第1話 殺されそうだ
もう─無理だ。召喚術も魔法も封じられた。かろうじて使えるのは特別魔法だけ──。
「~~、~~~…」
だから必死に言葉を紡ぐ。特別魔法である『特別転生魔法』を使うために──。
目の前が明るくなる。
あぁ、どんなに強い力があっても、どうせ大切な物は失ってしまう──だったらもっと楽しく生きたらよかっな──。
敵の困惑したような顔が──ぐにゃりと曲がった。
──「うっ…」
俺は目を覚ました。だんだん気持ちの悪さが引いていく。窓に映った新たな自分を見る。
黒髪黒目。前世と変わらないな。
そんなことを思っていると、コンコン、とノックの音が聞こえた。
「レアキ様。朝食の用意ができました。食堂へお越しください」
「あぁ、今行く」
そう答えながら俺はベッドから降り、部屋を見渡す。
前世に比べたら小さいが、そこそこ大きな部屋に、さっき座っていたベッド、木製の机と椅子、ソファなどが置かれている。どれもシンプルで、俺の好みに合っている。
俺は前世、平民の生まれだったためか、どうも豪華な装飾がついている物は落ち着かないのだ。
食堂に行こうと扉を開けて廊下に出るが、どこに食堂があるのかわからない。
本来、『特別転生魔法』には、『転生魔法』に比べて、いくつかメリットがある。
一つ目は、前世の記憶と力を持ったまま転生できるということ。
二つ目は、赤ん坊ではなく幼児に転生できるということ。
三つ目は、その幼児が持っている過去の記憶が流れ込んでくるということ。
だが、今三つ目のメリットが発動していない。おそらく、前世で魔力が足りず、不完全な『特別転生魔法』が発動したのだろう。
俺は適当に食堂らしい扉を開けていく。
「おっ、ここか」
俺は中から話し声が聞こえ、料理の美味しそうな匂いが漂う部屋の扉を開けた。
「あら、レアキじゃありませんの」
「何っ!?あいつがここに来たのか!?」
「あぁ本当ですね父上。あそこで突っ立っていますよ」
「クスクス。相変わらず間の抜けた顔をしていますこと」
「ここはお前が入っていい場所じゃない!帰れクズ」
3人の人から口々に悪口を言われる。何故だろうか?俺の記憶がないからわからない。
だが、帰れと言われているのだから、帰るべきだろう。
俺はそう思い、素直に自室に戻った。
暇だなー。よし、ちょっとやることおわらせよう。
俺は窓際に立ち、「紫。浮遊」と口にする。
すると体が宙に浮いたので、窓から出て、キョロキョロとあた
りを見渡す。
ん、ちょうど良さそうな森発見。
その森の開けた場所を発見し、認識阻害結界を張った。




