清明様の憂鬱 番外編 青龍と天使 ㊽
「天使さん、笑ってないでこの国の歴史について説明しといてくださいね」
「はい」レグがまだ震えながら言った
「お前がしてくれればいいじゃないか?」と言うと
「頭が痛くなるからごめんじゃ、夜中までちゃんと睡眠もとっておきなさいよ」
そういってドアが閉まった
「君にこの国の歴史を説明しろって言われたけど、なんで僕なんだ?」
「わかんない 俺が馬鹿だからだきっと」俺は毛布の中に入りながら言った
本当は以前の都知事が鷹匠だと思っていてあいつが切れたんだ
裕次郎は強いしそのお兄さんだし漁船で新聞にタカ派とか書いてあったから
タカを飼ってる人と勘違いしただけなのに・・・・」俺がブツブツ言ってるとレグは慰めてくれて
分かりやすく説明してくれた。
「差別主義ってへんだな」俺が言うと「僕もそう思う」と言った。
「俺たちは戦うけど向かってくる奴だけだ、人間は手の数も足の数も同じで俺たちから見ればみんな同
じなのにふしぎだな」
「それより君、さっきからなんで回ってるんだ?」
「ああ?」俺は毛布を抱えてぐるぐる回っている
「これ 緊張したときの癖だ」思わず言うとレグが優しく「おいで」と言ってくれた
促されるままくっつくと、本当に魔法の様に気分が落ち着いて来た
不意にあの街を思い出した、あれは話したほうがいいんだろうか
「お父さんとはこんなふうに話した?」 「ああ小さいときはね」
レグは俺が親を知らないことを妖怪の大半がそうであることを知っている
あの冷たい街を思い出した
細い路地と石畳ツンと取り澄ましたように冷たい朝の空気、それを優しくとりなすような
濃密な霧、少年のレグは父親と笑いながら歩く
あの町はそんなふうな平和さに穏やかな愛情にぴったりと合っている
「どうした?」レグが突然聞いたので「うん」と我に返った
「ひなたで寝てるネコを見たことある?」
「なんで急に?」レグが言った 「君、動物の言葉がわかるのか?」
「少しだけ、ほんの少しだ、日向で寝てるネコは暢気に見えるだろう、でもほんとはネコは
安全じゃない、上の階から水をかけられた」
俺はそこで黙った
(自由であると同時に追いつめられているんだ、この街にいるだけでレグはつらかったはずだ)
「その時、ネコに教えた?」
「もちろんたたき起こした」
「よかった」言いながらいつものように髪をなでた
「じゃあ猫は助かったんだ」
「うん」 そういいながら頭をくっつけて言った。
「レグも必ず大丈夫だ」俺は目を閉じてそう言った。




