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麗しの王子達

いつも読んでくれてありがとう(^-^)携帯から投稿しているのですが、携帯の調子が悪く投稿が遅くなりますm(_ _)mごめんなさいm(_ _)m


 昨夜の散歩のおかげか、朝までスッキリと目が覚めた。


 窓の分厚いカーテンを開けると私の見慣れた空で青く快晴だ。もしこれが空が桃色だったり、惑星がちらほら見えて宇宙を近くに感じる空だったら、私は違和感に負けて絶対に暴れているだろう。窓の外を見る余裕がある事までが嬉しくなる。


 ふとベランダの前まで伸びる木の枝に目を向けると、茶色い髪に深い緑の瞳のお姉さんの妖精がこちらを見ていた。

 その妖精の身長は私より少し大きいくらいで、座っている枝は普通なら折れてしまいそうな太さだ。しかも、ギリシャ神話に出てくるような柔らかそうなローブを纏う身体は薄く透けて木々の緑が見えている。


 朝からファンタジー。目を擦っても消えない不自然さだから、きっとファンタジーなんだ。妖精は私と目が合うと、寄ってくる事なく手を振り美麗に微笑む。

 見た事はないけれど嫌な感じはしないので幽霊じゃないはずだ。オカルトよりファンタジーの方がまだいい。さっきまであった余裕はあっさり消えて無くなってしまう。いくら妖精が笑顔をくれても、サイズの大きさだけ臆病になってしまう。


 失礼の無いように軽く会釈してレースのカーテンを閉めた。この世界に妖精が普通にいて皆に見えるとしても、私の中ではファンタジー。私の中の普通が一番だ。

 「郷に入れば郷にしたがえ」のことわざも頭に浮かぶが、あっさりそうなれない自分の切り替えの悪さに溜め息が出てしまう。


 すごすごと初めての客室で洗面を済ませると、部屋まできてくれた総侍女長の手を借り淡いピンクのドレスに着替え身支度を整える。一人でのメイクを始める。鏡越しに総侍女長と何度も目が合いながら緊張の時間の最後に完了させた、薄すぎるメイクに溜め息混じりのOKをもらい何とか終わらせれた。


 総侍女長は退室して一人朝食を済ませ、指定された濃い紅をさす。そうして朝の慌ただしい時間を過ごしているとノックの音が聞こえてきた。


「はい」


「ランバートです」


 げ、なんで今日もランバート?やだ。開けたくない。


 昨日の何か探るようなランバートを思い出したけれど、そういう訳にはいかない事は分かっている。渋々薄くドアを開けるとランバートは隙間に手を入れドアを力任せに引くと身体を滑りこませてくる。


「おはよう。ユウリちゃん。ちょっと入れてね」


 いや、もう入ってるし。いけない。今日も爽やかな笑顔なのに、裏に何かありそうな態度で台なしだ。ランバートを疑って自然と顔が険しくなる。


「なんでランバートだけ?ロイズは?」


「ロイズは他の仕事中だよ。俺が迎えに行くってクロス隊長に直談判したの。ユウリちゃん、今日のドレスも可愛いね」


「可愛いドレスでしょ?私には似合わないけど、転移?徒歩?」


 ランバートが微笑んで差し出す手を無視して、答えも可愛げ無いものになる。もう警戒心丸出しだ。

 そんな私にランバートは、気を悪くした様子もなくベッドの上の黒っぽいベールがついた帽子を取り上げ私に呆れたように言う。


「徒歩だよ。総侍女長から聞いてない?移動中はベールつけるように」


「……聞いたような気もするかもしれない」


「被せてあげるね」


 帽子を持つランバートの手が私に向かい伸びる。はっきり言えばメイクに集中していて、総侍女の話を聞いていなかった。


「ね、今度一緒にお茶しよう」


「ベールありがとう。じゃあ、行こうか」

 素直に口には出せないけれどいやだ。さりげなくランバートと誘いを笑顔でかわしてドアを開けて客室を出たものの、どちらに進めば良いか分からず立ち止まる。


「ユウリちゃん。こっちだけど、鍵くらいしめようよ」


 後ろから聞こえたランバートの声に、慌てて客室に戻った。


 それから王の部屋までランバートは、私の世界の事には触れてこなかった。

 食堂で用意される食事は美味しいとか、クロスが厳しい鍛練の話とか聞きやすい話で私も気楽に相槌をうちながら聞いていられる。普段の様子を何も知らない私には新鮮な話に思え楽しと思えてしまう。

