リベルラ・ロッサ

　神器マガタマの奇跡はこの世界のありようを大きく変えた。

　マガタマは人々の報復心に反応し、その報復対象を瞬時に見つけ出すという奇跡を起こす神器である。

　その情報を元にスベガミ教会が、治安維持活動を行う処刑人部隊を結成。

　つまり人に恨まれるようなことをした者は必ず処刑人によって裁かれる、という世界が誕生した。

　そして報復を願う者が居なければ、マガタマは一切応えないという分けではなく、殺された者を「幽霊」としてこの世に居続けさせるという奇跡をマガタマは起こしていた。

　犯罪を犯すなら恨まれそうな人を皆殺しにするしかない。そうして罪を犯した犯罪者達は、こうして新たな種族「幽霊族」の者達に永遠に狙われることとなった。

　この事は犯罪を犯す事への大きな予防措置となり、全世界の人々にかなりの平穏と安寧の日々を実現させる。しかし、それでも犯罪は起きた。

　処刑人と幽霊族は今日も活動をし続けている。

　パルティーレの街に住む処刑人の一人であるリベルラ・ロッサは、幽霊族の同い年の女の子ファレナと一緒に暮らしていた。

　新米処刑人ロッサは、魔能力「ケガしにくさ◎」を持ち、最強クラスの防御力を誇るものの、すぐ弱気になってしまい、まだ一度も依頼に成功したことがない。

　ある日ロッサは、先輩処刑人である姉のラーバから新しく入った簡単な依頼を受ける。

　それは一緒に暮らしていた幽霊族のファレナを殺処せよ、というものであった。

　ロッサは、ファレナを狙う他の処刑人達から守ることを誓う。

　それは神に対する裏切りでもあった。

　なぜファレナが処刑されることとなったのか。

　無罪を信じ教会と対峙するロッサは、強くならなければならなかった。