33.ビー、大地兄妹のどつき漫才をみる。
昨日、熱中症になりかけました。炎天下に外で作業してますと急に頭が痛くなって。木陰で頭濡らして休みました。熱中症にはご注意を。
ミネラが指し示したマンションを見て
「へ、あそこなの。あそこには私のお兄ちゃんもいるんだけど、偶然ねえ」
「行ってみようとするかの」
刹那の手を引いてずんずん進むミネラ。
「ここじゃ」
紙で作られた手製の表札には『水無月』と書いてある。
「え、ここなの?ここって、お兄ちゃんの家なんだけど」
二人とも顔を見合わせる。
「刹那お姉ちゃんもここが目的なのかの?」
「うん、ここ」
「これはもう偶然ではなく必然じゃな、ふむふむ、まあ、これも縁じゃ、中にはいるとしようかの」
ピンポ~ン。刹那が呼鈴に手を掛けチャイムを鳴らす。中でごそごそ言う音が聞こえる。
大地は完全に夢の中であった。昼過ぎだと言うのにパジャマのまま、まだ寝こけていたのだ。
「ダイチくん、ダイチくん、誰か来たの、お客さんなの」
「う~ん。ビーでてくれるか~」
「もう、しょ~がないの。ビーが見てくるの。はいは~い」
そそくさと玄関に向かうビー、その姿は怪獣の着ぐるみパジャマのままだ。尻尾がゆらゆらかわいい。
「どちら様なの~」
鍵に手をかけ明けるビー。そこに吃驚した表情の刹那と顔を合わす。
「お兄ちゃんは何処?あなたは誰?」
「お兄ちゃん?・・・ビーはビーなの」
はてなマークのビー。
「お兄ちゃん、いるんでしょ」
「うあ?お兄ちゃ?えー、この声は、刹、刹那か?、まずい!、まずいやん」
慌てて飛び起きる大地。
「おう、刹那やんか、どないしたんや」
何食わぬ顔で玄関に現れる大地。その姿、髪は、ぼさぼさの寝ぐせだらけのパジャマ姿、ズボンの片方の裾は膝まで捲れあがり胸のボタンは2~3個外れている。
「どうしたもこうしたもないわよ。その子誰なの?」
「ああ、この子か」
ビーは刹那の剣幕に気押されたのか大地の後ろに隠れるようにして立っている。腰にしっかとばかりにしがみ付いている。顔が半分だけ出て刹那を恐々覗いている。
消え入りそうな声で先ほどの言葉を繰り返している。
「・・・ビーはビーなの」
「この子はビーや、とりあえず落ち着け」
「お兄ちゃん、こんな小さい子と住んでるの?同棲?不潔、もう、信じらんない。この子、中学生ぐらいじゃないの、中学生に手を出すなんて・・・」
「とりあえず、中、入れ、中に。ん?君は」
そこで初めて扉の陰にいる女の子に気が付く大地。
「初めましてじゃな、パートナー殿。わしはミネラじゃ。ビーに一番近い姉になる。よろしくじゃ」
「姉?ビーの?あんたは観察者かー、とりあえず中に入って下さい」
大地は慌てて敷いてあった布団をかたずけて座布団を2個二人に進める。
「ちょっとまって下さい、着替えますんで」
「ちゃんと説明してもらいますからね、お兄ちゃん」
プリプリ起っている刹那。その横にはちょこんと座っているミネラ。
ビーはどうしていいか不安げな様子だ。時折ミネラを見てにへら~と笑いかけている。
大地はTシャツにGパンというラフなスタイルに着替えている。ビーも一応、女学院の制服に着替えた。
なんとか取り繕った顔をしながら二人の前に座る大地。
「刹那、今から話す事は他言は無用やで、いいか」
「なに、シリアスぶっているのよ、早く話しなさいよ」
「こほん」と咳払いをひとつしてから話始めた。
「今、この家で俺はビーと住んどる」
「やっぱり、こんな小さな子と同棲なんて不潔!、お兄ちゃん、ロリコンだったのね。あ!昔私がお風呂入ろうと着替えているとき間違えたとか言って入ってきたのまさか、わざと・・・」
どんどんあぶない方向に勝手に進んでいく刹那の頭に軽く脳天唐竹チョップを喰らわす大地。
「あうっ」
「落ち着け。妹よ。あれは偶然だ」
(心のメモリーにはばっちり細部まで録画済みだがな)
「俺は、まだ、手は出していない。ビーは清い体だ」
「今、まだって言ったよね、まだって」
刹那の指摘にスルーの大地。
(そこは突っ込まんとってや、妹よ)
「そして、お前が連れて来た、そこの小さなレディー、がビーのお姉さんだ」
「改めてよろしくじゃ、パートナー殿。わしはミネラじゃ、ビーとは一番近い姉にあたる。刹那お姉ちゃんもよろしくじゃ」
