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49.ビー、困惑。未来からの訪問者。

評価されると嬉しいものです。評価ありがとうございます。

お気に入り登録もあるがたい。

そもそも、読んでいただけるのがうれしいです。

アクセスゼロは悲しいです。

 ここは大地のマンション。少女が扉の前に立っている。


 呼び鈴を押そうか、押すまいか、すこし逡巡しているようである。

 

 左の眉の上の髪がくせ毛でぴょこんと立っていてどこか笑顔を誘う。着ている服はこの町では見かけない紺色のセーラー服で緑のスカーフが風に揺れていた。

 

 背丈は150センチには届いていない程度、制服から、中学生のようだが少し低く感じる。その表情は困った顔をしているが、期待にも満ちているように見える。


「梓が急に来たら、パパ、驚くですぅ~。うふふ。どんな顔するのかなあ。ちょっと楽しみですぅ~。昔は、こんなとこに住んでたんだ~。あとで案内してもらおっかな。梓の為なら、パパ連れてってくれるもんね、えへへ」

 

 笑顔が非常にまぶしい少女である。背の低さも相まって非常に可愛い、まるでリスのような印象を与える。


* * * 


 部屋中には大地とミネラの二人だけである。

 

 刹那は、学校の授業が大事と、1月の中ごろに帰っていった。一緒にミネラも付いて行き、今では大地の実家に住んでいる。どのように両親を説得したのか気になるところではある。


 昼間は暇と言うことで知り合いの多い大地のところに来ている。もちろん、転送でだ。大地のところに滞在中、ミネラもずいぶん近所に知り合いが増えたようだ。ビー団にも頻繁に出入りしているなど、一人で散策を繰り返しているらしい。


 ビーは学校に行っていて今は居ない。大地は、今日は、たまたま会社の創立記念日で休みなので朝からのんびりしている。


 大地とミネラは二人っきりになるといったことは今まであまりなかったが、気にする風もなく二人ともいつもどおりのんびりとしたものだ。まあ、幼女相手にドキドキする特殊な人ではないのであたりまえか。

  

 ミネラの外見は完全に幼女である。小学校5年生くらいだろうか、人によっては幼女の定義は就学前までと言われる方が多いようだが、それによると少女と言う部類に入るのだろうか。幼いことには違いない、どちらでもいいが。

 

 二人してこたつに入ってテレビを見ている。テレビに映っているのは、相変わらず、芸能人がくっついただの、分かれただのといった、どうでもいいニュースが流れていた。

 

 外見的には幼女であるが、内面的には大地より遥かに成熟した女性であるので、すこしずれているが、たまには、本当に極、たまになのだが、真面目な話もする。


「のう、パートナー殿」

 

 ミネラが大地を呼ぶとき、大抵、パートナー殿と呼んでいる。偶にふざけて、大地ちゃんと呼ぶことがあるがまあ、稀なことである。あの容姿のミネラから大地ちゃんなんて呼ばれると非常に照れる大地である。

 

「なんですか?ミネラさん」

 

 大地はいつもミネラさんで通している。しゃべり口調もすこしだけ関西弁が也を潜めている。ビーのお姉さんなのだから当然と大地は考えているようであるが、ミネラはもう少し打ち解けた呼び方にならないかと思っているようだ。二人ともどっちもどっちだ。

   

「パートナー殿はどうしてこの町に来たんじゃ?」


「俺は・・・、ミネラさんはどうしてやと思います?」

 

「質問に、質問で返すのはどうかと思うが、そうじゃのう、何か不祥事でもしでかしたって処かのう」

 

「左遷ってことやね?」

 

「うむ。そんなところじゃ」

 

「そんなようなものですが、ちょっと違います。そんな大した話ではないんやけど、秘密です」

 

「秘密なのか?、うむ、気になるのう」

 

 ピ~ンポ~ン。

 

「お、誰か来たようじゃな。とりあえず、追求はまた今度じゃ」


 ははは、と軽く笑いながら玄関に出て行く大地。


「は~い、どちらさんですか~」


 チャイムに答えながらドアを開ける。


 ガチャリ。


「パパ~。会いたかったですぅ~」


 そこには、ぽあぽあした雰囲気の肩までかかる少し茶髪の女の子が笑顔で立っていた。扉が開くと同時に大地に抱きついている。


 大地はぽかんとしている。


「パパ?」


 女の子が怪訝そうに覗き込んでくる。


(可愛い。凄い綺麗な子やなあ)

