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優しく触れて、すぐにふわっと離れたそれ。
触れた部分がドキドキ言ってて、私は瞬間的すぎてわけが分かんなくてパニックになる。
「え……?」
今、した?
キス、しちゃった……の?
「コラ、目閉じて」
まだ現実味を帯びてない私に、ちぃくんが無茶な催促をする。
「や、無理、え、え?」
パニック続く私に、ちぃくんは意地悪くもやわらかな弧を描く笑みを浮かべる。
「じゃ、目隠ししたげるよ」
言うなり、ちぃくんの右手が私を掴んでた手を離すとそのまま顔に伸びてきて、目に被さったそれで私に暗闇を作った。
「ち、ぃく、ん!?」
「黙って」
それだけ告げると、ちぃくんは私の唇にまたキスをする。
1度、2度、3度……
優しくゆっくりと重ねては離れて、4度目に頬にキスをして私から離れた。ゆっくりと退けられた手に、私はいつの間にか閉じてしまっていた瞳を開ける。
まぶしさに目がくらんでいたら、私の上から退いたちぃくんが私の身体を引き起こして、ぎゅっと抱きしめた。
「ごめん」
目がくらんだままの私は、そのままポスンとちぃくんの腕の中に収められてしまって、目の前はまた暗くなる。こんな風に抱きしめてもらうのは本当に久しぶりだ。
今したばかりのキスに。
近すぎるちぃくんとの距離に。
ドキドキし過ぎて止まらなくなる。
「ごめん。我慢できなくて」
「や、あの」
「ごめん、ね」
ギュウって抱きしめられて、私は戸惑った。
だって、だって。
恥ずかしかったけど。
してほしかったのは私も同じで。
それに――
「うれし、かった、です」
嬉しかった、本当に。
とっても。
言葉じゃ上手く伝えきれないけど、触れてくれたことがすごく嬉しい。ただその気持ちしかない。
「私、なんかと。したくないのかなって」
「馬鹿。なんかなんて言うなよ。ずっと我慢してたのに」
私の言うことに、ブスッとふて腐れたちぃくんが横を向いた。ようやく明るさに落ち着きを取り戻した私がちぃくんを見ると、視線を合わせてくれない。
「はぁーあ。ことちゃんのせいで、俺の計画大失敗」
「え?」
「こんな襲うみたいにするつもりなかったのに」
「おそ――!?」
「それに、9月までは我慢しなきゃと思ってたのに」
「え?」
訳の分からない言葉に私はただ、え? と疑問ばかりを口にする。
そして極めつけには……
「ことちゃん、誕生日が3月とか、遠すぎるし」
そう言って、はぁーとため息をついた。
誕生日? 3月?
なんの、こと??
「ちぃくん。あの、意味が分かんないです」
考えても意味が分からず、とぼけたつもりもなく真面目に質問をした。けれどちぃくんはすぐには答えくれずに、私の手を離し他かと思えば体をクルリと回転させてくる。
「わっ」
突然ちぃくんに背を向けさせられてバランスを崩すと、ポスンとその腕の中に倒れこんでしまった。
「ひゃっ!」
思わず声を上げると、ちぃくんの手が私のお腹に回されて、ギュッと引き寄せられる。ちぃくんの胸が、背中に当たってドキドキしすぎておかしくなりそうだ。
「ち、くん」
しどろもどろに名を呼びながらも、顔が熱くなっていくのが止まらない。
「そのまま、聞いて?」
優しいトーンの声で、耳元で囁かれる。それにまたドキドキが加速する。ちぃくんの声も、温もりも、全部全部。私を震わせて仕方がない。
「俺はね、19なんだよ」
そんな私に、ちぃくんは答え何だろうけれどそんなことを言い始めた。
「じゅー、く?」
「うん。19歳。で、ことちゃんは15歳」
「はい」
「未成年でもね、19と15じゃ大きく違うんだよね」
「はぁ……」
そりゃあ4つの差は大きいだろうって思いながら、頷いた。
けど――
「はぁ……ことちゃん分かってないよね。18歳未満の人間には基本的にイカガワシイことしちゃダメなの」
「い、イカっ!!?」
恥ずかしい言葉に舌を噛む。そんな私を背後から見下ろすちぃくんは、耳元でクスクス笑いながら続ける。
「うん、そう。だからね、俺我慢してるんだよ、これでも」
「がま、ん?」
「うん」
頷いて、キュウっと私を抱きしめて、ちぃくんは私の右肩に顔を埋める。
ちぃくんの香りが近くて、眩暈がしそうになる。赤くなる頬がさらに熱を持ったのを感じて、きゅっと目を瞑るとさらにすごいのがやってきた。
「キスしたら、もっと、ずっとその先も。求めてしまうから」
歪曲だけれど、思いのほか直截なその欲求を漏らしながら、ちぃくんはちゅうっと音を立ててこめかみにキスをした。