「ミネラちゃん何言ってるの?こっちの女の子の方が大きいじゃない。また、例の中二病設定のなんとかって言うんじゃないでしょうね。我は魔界から来た。とかなんとか、時間の進み具合が違うって言ったりして、は!もしかして」
「妹よ、落ち着こうか」
またもや脳天唐竹チョップで黙らせる大地。
「あうっ」
「ああ、体のことかえ、この体は急遽作ったのでな、あんまり大きいのは要らんと思っての、パッパと作ったのじゃ、でもある程度しゃべれんとまずいのでこのサイズじゃ。転送も質量が少ない方が楽じゃからな」
「作った?作ったって言ったよね、それって?なんかもうパニックよ~誰か説明して~」
「妹よ、もう少しだけ落ち着こうなあ」
さらに脳天唐竹チョップ。
「あうっ」
刹那は涙目で大地を睨んでいる。
「もう、お兄ちゃん、何度も何度も叩かないで。目覚めたらどうすんの~」
「まあ、その時は俺が心ゆくまで喰らわせてやるがな」
「も~、・・・」
「まあ、落ち着け、話が前に進まん。ここからが肝心や」
「ビーとミネラさんはな」
「あー、ミネラで良い」
「ビーとミネラはな、驚いたらあかんで、なんと」
「なんと?」
「宇宙人なんや」
はぐらかされたと思った刹那は大地に喰ってかかる。
「嘘、嘘ばっかり。そんなことで私が騙されると思ってるの?お兄ちゃん、私は騙されませんからね。納得のいく説明をして頂戴」
ピンポ~ン。
「おや、誰か来たな。ビー頼むは」
ピンポン、ピンピン、ピン~ポン~。
「わかったの、ちょっと待って下さいなの~」
「大地~、遊びに来たわよ~。ビーちゃん新年おめでと~」
「海ちゃんなの~おめでと~。ダイチくん、海ちゃんがきたの~」
「あれ?お客様、悪いとこ来ちゃったかな」
「おう、海かちょっと狭いけど入れ入れ。おめでとさん」
「お兄ちゃん、今度は誰?こんなかわいいロリっ子、この子も中学生か女子高生ぐらいよね、怪しい」
(もう完全にお兄ちゃんはロリコン確定よね、あ!今日、私、ミニじゃない)
急に居住まいを正す刹那。
「急にどうした?妹よ」
「いえ、なんでもありませんわ。お兄様。おほほほほほほ。ささ、お続けください」
「そうか、なんでもないならいいけど、また、変な事考えとったら脳天唐竹チョップやからな」
海のほうをニヤリとしながら続けた。
「海、こっちの小さなレディなんやけど、だれかわかるか?」
ミネラが海に笑いかける。海は少々頬を赤く染めながら不満気に言った。
「かわいい子ってことしかわかんないわよ」
「そうやろな、この子はビーのお姉さんや」
「え、今、なんて言ったの?なんか、お姉さんって聞こえたような気がするけど」
「おう、それで合ってるで。ビーの姉ちゃんや、ミネラさんって言うんや」
「ミネラじゃよろしく頼む」
「ミネラさん?観察者・・・」
「そして、こっちの緑のミニ穿いて無駄に足晒しとんのが俺の妹の刹那や、この赤いのが会社の同僚の海や」
「無駄とか言わんとって、刹那です。よろしくおねがいします。いつも、兄がお世話になっております」
「え、妹さん?家族に紹介・・・、海です。どうも」
「あなた、とても若く見えるんだけど、中学生か高校生よね。あなたもお兄ちゃんの毒牙にかかったの?」
「おいおい、毒牙って失礼な、こう見えても海はお前より歳上やねんで」
「え、そうなの?合法ロリ?なるほど、やっぱりお兄ちゃんは・・・ロリコ」
脳天唐竹チョップ。
「あうっ」
「妹よ、なにを口走っているか」
その目には大きな涙があふれそうになっている。
「痛いの、お兄ちゃん」
隅っこの方で遠い世界に行ってしまっている海。
「そう、私はもう大地の毒牙にかかった?いやいや、でも・・・触ったわよね・・・手じゃないけど」
「ふふふ、なかなかお前たちは面白いやつらじゃのお、これからもビーをたのむぞ」
「わかったなの~」
「ビーが返事してど~するんじゃ、パートナー殿よろしく頼む」」
ミネラが深々と頭を下げた。それを見て大地も慌てて頭を下げる。
「俺の方こそ頼りない奴ですいません。これからもよろしくお願いします」
何故かビーが嬉しそうにミネラと大地の頭を撫でている。
「ビーがよろしくしてあげるの~」
「ふふふ」
「ビー、お前なあ、ふふふ」
