↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/13

:おまけのような

 お狐さまがめずらしくロールケーキを買ってきた。何かを買ってきてくれたことがめずらしいのではなくて、めずらしい、のはロールケーキのほう。


―お茶にしないか?


 うん、とにっこりと言って、僕はお茶の用意をはじめた。


 ロールケーキ、久しぶりかもなあと、フォークで表面のふわふわかげんを確認しては、口のなかにつばを充満させる。生クリームのなかに潜む黄色や赤のくだものを見つめ、まずは目でいただく。ふうと、息を吐き、いよいよというようにフォークを立てる。口にひとかけらを含み、こんなに生クリームを好きだったかと自分の嗜好を再確認する。きっとお狐さまも、と思い見てみると、でも、奇妙な光景だった。


「あ、ねえ、そういうふうに食べるものではないよ」


 あわてて言うと、


―知ってはいるのだがねえ


 言ってお狐さまは、ロールをほどいて真っ平らになった、かつてロールケーキと呼ばれていたものをじっと眺める。


―うまく説明はできないのだが、なんだかこの真んなかのあたりが窮屈そうというのか


「窮屈?」


―まるまり… 押し込められ…


「ロールケーキって、そういうものなんだと…」


―いや、わかってはいるのだ


「なら…」


―しかしな、ダメなのだ。見てしまうと広げずにはおれんのだ


 お狐さまは、誰かのカタキでも討つみたいな鋭さで平らなただのケーキにフォークを突き刺し、半ばうめくように口へと運んだ。


―これはこれでうまいものだが


 巻き寿司はどうするのだろう。きっとお店のご主人に怒鳴られるだろうなあ、お狐さまと行くのはよしたほうがいいみたいだ。僕はその日、お狐さまについてまたひとつ大事なことを学んだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。