463.アベル君と性のはけ口と恋の違い。
463.アベル君と性のはけ口と恋の違い。
「教師と生徒とのやり取りにおいての罰則は無いな。」
俺の心からの絶叫を、オスカーはシレっと何事もなかったかのように返した。
ま、十五で成人する世界だ。
成人した者同士と考えれば、罪悪的な部分は無いのかもしれない。
自己責任でね。
「オスカー、ライラ女史だろ?」
「ああ、そうだ。」
「よくもまあ。」
「そんなつもりはなかったのだがな。どうしても娼館には行けず、いろいろ溜めこんで居ったところに、色気の権化のような彼女が現れた。そして、どちらが誘うわけでも無くだな、まあ、ああなった。」
なっちゃったかぁ。
「で、どうするんだ?彼女は貴族の息女と言ったよな?流石にコブツキの未亡人を正室ってわけにもいかないだろうし、側室に迎えるのか?」
俺は極めて真面目にオスカーに問うた。
「まだそこまで決めてはいない。何分初めてだったし、二、三日しか時間も経てないのでな。」
「僕の他に誰か相談は?」
「してはいない。が、多分ジェームズによって父上には知らされているだろうが。」
まあ、そうだよね。
「そうか、そうだろうな。」
「うん。」
そう言ってオスカーは俯いた。
「で、お前、その隈はなんだ?」
「激しいんだ。」
「あっ!」
うちのローズさんも最近激しいのよね。
虎獣人さんも激しそうよね。
エヘッ。
いや、エヘッじゃねーな。
「そうか、そういう事情をうちのローズに聞きたいって部分もあるんだな?」
「うむ、失礼かもしれないが、獣人の性質というものはそうなのかと、ちと思い立ったのでな。」
「けど続けないなら、もう切らなきゃだめだ。続けるなら先の事もきちんと考えて、両陛下に話をしなければならないだろうね。」
「切らねばならぬか。」
そう言って、オスカーは苦悶の表情を浮かべる。
手短で相手が見つかったのに、すぐに手放すのはなぁ、と考えるのは欲望が高まっている男子なら分からんでもない。
だが、己の立場を考えんとな。
周りが混乱してしまう。
まして、正室候補二人がそろそろやってくる。
それまでにこのゴタゴタを片付けないと、さらに混乱することになるだろう。
「これは一回城に帰って、両陛下にご相談差し上げる事案だな。僕ではお手上げだ。ただの恋愛話や下ネタならよかったのだが。」
「なんとかならぬか?」
「では聞くが、オスカー、お前はどうしたいのだ?ただ性のはけ口として、ライラ女史がいて欲しいのか?」
「そうではない!決して!」
「ではどうする?どうしようと思っているんだ?」
「そ、それは。」
「コンコン。」
悲壮な顔のオスカーがふと顔を上げる。
「誰だ。」
乾いた声でオスカーがドアの向こうの人物に問う。
「ジェームズでございます。殿下。ローズさんをお連れいたしました。」
「入りたまえ。」
「ガチャリ。」
普通の寄宿舎の部屋と作りが違うドアノブが重い音を出して回り、豪華な装飾が施されたドアが開く。
「失礼いたします。オスカー王太子殿下。アベル・ヴァレンタイン辺境伯嫡男付きメイド、ローズ。お呼びにより参上つかまつりました。」
ローズはそう言うと、見事なカーテシーで礼をした。
うちの嫁さんは、できる女だなぁ。
などとのぼせていると、
「ローズ、わざわざ済まなかったな、アベルの隣にでも座ってくれ。」
そう言ってオスカーがローズを俺の開いた隣のソファを勧める。
「ありがとうございます。殿下。しかし、下賤のメイドの身。主人と一緒と言えど、同じソファに座るなどできかねます。お申し出をお断りするようで大変心苦しいのですが、私は主人の後ろで控えている方がよろしいかと思います。」
ローズはそこまで一気にまくしたて、一息つくと、また言葉を発する。
「殿下が私めなどの料理を所望したとのことでしたので、ジェームズ様により運んで頂きました。その準備をいたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか?」
「あ、うん。」
そう言ってオスカーは頷くのだった。
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本作は長編となっています。
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