二人は堪え切れなくなったのか笑いだした。しばらく和気藹々としたなんとも楽しげな時間が過ぎて行く。
突然ミネラがシリアスな顔をして話始めた
「実は、今日ここにきたのはパートナー殿の顔を見に来ただけではないんじゃ、もうひとつ理由があっての」
一堂を見回すミネラ。
「少し前に、わしたちの姉のひとりが不穏な動きをしおっての、我らによって、別の銀河から放逐されたんじゃ、それが、どうもこの銀河に来たようでの、その確認も兼ねとるんじゃよ」
「何をしたんですか」
「我らの仕事は知っておるかの?ふむ、そう、我らの仕事は知識の探究じゃ」
「効率的に知識を得るためにはどうすればよいかわかるかの、簡単じゃ、その文明に戦争を起こさせれば良いのじゃ、そうすれば発展の方向性が定まってより短時間で発展していくのじゃ、まあ、偏った方向ではあるがな」
ごくりと唾を飲み込む大地。
「その文明に自発的に起るものは仕方がない、じゃが、その姉さまは強制的に戦争を起こさせるのじゃ、傀儡をつかっての、戦争が収束してくれば新たな火種を起こして継続させる」
「酷い話じゃが、あの御方には我らとは違って論理セクターだけで行動を決めているので、情が非常に薄く論理性一本やりなのじゃ」
「その姉を他の姉とわしが組んでなんとかその銀河から追い出すことができたのじゃが、その姉が今度はこの銀河に的を絞っておるのではないかと思うのじゃ」
「この星の歴史を見てわしも思ったのじゃが、傀儡としてぴったりじゃからなあ、好奇心旺盛で短期、直ぐ争いごとをする、いままで崩壊せんかったのが不思議なくらいじゃ。それにこの愛らしい姿、思わず抱きしめたくなる姿よ、わしらの遺伝子レベルでなにか働きかけがあるのかもしれん愛おしさよ」
大地の頭を撫でるミネラ。
「はあ」
「ミネラちゃん!ダイチくんはビーのものなの、取っちゃ駄目なの」
「お兄ちゃん、ビーちゃんに好かれてるんだ、やっぱり・・・ロリ・・・。ミネラちゃんの設定も面白いわね、さすが中2病よね」
刹那はミネラが話すことを架空のこと、中2病の設定だと思っている。
「なにか動きはなかったかの?」
ミネラは真面目な顔をして大地に尋ねる。
「あ、ありました。そこの海が歴史改変で消されかけました。なんとか俺らで歴史もとに戻したんです」
「ほう、そんなことがあったのかの。ふむふむ。本当は直接ビーに挑みたかったじゃろうが、わしたちにやられた直後であった為、戦力が無かったんじゃな、じゃから、絡め手で回りからと言うことかの、ビーとパートナー殿へはビーの反撃が怖かったのじゃろう、その為、周りの海殿が狙われたのじゃろうなあ、あの姉さまの考えそうなことじゃわい。我らは若い者ほど潜在能力は上じゃからな、改良され作られたのじゃから、今、ビーが最強のはずじゃ、でも経験が物を言うからな一概に言えん、でもあの姉さま、安全作をとったと言うことか」
「まあ、なんにしても気をつけるんじゃぞ、パートナー殿」
「はい、気をつけます」
「ビーが付いてるから大丈夫なの」
「そうじゃな、たのむぞ」
「うん、任してなの、ミネラちゃん」
「ふふふ」
些細なことなのだが大地にはきになったのでミネラに聞いてみることにした。
「今、月はビーが偽装しとるんやけど。ミネラも何処かの星に偽装しとるんか?」
「わしか?わしはな御隣の星じゃわい、火星とか言うたかのう、0.5秒だけずらしてそこに収まったんじゃ。あんまりずらしてしまうと環境がかわるでな、あそこに住んでるものに影響出てしまうので少しだけにしてある」
「え、火星に生物いるんですか?」
「低レベルのものじゃがな、まあ、10万年もすれば、表面に広がり文明でも築くかもしれんしな」
「火星からここまでは少々遠いのでこの体は本体と切り離されて自立しとるわけじゃ、じゃから、今、この体にはビーほどの力はない、帰りはビーに送り出してもらわなならんのじゃ、帰りはよろしく頼むぞ」
「わかったなの、ミネラちゃん、任せてなの」
その後、ミネラが如何に放逐したかの話に及んだが、あまり話したがらなかった。
最後にその戦争を起こした姉の名前だけ教えてくれた
「その姉さまの名前は6番目のラート姉さまだ」
いつも、お読みいただき、ありがとうございます。物語って難しいです。




