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第6話 日記 ~2日目~

 二日目。


 今日から新入生は本格的な授業を受ける事になる。待ちに待ったアカデミーでの勉学。一体どういう授業が待っているのだろうか。そう心を踊らせながら登校すると、教室で一人、静かに自習に励んでいたミテライさんを見つけた。またミテライさんか、と思う人はいるかもしれない。実際、日記を書いている自分も同じ気持ちだ。だけど仕方ないじゃないか。入学初日からミテライさんが気になっているのだから。なので開き直ることにする。明日もきっと、ミテライさんの事で埋め尽くされるんだろうなあ。

 ……話が脱線してしまった。とにかく、僕はミテライさんに挨拶したものの、彼女は何も返してくれなかった。昼食の時も一緒に食べようと誘いかけるも「近づかないで」の一言。この仕打ちには流石に堪えたが、悪いことばかりでは無かった。同じクラスメイトの男子が僕に話しかけてくれたのだ。彼の名前はバンジョウ・アキト。例によって、正確な漢字が分からないのでカタカナとする。他のクラスメイトがミテライさんを避ける中、挫けずに話しかける僕に興味を持ったらしい。こういう所で初めての友達が出来るのだから、人生は分からないものだ。結局、ミテライさんと話は出来なかったけど、アキトという友達に出会えて僕は満足だ。これからもっと友達が出来ると良いな。


 ここからは、今日の授業で学んだ魔法について簡単にまとめようと思う。そもそも魔法とは、人間の体内で生成されるエネルギーを魔力に変換する事で、様々な事象を引き起こす技術である。何も無い場所から火を熾し、水を湧かせ、風を起こす。そういったファンタジーの世界でしか起こり得ないと考えられた超常現象の数々が、現実でも起こせるようになる。まさに夢のような力だ。

 この時、魔法の発動には『術式』と呼ばれる工程が必要不可欠である。口頭で読み上げる『詠唱』で完結するモノから、複雑な魔法陣を描く必要があるモノまで、その内容は多岐に渡る。どんな魔法も術式なしでは成立せず、たとえ発動できたとしても不安定かつ不完全なものになってしまう。なので魔法を行使する時は、対応する術式が頭の中にしっかり入っている事が前提となる。幾つかの術式は授業でも習っていくみたいなので、頑張って暗記していこうと思う。魔法使いが魔法を使えないなんて恥ずかしいからね。


 アカデミーの授業は週五日制だ。明日は土曜日で本来なら休みになる日だけど、今週に限っては別である。何でも新入生への紹介を兼ねた学園行事があるらしく、全生徒参加が義務付けられているそうだ。アカデミー特有のモノだと聞かされているけど、一体、何をするのだろう。今から楽しみでしょうがない。


 今日はここまで。明日も良い一日でありますように。



「……うん。うん」


 書き終えた日記を読み返した僕は一人で何度も頷く。

 アカデミーに入学して二日目の夜。完全個室の寮とあって、まるで自分の家にいるような安心感に包まれていた。

 同時に、学園の空気にも慣れてきたのか、自分の中で緊張が解れていくのを感じる。入学前はアカデミーの環境に馴染めるか不安だったけど、この調子なら上手くやっていけそうな気がした。実際、二日目にして友達が出来たのだから。


「……あっ」


 今日の出来事を回想し、日記に書き忘れていた事を思い出す。締めの言葉まで書いた後だったので少し残念な気分になりつつ、僕はペンを走らせた。



 追伸。


 今日の三、四時間目はオダギリ先生による体育だった。内容は二時間を通したランニング二十キロ。休みなしで陸上競技並みの距離を走らされたせいで、終わった後はヘロヘロになっていた。

 だというのに、これはほんの序の口だとオダギリ先生は言う。……今の時点で体育の授業が億劫になってきた。

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