 

「君は?」


「あ、そっか、パパには判んないよね。そっかそっか。あたしはね、パパの娘の水無月梓みなずきあずさだよ。会いたかったですぅ~」


 大地のお腹に抱きついた状態で自己紹介を始める。

 

「え~、そんなあほな。そんな、冗談、言わんとってや」

 

「嘘じゃないもん。梓はパパの娘だもん」

 

 ぷいっと横を向く梓。

 

「パートナー殿、どうしたのじゃ?その娘は」

 

 ミネラがこたつから立ち上がり、大地に近づいてくる。

 

「あ~、若~い、小さ~い、可愛~いですぅ~。ミネラおばさんですぅ~」

 

 だだだだだ~と玄関からミネラまで走って抱きつく。抱きつきながら、ほっぺたを合せてすりすりしている。

 

「ええい、やめんか。なんじゃ?お主、だれじゃ?ふむ、お主、時間軸ずれておるではないか」

 

「え~、もう判ったの?流石はミネラおばさんですぅ~、凄いですぅ~」

 

 大地は暫くぽかんとしていたが、ミネラの言葉から判った様だ。

 

「時間軸がずれって、それ、タイムトラベル?」

 

 パンパカパ~ンとラッパの音が聞こえてきそうなくらいの大げさな動作で大きく両手を広げて大地に掲げた。

 

「正解だよ~。パパも判ったのね~。あたし、未来からやってきちゃいました~」

  

 笑顔で答える梓。

 

「君、靴、靴」

 

「あ~、ごめんなの~、つい、履いたまま上がっちゃった。てへ」

 

 ててててて~と玄関に戻ってきて靴を揃える梓。

 

「揃えないと、ママに怒られるからね、ちゃんと揃えなきゃね。パパ、靴のまま上がった事、ママに言わないでね、お願いですぅ~」

 

「ママに言わないでって言われても・・・。その、ママなんやけど、それって」


「ママ?」

 

 梓は不思議そうに聞き返している。


「やっぱり、ビーか?」


 梓はきょとんとしている。

 

「ん?そうだよ~、なに当たり前のこと聞いてんの?」

 

「そうか、俺ってビーと結婚するんか、そうか、そうか」

 

 ミネラが横から否定の言葉を告げる。

 

「パートナー殿、それは違うぞ」


 慌てて、否定する梓。

 

「違わないよ~、パパはママと結婚するんですぅ~。ミネラおばさん、嘘、言わないでよ~」

 

「お主はちょっと黙っておれ。ややこしくなるでの、時間は複雑なんじゃ」

 

 ミネラはこたつにもどってよいしょと声を出して座った。ちょっと年寄りくさい。そして、手でこいこいとばかりに二人に手招きしている。その手に誘われて大地と梓がこたつに入る。

 

「その梓とか言う者にとっては、パートナー殿とビーが結ばれるのは確定している事実じゃ、しかし、パートナー殿にとって梓が生まれてくるかどうかは判らんのじゃ、パートナー殿にとって未来じゃからまだ確定しておらんのじゃ」

  

「なんか、複雑やね。俺にとって未来やから不確定でその子にとっては過去だから確定ってこと?」

 

「そうじゃ、未来への分岐点は無限にあるのじゃから、どうなるか判らんのじゃ」


 梓はぷくっと頬を膨らませて抗議の声を上げる。なんか可愛い。

 

「ミネラおばさんの意地悪~」

 

 やれやれって言った感じでミネラは話した。


「意地悪ではない、事実じゃ、お主が来た時点で、だいぶ確定度が上がったかもしれんがの。でもまだまだじゃ」


 大地にはあまり理解できなかった。未来から来ているわが子と言っている梓にどう接していいかもわからなかった。わからない事だらけだった。


「パパ、パパは、パパですぅ~、梓にとってパパなんですぅ~」


 なかなか自由奔放に育っているらしい。

 

「まあ、いいか。で、その、梓ちゃんでいいのかな?」


 大地は部屋の隅においてあるポットから急須にお湯を入れながら聞いている。お茶を入れようとしているのだが、お茶っ葉がどこかに行ってしまっているようできょろきょろしている。


