57話:ニンフェアVSプルーニャ
なんだコイツはっ!?
あの動き只者じゃないね・・・ボクの目でも追いかけるのが精いっぱいだった。プルーニャ並みの奴が侯爵軍にいたなんて・・・この前倒した「隊長」と呼ばれていた奴よりはるかに強い。
なるほど・・・こいつが将軍と言う奴か。たった二人で来るだけのことはあるね。
「すいません、少し話し合いができませんかね?」
話し合いね・・・将軍さんはやる気満々だよ?そちらこそ話し合いに応じる気があるのかどうか。
この距離はマズいね。相手の間合いだ。なんとか距離を取らないと・・・
「ダメですか・・・それなら」
『これならどうですか?』
!!
『わたしのスキルでして、念話と違ってしゃべらなくても話せますよ?』
『あんたは何者だい?』
『これは失礼しました。わたしは侯爵軍の参謀をしています。コルニオロ・ダ・フィオーレ名誉男爵と申します。争う気はないのです』
じりっ・・・油断させるつもりか?話に気を取られるとやられかねない。何か・・・何かあれば反射で体が動いてしまいそうだよ・・・
『わたしの目的は・・・』
クシュン!
馬の上の男がくしゃみをした瞬間ボクも将軍も動いていた。
将軍が突っ込んでくる。ボクは縮地で後ろに下がると右手でダガーを抜き、左手でダガーに雷撃をまとわりつかせた。
バリバリバリ!!
ダガー同士がぶつかる寸前、将軍が雷撃に気づきナイフを投擲してきた。咄嗟にナイフを弾いてしまい雷撃が霧散する。
将軍がさらに加速して近づいてきたので短距離転移で背後に回る。
気配で察知したのかその瞬間回し蹴りが軌道を変えながら襲ってきた。
ボクは後ろに飛んで躱しながら将軍の軸足を狙って爆発魔法を放つ。
後ろをむいたままの将軍は軽くジャンプして交わすと空中で一回転して着地し再び突撃してくる。
ボクの方は態勢を崩されていたので危なかったが、浮遊で向きを変えキレイに着地した。
すぐさま縮地で距離を取り雷撃を放つ。
突っ込んで来ていた将軍はロングソードを空中に投げ避雷針代わりにして防いだ。
・・・やっかいな相手だね。まるでプルーニャと戦ってるみたいだ。接近戦は勝ち目がなさそうだ。ならっ!
「【爆発3】!」
魔法を放った瞬間、短距離転移で消える。
「ニャ!?」
ボクが消えたことで気配を探ってるようだ。後ろか横か・・・上だよ!
将軍の真上に現れると再び魔法を放つ。
「【爆発3】!」
将軍は咄嗟に両手で頭をガードすると、正面からやってきた爆発で吹っ飛んだ。
よしっ!時間差攻撃さ!
吹っ飛んだ将軍の方を見ると姿が消えていた!どこだ・・・
「お返しニャ!」
ボクの真下から声がした。同時に蹴り上げられ意識が飛びかける。マズい!!蹴り上げられた将軍の足を無意識につかむと、
「【雷撃2】!!」
「ニャアアアアアッ!!」
二人とも地面に転がった。
「そ、そこまでに!!」
さっきの名誉男爵さんがボク達を止めた。というか動けないんだけどね。ボクは脳震盪で、将軍は感電で。
「最初に言ったように話し合いがしたくて来たのです。休戦しましょう」
まあ、いまコイツに攻撃されるとどうしようもないからね。
「わかったよ。休戦しよう」
ボクは後ろにドサッと倒れこんだ。こんなに強い人間は初めてだ。
「わたしには幻影系の魔法は通じません。おば・・・お嬢さんの姿も見えていますよ」
おば?・・・看破系のスキルを持っているのかな?しょうがない。
「ぷふぁ~フードにマスクまで付けてると熱いニャ」
幻想魔法を解くと目の前の将軍がフードをはね上げて顔をだした・・・
「・・・プ、プルーニャ!?」
「ニャ・・・ニンフェア!?」
「「こんな(にゃ)ところでな(にゃ)にをしてるんだ!」ニャ!」
「・・・お知り合い・・・でしたか?」
コルニオロという軍人から少し距離をとり時間をもらった。
「プルーニャ!エリカの町で情報収集してるんじゃなかったのかい!?」
「ニンフェアこそゴブリンに化けてこんにゃ所でにゃにしてるのニャ!?」
「「いや、これには事情が・・・」」
・・・
「事情って、こんな所で侯爵軍人と一緒にいて・・・今、侯爵軍が動いたらどうするのさ!」
「ゴブリンに化ける事情ってにゃんだニャ!・・・ソフィーの護衛はどうしたのニャ!」
「「いや、それはそうな(にゃ)んだけど・・・」」
・・・話が進まないね・・・
「それで?あの侯爵軍人は信用できるのかい?」
聞こえない程度の小声でプルーニャに確認をとる。
「みゅ~・・・どうだろうニャ・・・悪い人じゃにゃいと思うけど・・・」
プルーニャの野生の勘でも敵意は感じていないようだ。
「まあ、少なくとも。ボクたちの姿を見ても平気そうな顔をしてるね」
「あっ!?フードとっちゃってたニャ・・・」
プルーニャが慌てて耳を押さえている。もう遅いって・・・
ボクの羽にプルーニャの猫耳としっぽ、それを見ても平然としているということは、どこかでボクたちを見たことがあるのか、別大陸にいるボクたち種族の存在を知っていたのか・・・
バレたのならしょうがない。プルーニャと一緒にコルニオロと名乗った軍人の所に歩いていく。
「えーっと、それで話がしたいってボクとかな?」
馬上のコルニオロに声を掛けると、さっと馬から降りて胸に手を当て一礼してきた。
「ええ、色々事情がありまして。少し長い話になるので、良かったらエリカの町で食事でもしながら話しませんか?」
「ふむ・・・」
相手の懐に入るのはあまり得策ではないけど、あそこはホームタウンだしね。この人より裏道も詳しいから何とかなるか。それより情報がほしいね。
「いいよ。行こうか」
プルーニャが平然と馬に乗りコルニオロさんがその後ろに乗る。・・・よくそんなに無防備に背後を取らせるなぁ・・・
「狭くてすみません。良かったら後ろに・・・」
「結構だよ。飛んでいくからね」
浮遊で浮き上がると【飛翔1】で馬の隣に並ぶ。
「飛翔魔法とは、珍しい魔法をお持ちですね~あ、良かったらコレを。羽が目立つといけませんし」
そう言って着ていたローブを脱ぎ手渡してくれた。
「・・・借りておくよ」
そしてエリカの町に向けて出発したのだった。




