

 かと言って捨てるのは勿体ないから、取っておいたのだ。

 使う機会が訪れて良かった。



 海藻類は食べ物認定されていなかったから、全部まとめて海藻(アルガ)と呼ばれている。

 魚は結構、細かく分類されているんだけどね。


 イヤ、海岸沿いに住んでる人以外は皆、まとめて魔魚(ピスキス)呼ばわりしているけどさ。


 海で遭遇した時、気を付けなければならない事が魚によって違うから、細かく分類されたのだろうね。

 地方によって、同じ魚でも呼び方が違ったりしそうだな。



 ワカメにしてもダシ用の昆布にしても、食べ物と認知していなければ、危険な海を漂う黒い不気味な物体だ。


 ゴザの上に並べて天日で乾燥させていたら、ゴミと間違えられて捨てられたし、ソレではと、紐を張って洗濯バサミで留めて干したら、何の儀式をしているのかと気色悪がられた。



 栄養価の面でも天日干ししたかったけど、致し方が無いので、泣く泣く精霊術で乾燥させた。


 椎茸(レンティラ)を干してても、何も言わないのに。

 何故海藻だと文句が出るのだ。


 そもそも、自分以外の人の物を断りもなく捨てるな、という話である。



 魔堅魚(アミア)の肉質が鰹っぽいのではないかと思い加工してみたが、正直、コレが本当に鰹節の代わりになるかは、今でも分からない。


 魚介類は施設で食べられなかったんだもの。


 人工的に再現したツナのオイル煮なら食べた事はあったけど、魔堅魚(アミア)を植物性オイルで煮込んだ物の方が旨味が強く、身がパサついてなくて美味しかった。



 コレだけ美味しいのだからと、鰹節を作ってみたのだが、油分が多いせいか、文献に残っている上品でスッキリとした味わいの鰹節は、どうやっても作れなかった。

 なんか、ギトギトしてて生臭い感じ。


 だからコレは、鰹節としては不正解だと思う。


 生利節、荒節、本枯節。

 精霊術を駆使して、どの製法を再現してみても、上手くいかなかった。



 世界は広い。

 もっと脂の少ない、鰹節に適した魚も居ると思う。


 なので今後また海に行く予定が出来た時には、色んな魚を確保しようと思う。


 それこそ鰹と一緒で、獲れる時期によって脂の乗り具合が変わるだろうし。



 とは言え、今回はガッツリコッテリ系のラーメンスープにするのだ。

 この失敗作の脂ギッシュ節でも、きっと活用出来るに違いない。


 そう思い、濃ゆいダシ汁にさせて貰ったよ。

 水出ししているのに、既に海産物特有の磯臭さが台所に漂ってきた。


 マジで大丈夫だよね?

 腐っては居ないから、大丈夫だと言う事にしておこう!!



 妖鶏(シュケイ)妖兜猪(シルヴァティカ)の骨は水に漬けて、一時間ほど早送りをする。

 血抜き処理をしないと、獣臭くなってしまうからね。


 妖鶏(シュケイ)の骨はサッと軽くお湯で煮る。

 妖兜猪(シルヴァティカ)は、二十分位で良いかな。

 アク抜きをする。


 茹で過ぎると旨味が抜けてしまうし、短時間過ぎると雑味が強くなり過ぎる。


 だが魔物は全体的に、素材の味が濃い傾向にある。

 コレ位の時間で良いと思うのだけど。



 初めて作るのだから、多少味のバランスが取れなくても致し方ないと思えるが、やはり出来れば美味しいものを食べたいじゃない。


 下処理はシッカリしないとね。



 風精霊術で骨を適当な大きさに斬って、ダシ用の野菜各種と下処理した骨、水と同量の酒を鍋に入れて煮込む。


 何時間ずつ経過させれば良いかな。

 蒸発した分だけ、カツオと昆布の合わせダシを入れて煮込むんだよね。


 三十分経過――だと、水かさはソコまで変わらないか。


 一時間経過させ、その度にダシを投入する。


 途中でチャーシューを入れ、弱火に落とす。

 沸騰させたお湯に入れっぱなしにすると、チャーシューが固くなってしまうからね。

 トロトロで箸で持った途端崩れる程に柔らかいのが食べたい。


 十分にダシが取れたかな? と思ったタイミングで、ダシを取った昆布と鰹節も、全てボウルを逆さにして投入をして、三十分早送りをした。

 海産物のダシは煮込み過ぎると、エグ味が出てしまうからね。



 チャーシューを作った時に出た、脂の旨味が溶け込んだお醤油と、ザルで濾したスープを混ぜる。


 一応十八%の塩分濃度にしたが、味を見たら、素材の甘味のせいだろうか。

 丁度良過ぎる好みの味付けだった。


 コレでは麺が絡んだ時に、味気がなくなってしまう。


 先程よりも、少し濃く――鑑定眼で二〇%の濃度になるよう、塩を足した。

 ココで醤油を足すと、風味が悪くなってしまうからね。



 出来上がったスープは時間静止をして、熱々の状態でキープする。

 時の精霊(クロノス)も、まさか料理にココまで自分の力を使われるとは思わなかっただろうな。



 ココで取り出したるは、スパゲッティ。

 カンスイが何かを知らない為に、この世界には中華麺が無い。


 致し方が無いので重曹をぶち込んだお湯でスパゲッティー二を茹でて、ラーメンもどきを生成する。



 重曹を入れたお湯は炭酸ガスが発生するせいで、吹きこぼれしやすい。

 大きな鍋をもう一個用意しなきゃだね。



 ……なのだけど、背後を見れば、匂いに釣られてコチラを覗き込む影が、複数。

 もしかして、人数分作らなきゃいけない?


「……食べたい人〜」


 聞けば全員が勢い良く挙手をした。


 レイラとかフィブレスみたいな比較的若いヤツなら良いだろうが、それ以外の年齢がいってる連中は、この時間から食べて、次の日大丈夫なのか??


 約十人前か。

 ギリギリスープも足りるし、ついでに作ってやるか。

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