「梓ですぅ」


 見かねた、ミネラがそこじゃと指を刺した。こたつ布団に隠れるようにして茶筒が転がっていた。


「その、梓は何しにこの時代に着たんや?」


 茶筒を拾い。今度は開けるのに苦労する。ぽこん、と言う音と共に外ふたが開いた。内蓋をゆっくり外して中の茶葉を小匙で急須に入れる。順序が逆だがこの際仕方がない。


「秘密ですぅ~」


 その言葉を聞いたミネラが眉を顰めて言葉を放つ。


「また、秘密じゃ。よう似ておるわ。お前たちは親子じゃよ」


「ふふふ。親子だもん」


 大きさの違う湯のみ2つにお茶を注いでひとつは梓の前に、もうひとつは自分の前に置く。ミネラは甘くないのはいらないらしい。


「しかし、よくタイムトラベルが出来たものじゃのう。わしらの特殊遺伝形質は伝えられんはずじゃが、ん?そうか、パートナー殿のせいか」


 突然、自分のことを言われた大地はちょっと焦る。


「俺?俺のせいって?」


 ミネラは得心の入った顔で説明を続ける。判ったことが得意そうである。


「パートナー殿は頭に障害を受けた時に、ビーのスーパーコアの移植を受けたじゃろ?それが原因じゃ」


 大地はそんなこともあったな、と思いながら、お茶を啜っている。


「スーパーコア?」


 梓には始めての言葉なのかすこし不思議そうな顔をしていた。


「うむ。スーパーコアが徐々にパートナー殿の細胞をわしらのものに作り変えていったため、最終的にわしらと同格の細胞資質となったのじゃ、その為、わしら種族同士での繁殖と同じになったはず、その為、遺伝形質も伝えられたのじゃな」


 梓を見ながらミネラはにっこりする。


「わしらの長い歴史の中でもなかった特殊な例じゃな。そもそも、スーパーコアを移植するなど早々ないことじゃがな」


 なぜか、梓は照れている。


「えへへ」


「梓はどこまでの能力を受け継いどるんじゃろうな、なかなか興味深いのう」


「梓ね、タイムトラベルのほかにサイコキネシスやテレポーテーションもできるですぅ~。でも、パパもママも透視が出来るのに、梓はできないの、なんでかなあ」


「それだけでも、もう超人類じゃな。透視が出来んのはたぶん、心的要因によるものじゃろうのう。無意識のうちに押さえとるのじゃないかと思うのじゃ。年頃のようじゃしな。その他にはなにができるのじゃ?たとえば、亜空間繋げるとか、一度見たものは忘れんとか、計算は瞬時に出来るとかはどうじゃ?」


「亜空間はちょっと無理ですぅ、でもね、結構記憶力はいいよ、それに計算もできるよ。でも、学校ではいつも怒られるんですぅ~。答え書いたら何時もバツなの~、計算途中が大事だって、そんな事いわれても、判るもん仕方がないじゃない」


「ほう、そうか、わしらは宇宙空間を渡っていくのに高度の計算が必要じゃからな、軌道計算とか空間歪曲エネルギー計算とか瞬時にしないと駄目じゃからあたりまえじゃな」


「それじゃあ、数学以外は成績はいいんや」


「う~、だいだいいいんだけどね、記憶力がいるものはいいんだけど・・・、体育とか美術とかさっぱりですぅ~」


「ふ~ん、まあ、俺もあかんかったからいいんとちゃうか?」


「本当に?やっぱりパパだ。パパと同じ事言うね」


「そうなんや、その、ママはどう言ってるんや?」


「・・・ママは、ちょっと怒りっぽいの。なんでも出来なきゃ駄目って言うの。ママの若いころは出来たって。本当かどうかは判んないけど。だから梓、見に来たの。あ、言っちゃった」


「そうか、ビーは教育ママさんになるんか~、想像できんけど。でも、ビーは結構出来る見たいやで、本当に」


「え、本当、本当に本当?ママを庇ってないのパパ?」


「本当、本当。でも美術は苦手みたいやけどな。生徒会にも入ってるみたいやで」


「生徒会?知らなかったですぅ~。見てみたい。パパ、見てみたい」


「ちょっと行って見るか、ミネラさんはど~する?」


「もちろん、行くのじゃ。行くに決まっておるじゃろ。それに、わしがおれば、光の偏光制御が出来るでな、ばれずに学校に入れるのじゃ。まあ、ビーには気づかれるじゃろうがな、問題ないじゃろ」


「やった~」


 大地、ミネラ、梓の学校訪問珍道中、どうなることやら。


お読みいただきありがとうございます。

ちょっと短かったですね。すいません。

書きたいこと、どんどん書いて、途中経過を疎かにしてしまう悪い癖です。

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