 

 二度目でも王の部屋に近づくにつれ緊張してしまう。王の部屋の中には宰相だけがいて、今日も私だけが部屋に招き入れられた。


「おはようございます。ユウリ様」


 申し訳なさそうな宰相が言うには、今日は王も自分も部屋にこもれないらしい。


「代わりに後でアースティン様がいらっしゃいます」


 第一王子か。

 どうやら私だけだとダメらしい。

 誰といてもする事は同じなので宰相を前に私は、今日は一人でこちらの文字に簡単に翻訳してメモをつける作業を始める。


 早く終わらせるんだ。目指せ食堂のお姉さんだ。そして一人暮らしをして、帰るんだ。 帰る方法は考えてくれているはずだ。もう、いいや。旅行と思えばいい。そうすれば気持ちも楽になるはず。

 けれど、私の世界の書籍や品々に触れ、帰りたい気持ちと割り切れなさばかりが溢れてくる。


 なんでこんな事になったんだろう。さっさと済ますに限る。後は王と椎名さんが考える事だ。集中、集中。


 マイナス思考になりそうな自分を押さえて、何も考えないように作業を続けた。


 集中出来た頃にドアの開く音に顔をあげる。


「やぁ、ユウリ。君だったのか。どこかの花の精が閉じ込められているのかと思った。また会えて嬉しいよ。」


 キラキラ眩しい大袈裟なフォルに、顔が引き攣りそうになりながら宰相を見た。

 来るのはアースって言ったじゃんかよ。


「僕も父上に言われてさ。ところで、なんでユウリがそんなに頑張るんだい?それは、ジュリアの罰でしょう」


「フォルニール様。陛下の願いと知っておられるでしょう」


 宰相から人がわざと考えないようにしていた事をズゲズゲ聞いてきたフォルに視線を戻すと、私に近寄っていた。


 え?こないで。余計に腹立つから。私は、これを早く終わらせて食堂のお姉さんになるんだから。


 咎めるような宰相の言葉と視線にもフォルには聞かず、美麗な微笑みを浮かべ私の隣の席に座ろうとまでしている。


「まぁ、僕はユウリに愛を伝えられるなら場所は何処でも良いんだけどね。今日は化粧もしているね。僕の為かい?花のようなユウリの可愛らしさに悪い虫がつかないか心配だよ」


 呆れ気味の私の目から視線を外す事なく、下ろしてある髪をすくい口づけるフォル。

 今日は、両方のサイドだけをまとめてリボンを付けているだけだ。こんな事なら短くても、まとめ上げていたら良かった。


 それに、フォルは不思議そうに言うがあの場で一般市民の私が王の願いを断れ無かったんだから仕方ないじゃないか。もっと、気が強ければ良かった。そうしたら今頃、食堂のお姉さんだったかも知れない。私だって、手伝いたくない気持ちもあるさ。


 何気ないフォルの言葉に押さえていた不満までが大きくなりそうだ。


「フォルニール様。ユウリ様の邪魔はお止め下さい」


「邪魔はしていない。元気づけているだけだ」



 宰相にそう言い切ると、机に置いた私の手に手を重ねるフォル。

 私は、そっと手を引き机の下に両手を隠した。


 この世界の人には当たり前の過度なスキンシップも私は苦手だと、ちゃんと言わないと分からないのかも知れない。


「あの…」


 その時、ドアが開いて資料らしい物を持ったアースが部屋に入ってきた。


「ユウリ、遅れてすまなかったね。フォルニールもまたユウリを困らせていたなら、今すぐ出て行くがいい」


 穏やかそうな微笑みにフォルより大人に見える容貌のアース。宰相は部屋にはいられないと言っていた。



 もしかして、王子二人と私だけになるの?宰相様。行かないで下さい。


 縋るような視線を宰相に向けてしまった。



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