予知夢
電車から出て、外気との体の温度差で震える、会いたくて会いたくて誰かに会いたくて、まだあったことない誰かに。
旧江戸川を眺めながら、常夜灯を目指す。行徳塩田と日本橋と繋ぐ導線が今も確かに残っている。川下には、いつからあるかわからない半身が沈んだボードと知らねえ鳥が微かに進んでいる。いつも風が吹きあげるが、今日は一層風を感じる。
やっとこさ、常夜灯に着くと目映い光が俺を包み込む。
俺は俺自身が心底嫌いだ。そんなことないよって俺に都合のいい言葉を投げ掛ける娘は好きだが、そんな俺をみて離れたがる女のほうが好きだ。きっと一生、✕✕じゃないって、いい続けて死ぬんだ。世の中、星の数ほどいるとは言うが、ほとんどクズみたいなやつばっかで、その中でも俺は本当にどうしようもないタイプのクズなんだ。だからって真面目ちゃんになる気もねえ。
でも、それでも俺は君が好きなんだ。だから、俺じゃない誰かと幸せになってほしいんだ。
俺は一人で生きて行けるよ、死にたいと思っても、ありもしない想像を膨らまして、年をとって、死にたくても死ねなくなるまで、生き延びてやるよ。
目の前から包み込んでいた光が消え行く。常夜灯の灯りも気が付くと無くなっていた。
「0時になったのか」
予知夢のようなものを見たことより、先に0時になったことを気にしてしまうのは、現実から逃れるためなのか




