66話:猶予は3日
「隊長!階段の下に扉があります」
階段をゆっくり降りていくと扉が少し開いていた。
「誰か扉を開けたか?」
「いえ、最初から開いていました」
やはりか・・・誰かが・・・4階のボスを倒した奴がここまで来ている。
扉を開けると部屋の中央に黄金の山があった。
「おおおおおっ!!」
「すごい!黄金の山だ!」
「こんなの見たことねえぜ!」
ふん、そんなものはオマケに過ぎん。それより・・・ドロップアイテムが残されている!?
黄金の山の一部から箱や小さなナイフなどが見え隠れしている!
「今すぐ黄金の山をどけろ!ドロップアイテムを回収する!」
「「「「はっ!!」」」」
さて、何が出るか・・・
暫くして全てのドロップアイテムが回収された。回収されたのは5つ、か。意外に少ないな・・・目ぼしい物はさすがに持って行ったのか?武器はナイフとこのロングソードか。
装飾が禍々しく感じる片刃の剣でわずかに反っている。異国の剣のようだが、どのような力が宿っているのか。宮廷魔術士殿がもっている幻の恩恵、【鑑定】をしていただかないと詳細は分からないが、試してみるか。
「よし!11階に降りるぞ!」
「どうしようか?・・・」
「まさかこんなことになるとはなぁ~」
コカトリス達の活躍のおかげで500名からなる侯爵軍の撃退に成功した。あれから半日が経過し陽も沈みかけている頃、侯爵軍人の埋葬をしている。
魔物にやられたのに埋葬したら人間の仕業とバレるのではないかと考えたが、魔物が食べてしまっても遺体は残らないので埋葬することにした。要は遺体が見つからなければいいのだ。
魔物が殺した人間は約80人ほど、こちらの被害は小さな魔物6匹が死亡しただけで人的被害はない。
間に合うものはデーア姉さんが治療し、死んだ魔物は同じく埋葬した。
「みんなごめんね・・・ありがとう。安らかに眠ってね」
俺たちは全員で死んだ魔物に黙とうを捧げ戦友の死を悼んだ。
そして戦いが終わった後一つ問題が起きた。
「やっぱり”レベル”上がってるっぽいね・・・」
「どれくらい神力を感じたんだ?」
「数えきれないくらい・・・」
魔物調教で使役している魔物が倒した侯爵軍人の経験値が、どうやらすべて使役者のミーナに入っているようだ。”レベル”が上がったことは問題がないのだが、このままではせっかくの”スキルポイント”が無駄なスキル取得に使われてしまう。ミーナには【魔物調教】を上げてもらいたい。
「よし、ミーナはジプソフィーラ様の元へ行け。ここは俺たちが監視する。さすがにすぐに再攻撃があるとも思えないしな」
「でも・・・カトリ君たちは?」
ミーナがまだ心配そうにしているがオオカミでもあれだけ命令を聞いたんだ、なんとかなるだろう。
「最低限の命令だけ与えて行ってくれ。小さな魔物は解放してしまってもいいだろう?」
「そうだな、正直コカトリスさえいれば抜けられることはないだろうし」
ミルもコカトリスがいれば問題ないと考えているようだ。
「オオカミさんたちは~置いて行ってくださいね~あのモフモフなしじゃ~も~眠れないです~」
デーア姉さんはオオカミ枕が手放せないらしい・・・オオカミたちには夜の巡回をしてもらう予定なんだけど・・・
「わかったわ、できるだけ早く帰ってくるから無茶しないでね」
ミーナは1匹のオオカミの背中に乗り数羽の鳥の魔物を従えて暗くなる前にキャンプを後にした。
早ければ2日で戻ってこれるのだが、再合流にあんなに時間がかかるとはこの時は思ってもいなかった・・・
いそげ!いそげニャ!早くしにゃいとソフィーが!
わたしはエリカの町を脱出して、夜明けの草原をソフィーの元に駆けて行くニャ。
俊敏の付与がにゃいと身体が重く感じるようににゃってしまった・・・町を出て1時間経つけどまだ半分も来ていにゃい・・・
『プルーニャ!』
「ニャ!?」
あ、これはあの念話だニャ。野太い声でびっくりしたニャ・・・
『医者は見つかったかい!?』
ニンフェアが気ににゃって【念話】持ちさんに頼んだのニャ。ちょうどいいニャ。
「ニンフェア!今すぐソフィーの「ナターレ奪還作戦(仮)」の準備してニャ!」
『えっ!?何があったんだ!?』
「詳しいことは後ニャ!ソフィーの命がかかってるニャ!急いで準備してニャ!」
『わかった!』
「コルニオロしっかりしろっ!」
「あああ、でも・・・ジプソフィーラ様が・・・」
ソフィー様が倒れてボク以上に使い物にならなくなるなんて・・・何があったか分からないけど、とにかく準備をしなければ・・・
「クリザンテーモ!影の招集をお願い!」
「わかった。しかし少し時間がかかるぞ・・・」
「外に出ている者が多いからね・・・【念話】で招集して!」
後はクリザンテーモに任せてルカ君とアレクを探す。アレクの部屋に行きドアを叩く。
「アレク!アレクいるかい!?」
・・・部屋にいないか・・・なら裏で鍛錬してるかも。廊下奥の窓の外を見て短距離転移で飛ぶ。
「むぎゃ!」
「うわっ!ニンフェアさん!?」
転移したところにアレクがいて胸に抱きつく格好になった。汗臭い・・・
「アレク!すぐにナターレ奪還作戦を始める!準備して!」
「!・・・わかりました!」
アレクは上半身裸のまま宿舎に走った。次はルカ君だ・・・この時間なら・・・
「【短距離転移1】!」
炊事場近くに転移し縮地で移動すると、いた!
「ルカ君!」
「あら?ニンフェアさんおはようございます」
ルカ君は朝食の準備をしているようだ。今すぐ!・・・いや、食事はしないとさすがにもたないか・・・
「ルカ君朝食を急いでお願い!食事が終わったらナターレ奪還作戦を実行するから準備して!」
「え?・・・えええええええええええっ!!」
それから馬車の手配や武器防具など、数時間の距離だから兵站の心配はないけれど万が一にも失敗は許されない。
それから1時間が経過したころプルーニャが戻ってきた。
「にゃっ・・・にゃっ・・・げほっげほっ、んぐんぐ、ぷふぁ~っ!」
プルーニャは戻ってくるなり水を一気飲みしてから状況を説明する。
「館でオルテンシア様に会ってきたニャ!それで、症状を説明したら一刻も早くソフィーを連れてきてくれって!猶予は3日・・・」
「3日!?オルテンシア様はこの病気を知っているの?」
「わかんにゃいけど・・・3日以内に連れてこないと・・・死んじゃうって・・・」
発病からまだ1日も経っていない・・・それなのに3日だなんて・・・オルテンシア様は知ってるんだね。
それもかなりヤバい病気だって・・・
「オルテンシア様を連れてくることは・・・あの状態では無理か・・・やはりソフィー様を連れて行くしかない」
どうする・・・影の招集には半日はかかる。ボクたちもいれて影は全部で18名、うち4名は”魔の森”だし、アレクとルカ君を入れて16名か・・・ソフィー様を運ぶのはリロッコに頼むとしても、16名で侯爵軍250名以上を相手にしなければならない・・・厳しい戦いになるね・・・しかもボクたちが姿を見せて侯爵軍とことを構えると・・・最悪反逆罪か・・・
「よし、決めた!ソフィー様の為だ!反逆者の統領はボクがやってやる!」




