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65話:プルーニャ疾走

ブックマーク登録ありがとうございます。

幕間の執筆が完了し、本編の執筆も佳境を迎えています。

もう少しお付き合い頂けますようよろしくお願いします。

「どうなんですか!?」

「ただの風邪・・・ではないようですが・・・発熱、のどの痛み、咳と頭痛と精神的な不安定さが見られます・・・」


 ソフィー様が高熱を出されて昏睡してしまった。ボクがついていながら!!こんな小規模の村では詳しくわかる医者もいない・・・エリカの町に行くしかない・・・ボクの【応急措置1】で病気の進行は止められてるとは思うけど、消耗が激しい・・・


「ニンフェア、準備できたニャ」

「プルーニャ?」


 プルーニャが久しぶりに影の服装に身を包んでいる。潜入用だ。


「わたしがエリカの町に行ってくるから、ニンフェアはソフィーを見ててニャ」


 でも!・・・いや、ここはプルーニャに任せよう・・・夜では視界が届かず短距離転移もあまり意味がない・・・プルーニャの足の方が速いだろう。


「頼んだよプルーニャ」

「まかせるニャ!んにゃ?」


 昏睡していると思っていたソフィー様がプルーニャの服の裾を握っていた。手は震え、口も半開きでよだれが垂れている。


「ソフィー様!?」

「はぁ・・・はぁ・・・プ・・・ルーニャ・・・頼み・・・ます」

「ソフィー安心するニャ!すぐ医者を連れてくるからニャ!【回復2】ニャ!」


 淡い緑色に包まれたソフィー様がにこっと微笑むと、


「・・・【付与(コンチェーデレ)魔術(・ラ・マギア:)俊敏(ガンベベローチ)1】・・・」


 ソフィー様の手から力が抜け再び昏睡してしまった。やはり病気に回復魔法は効かない・・・


「ソフィー!?」

「プルーニャ!貴重な20分だ無駄にするな!」


 医者に症状を書いてもらった紙を懐に入れると、プルーニャが飛び出して行った。ここからならエリカの町まで数時間だ。夜明けを待っていられないので城壁を越えて侵入するしかない。プルーニャ、急いでくれ!





 俊敏を付与してもらって夜の草原を走るニャ!身体強化も発動していつもの倍速い気がするニャ。大変にゃことににゃったニャ・・・ソフィーが死んでしまったらすべてが水の泡ニャ・・・絶対間に合わせるニャ!


 俊敏の効果が消えしばらく走るとエリカの町の城壁が見えてきたニャ。数時間かかるはずにゃのにわずか1時間半で辿り着いちゃったニャ。俊敏の付与ってこんにゃにすごかったのニャ・・・

 城壁をよじ登るつもりだったけど、このまま行くニャ!

 城壁目前でジャンプすると壁を蹴りもう一度ジャンプ!勢いが落ちた時、壁の隙間にナイフを差し込み足場にしてさらにジャンプ!城壁の一番上に右手がかかりそのまま身体を持ち上げる。


「んニャ!!」


 城壁の上に登り左右を見回したけど誰もいにゃいニャ。歩哨もいにゃいにゃんて、ナターレ兵の人員不足は深刻だニャ・・・でも今は助かったニャ。

 医者の家は・・・


「ニャ!?お医者さんってどこニャ!?あわわわ・・・」


 どーするニャ!どーするニャ!エリカの町はおいしいお店と冒険者ギルドしかしらにゃいニャ!?それ以外とにゃると・・・ソフィーの家かニャ・・・


 侯爵軍がいるのは館の別館、うまくいけば・・・


 夜の街中を館に向け疾走するニャ。途中巡回する侯爵兵がいたけど【隠密1】を発動して駆け抜けたニャ。


「うわっ!なんだ?突風か?」


 侯爵兵はキョロキョロしていたけど気づかれにゃかったニャ。館まで辿り着くとさすがに門や敷地(にゃい)にも侯爵兵がいたので、【隠密1】を発動してジャンプし手に持っていた石を遠くの茂みに投げ(にゃげ)入れたニャ。


 ガサッ!


「ん?何か物音がしたぞ!」

「どっちだ!?あの茂みだ!」


 受け身をとりにゃがら転がって着地して音を消すニャ。館の角の雨どいを伝って2階に上がり一番近い部屋に滑り込んだニャ。部屋の(にゃか)は人の気配がにゃく誰もいにゃい・・・ビクッ!!


「あ・・・オルテンシア様・・・ニャ?」


 そうだったニャ。この角部屋はオルテンシア様の御部屋ニャ。人間じゃにゃいのは知っていたけど、気配がまったくしにゃいニャ・・・まるで死んでるみたいニャ・・・その時、小さな機械音みたいにゃのが微かに聞こえたニャ。


「あなたは・・・猫人族のプルーニャさんでしたね。こんな時間にどうされましたか?」

「びっくりしたニャ!起きてたのニャ?・・・」

「異常を察知してたった今起動しました」


 よくわかんにゃいけど鑑定も持ってるオルテンシア様だしニャ、聞いてみるニャ。


「ソフィーが昏睡状態ににゃってるニャ!お医者さん知らにゃいかニャ?」

「ソフィー様が!・・・どういった症状ですか?」

「えっと・・・あ、そうだこの紙に」


 懐にいれていた紙を取り出してオルテンシア様に見せるニャ。あ、真っ暗ニャ・・・


「今明かりを・・・」

「必要ありません。見えています」


 紙を見てしばらく考え込み、


「他に症状はありませんでしたか?何でも構いません普段とちがうとこは?」

「えーっとえーっと、汗がすごかったニャ・・・顔が赤くて・・・そうだ、服を掴んでた手が震えてたニャ・・・あとは・・・よだれが・・・」


 !


「痙攣、唾液分泌過多・・・どこかでワニや爬虫類と接触したことは?」

「はちゅうるい?」

「・・・ワニ、トカゲ、ヘビ、カメ・・・」

「トカゲ!迷宮でトカゲと戦ったニャ!!」

「やはり・・・くっ・・・」


 オルテンシア様が起き上がろうとしたけど、関節から黄色い汁が噴き出したニャ!


「起きちゃダメニャ!」

「情けない、こんな時に動けないなんて・・・」


 オルテンシア様を寝かせるとこう言ったニャ。


「なんとしてもソフィー様をここまで連れてきてください!3日以内に!間に合わなければ・・・ソフィー様は・・・死にます・・・」

「ニャ!?」


 3日以内(いにゃい)にソフィーをここまで・・・考えてる場合じゃにゃいニャ!


 動くのニャわたし!!


 身を翻し窓から飛び降りると闇に消えたニャ。

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