58話「感情爆発」明野未明。
皆様は怒りの感情の処理に苦労なさる事はありますか?私はしょっちゅうです。怒りを始めとする感情のままに絵筆を使う。それはそれで普段の自分とは違う色合いで、面白いものです。
しかし感情的である事をウリにすると、それはそれでしんどいもの。
これは私の先輩から聞いた話ですが。
芸術は爆発だ。有名な言葉ですが、それをそのまま実践してしまった人が居ました。感情を爆発させると素晴らしい芸術家になれる。そう思い込んで、家庭生活を破壊してまで芸術に情熱をつぎ込んだのです。
そんな真似をしていれば当然、反動も来ます。その人は血圧を上げすぎて死んでしまいました。嘘みたいな話ですが、元々身体にガタが来ていたところ、その作風を改めもしなかったので、投薬中の身が持たなかったのです。
その後、その方のアトリエは広く一般に公開されたようですが、今でも聞こえるそうですよ。辺り構わず怒鳴り散らす、はた迷惑な声が。
信念が高じて、死んでも爆発し続ける。素晴らしい根性ですが、その後作品を完成させられないのであれば、特に意味はありません。
私はあまり興味を覚えない例ですが、皆様はどうでしたか?
では、次の方。