53話:コルニオロとプルーニャ
昨日は少し呑みすぎましたね。
昼過ぎに起きて冒険者ギルドに顔を出しました。形だけでもA級冒険者を探す振りをしておかないと、他の仕事に回されてしまうかもしれませんので。
侯爵様によって「迷宮」が閉鎖されたせいで冒険者が徐々に減ってきているようですね。地元の冒険者はともかく、他領から来ている冒険者の目的は「迷宮」ですからね。ますます冒険者の確保が難しくなってしまいました。
わたしがこんなに苦労するのもある意味侯爵様のせいなのに。
扉を開けギルド内に入ると、音に気付き何人かがこちらを振り返りました。数人の舌打ちくらいでからんでくることはなかったのは幸いですね・・・
掲示板の所にやってきて確認してみたところ、わたしが出したゴブリン・ロード討伐依頼に書き込みがありました。まさか!?A級冒険者がいるのか?・・・それとも冷やかしかな・・・そっちの方が確立が高そうですね・・・
念のためカウンターに行くと昨日の残念受付嬢がいたので声をかけました。
「すいません、依頼書に書き込みがあったのですが・・・」
「ああ、昨日のお貴族様ですね。ちょっと待ってください。プルーニャさん!依頼者さんが来ましたよ!」
「んにゃ?」
ギルド兼酒場になっているロビーの奥で、テーブルに突っ伏して寝ている人がいました。全身黒いローブに身を包み手足すら肌が見えません。
椅子からひょいっと飛び降りると、ててててーっと小走りでやってきて唯一肌が見えている顔を見せました。昨日の猫人族ではありませんか!?
「あにゃたが依頼主さんかニャ?わたしはプルーニャですニャ。少しお話が聞きたくてニャ」
場所を移してお話を聞くことにしたニャ。
ギルドの酒場はあまりおいしい匂いがしにゃいからニャ。
昨日のお店にやってくると何人かから声をかけられたニャ。
「お、昨日はおごってくれてありがとうよ姐ニャさん!」
「1杯どころか3杯ごちそうになったぜ!すまねえな、ありがとうよ」
笑顔で手を振ってカウンターに行くと、昨日の店主さんにまたお魚料理を頼んだニャ。
「昨日と同じのお願いニャ」
「また来てくれてうれしいよ。腕によりをかけるから少し待ってくれよ!」
昨日と同じ席につくと足をブラブラさせて料理を待つニャ。
隣に依頼主さんが座った時やっと思い出したニャ。
「あ!依頼主さんは昨日そこに座ってた人だったのニャ?」
「やっと思い出してもらえましたか。昨日はごちそうになりました」
そうだったニャ。お話を聞こうと思ってすっかり忘れてたニャ・・・まあ、今から聞くから問題にゃいニャ。
「ゴブリン・ロードって聞いたことにゃいけどそんにゃのがいるのかニャ?」
「まあ、最後に討伐されたのが40年以上前ですから、知らないのも無理はないですね~」
ゴブリンと言えば、ニンフェアが侯爵軍にぶつけて相打ちにしたらしいけど、その中にロードってゆーのもいたのかニャ?
「それに、少し変わったロードでして・・・倒すと言うか・・・できれば、話し合いができないかと・・・」
「魔物と話合い?」
みゅ~・・・ゴブリンが言葉を話すにゃんて聞いたことはにゃいけど・・・リロッコみたいに意思疎通はできるゴブリンにゃのかニャ~?
「あっと、自己紹介がまだでしたね。わたしはリッチ侯爵軍の参謀を務めている、コルニオロ・ダ・フィオーレ名誉男爵と申します」
にゃんと・・・敵だったニャ・・・
侯爵軍には消耗してもらいたいから依頼を受けるのはやめておこうかニャ?でも、領民が襲われたらソフィーが悲しむしニャ~・・・う~ん・・・
「わたしはプルーニャですニャ。さっき冒険者登録したからランクはFだニャ」
「構いませんよ。身のこなしや歩き方を見ていれば分かります。かなりの腕ですね。A級相当と見ました」
みゅ~・・・ランクFと言えば諦めるかと思ったけど、見抜かれてるみたいだニャ。
「わたしはできればゴブリン・ロードとは戦いたくないと思っています。何か望みがあるのならば叶えても良いとさえ」
変わった人だニャ・・・さて、どうしたらいいかニャ~・・・ソフィーかニンフェアに相談したいけど・・・
「わたしの望みはロードと争うことなく「12歳前後の女の子」の安全を確保することなのです」
ふみゅ~・・・侯爵軍の人だけど、領民を守りたいのか~
「戦いは好きではないので、のんびり平和に暮らすためにロードを説得できれば、と」
悪い人じゃにゃいみたいだニャ。
「へいおまち!クエの煮物とブリ大根、サーモンのカルパッチョに刺身の盛り合わせだ!ついでにサザエのつぼ焼きはサービスするぜ!」
「待ってたニャ!!モグモグモグ・・・」
モグモグ食べているとフィオーレさんが、
「あの・・・プルーニャ殿?」
「待つニャ、ソフィーがモグモグ、食べるかしゃべるかモグモグ、どっちかにしろってうるさいからニャ」
どっちにするかって?食べるにきまってるニャ♪
「はあ、ソフィーさん・・・ですか?」
フィオーレさんが黙ってくれたので食事に集中するニャ。今日もおいしいにゃぁ~昨日はにゃかったサザエのつぼ焼きもコリコリでおいしいニャ♪貝を逆さまにして煮汁も残さず飲み干すニャ。
ゆっくり食事をしてお腹いっぱいににゃったので今日も金貨を一枚渡すニャ。
「ごちそうさまニャ~今日もおいしかったニャ!あまった分はまたみんにゃで呑んでニャ」
うおおおおおっ!と酒場が歓声に包まれてわたしも気分よく酒場を後にするニャ。にゃんにゃにゃんにゃにゃ~ん♪
「ちょっ!ちょっと待ってくださいよぉおおおおっ!」
あ、忘れてたニャ。フィオーレさんが涙目で訴えてきたニャ。
「にゃんだったかにゃ?ん~ゴブリン・ロードを説得するために拘束でもすればいーのかニャ?」
「ええ、できれば・・・」
ふみゅ、フィオーレさんから情報が得られるかもしれにゃいしニャ。ちょっとくらい手伝って上げてもいいよニャ?
「わかったニャ。手を貸すニャ!」
「おお、ありがとうございます!助かります!」
フィオーレさんが両手を握ってきて上下にブンブン振って喜びを表現してるニャ。
「はっはっは、いや~うれしいですね~もう10歳若ければ惚れてるところでしたよ」
「にゃ?」
「ん?」
ああ、フィオーレさんがもう10歳若ければってことかニャ、一瞬勘違いしちゃったニャ。そんにゃに歳がいってるようには見えにゃいけど、意外に年上にゃのかニャ?




