77.ビー、ドローン操作は難しいの。
ドローンの操作難しいです。
* * *
(ほう、面白いのう。何らかの操作が入っておると思っていたのじゃが、やはりのう。詳細分析にかけてみて初めて判るレベルとはのう、ふむ。わしらと同水準の者か、はたまた、すなおに観察者がやったものと言うべきか、地球の情報はどうなっておるのじゃ)
(申し訳ございません、ミネラさま、地球の情報は座標だけで人に関するものは何一つありません。その情報も相当に古い物にございます)
(ふむ、種族記憶への流入情報を制限しておるのか、であるなら、論理セクターを持たぬ者たちやもしれぬのう、ビーやわしらのシリーズでは情報制限など出来ぬからのう。第一、第二の初期シリーズの者たちの仕業やもしねぬ)
(遺憾ながら、私 たちと同水準の者たちにはこの宇宙では出会えておりません。重積世界ならばございますが)
(じゃが、それは時間の環の一コマに過ぎん、近接重積世界では今この世界にいる我らと既に統合されておる。我らシリーズ誕生時に因果律への干渉によって対策済みのはずじゃ。我らの優位性が失われてしまうからのう、ある程度離れた世界でなければ出現できん。じゃが、因果律からの影響を逃れた領域ならば可能じゃが、果たして、そんな遠い処からやってくるものが居るとは思えんしの。恒星二つ三つ使っても難しいじゃろう、中規模程度のホワイトホール使えば何とかならん事も無いがのう)
(・・・観察者でしょうか)
(そう思ってもまちがいないじゃろう、じゃが、その変更は人に対して悪影響を与えるものなのかの?)
(いいえ、特に資質などへの大きな影響は認められませんでしたが、若干、好戦性が抑制される傾向にあるようです)
(なんと、人の歴史は戦争の積み重ねじゃというのに、これ自体が押えられたものじゃったと言うのか?)
(はい、そのようです)
(なるほど、本来であれば、より苛烈じゃったわけじゃ、とすれば、意図は決まってくるのう、文明の進行速度の低下を狙ったものじゃな、文明の成熟期間を長くする為じゃろうのう)
(ミネラさま、なにか対処が必要でしょうか?)
(いや、特に人に対して悪い物ではないので放置じゃ、いまさら、変更部分を戻しても大差ないじゃろうからのう。それより、パートナー殿じゃ)
(大地さまですか?)
(うむ、今、ビーの体を使っておるのじゃろう、これはもうどんな状態か、確かめねばなるまいのう、きししし)
ミネラは少し下品な笑いを立てる。そのなんとも嬉しそうな様子に、少し引き気味のツバイだった。
* * *
中身が大地のビーは、今大地のマンションに戻って来ていた。試合開始、早々に桃がダウンしてしまったので、これ幸いにと、桃を保健室に運び込んだ後、大地はさっさと帰ってしまったのだ。
中身大地のビーの他には、部屋には誰も居ない。大地の体はまだ調整が必要の様で月から戻っていない。
コタツに入っているビー(中身大地)の顔は緊張しているようである。その目はコタツの上の一点を見つめてい た。コタツの上にあるのは、何時もの見慣れたビーのドローンだ。1機だけ、ぽつんとあった。こうして見ると不思議な物体である。ガラスで出来たピラミッドの中に黒い目玉のようなものがありそれが絶えず動いている。良く見ると中で回転していることが判る。それが回転しながら少し中央からずれるため、きょろきょろしているように感じるのだ。
大地の頭の中にツバイの声が響く。
(大地さま、イメージです。まずは、大地さまの頭からドローンに線が延びて行って繋がる事をイメージして下さい。)
(うん)
大地は、ツバイからドローンの操作のレクチャーを受けているところだった。
(静かに目を閉じ、先ほどのドローンを思い浮かべます)
大地は 目を閉じ、ドローンを思い浮かべる、が、直ぐにドローンと連想してビーの顔を思い浮かべていた。朝のシャワーの事を思い浮かべでもしたのか、少し赤くなっていた。
(大地さま、駄目です、駄目駄目です。私どもが気になっていても、今は集中して下さい)
ツバイには、大地が思い浮かべた事がわかっているようであった。
(くすり、あんまり、雑念ばかり思い浮かべていると、私、大地さまの体で、組み伏せちゃいますよ)
大地はとたんに雑念を振り払う。自分に迫られるのはなんとしても避けたい。
(ツバイさんならやる。真面目にせんと不味いやん。悪戯するのは良いが、されるのは御免や、いや、するのも不味いんやけど。)
今度は何とかイメージ 出来た。大地の頭からドローンに線が引かれた感じである。コタツの上のドローンが小刻みに震える。
(線を辿って、意識をドローンに飛ばして下さい)
大地はゆっくりと、頭の中で引かれた線を辿る。ドローンに辿りついた処で急に光に包まれた気がした、目を瞬かせると、辺りに急に色彩が戻ってくる。しかし、何時もの見慣れた景色と違う事に気がつく。360°全てが見渡せた。そこかしこに、矢印が表示されており見慣れない文字が表示されていることに気がつく。矢印の一つに意識を向けると、画面が急に拡大され、その物体が大写しになった。先ほどまで見ていた映像は少し色あせた状態で、バックに映っている。
(どうですか?廻りが見えますか)
(ああ、見えるで 、これがビーが見てた世界なんや)
(そうです、実際には、そんな映像を200程度、平行に処理しておりました。今でも、ドローンの数は減りましたが、100機ほど稼働しております)
(200!、減っても100なんや)
(はい、今はその意識の大半を人の体に振り分けられておりますので、稼働は100にまで落ちています。しかし、その気になれば、500機程度まで可能です。簡単なのですよ、大地さまは歩く時、一々、右足だして、左足だしてって指令を出さないでしょ?それと同じなのです。分散処理をしているのです。まあ、少し人とは構造が違いますから)
(だから、大師さまも頑張って数機の運用できるようになりましょう。まずは、1機からです)
お読みいただきありがとうございます。




