462.アベル君と欲望の捌け口
462.アベル君と欲望の捌け口
高笑いをしている俺たちを、他の三人は白い目で見ていた。
まあ、そりゃねぇ。
しかし、他に良い案も出ぬまま、打ち合わせは終了。
このまま寄宿舎に戻って、ローズの美味しい料理を食べようと、部屋を出たその時。
俺の肩に手を回して引き寄せる者がいた。
「まだ帰るな。用事があるんだ。」
肩を抱き寄せ、俺の耳元でそう囁いたのは、疲労困憊していたオスカーだった。
「お前、こんな所をオリビィのファンに見られてみろ。更に噂が再燃するぞ。」
俺はオスカーを諫めた。
「今は言わせておけばよい。どうせ貴様の作戦が始まるまでの事だ。」
「あまり過信せんでくれよ。効果はすぐに出ないだろうし、出るとも限らない。」
俺は胡乱な目でオスカーを見た。
そのオスカーは疲労のたっぷり詰まった隈が付いた目を細め、
「ふん、まあ早いところオリビィに続きを書かせてくれ。それよりだ。話を聞いてくれ。まずは私の部屋に行くぞ。」
「わかった。もう手を離せ。腹が減った。ローズの料理が食べたいんだ。手短にしてくれよ。」
俺がそう言うと、
「なるほど、いい意見が聞けるかもしれぬ。ローズも呼ぼう。料理とやらも一緒に運んでもらおうではないか。」
は?おま、舐めてんの?
と言えぬのが宮遣いってもんよ。
「ローズは王族の方々には慣れていない。手心を加えてくれ。さもなくば。」
「王城を高温の蒼い炎で燃やすか?ローズの為ならそれも厭わぬという顔をしているな。いやいや、ちょっと女人の真理を聞きたいだけだ。手荒なことはせぬし聞かぬよ。まあ、貴様が旨いと言って食べている料理は食べさせてもらうがな。」
そう言って、皮肉気に口を歪めた。
こいつ、こんな表情できたっけ?
「分かった、仕方ないな。つまらん話ならすぐ帰るからな。」
「ああ、しかしそれは貴様らの取りよういかんだろうがな。こちらとしては真剣なんだ。ジェームズ、アベルの部屋に行ってローズを呼んできてくれ。料理が出来ていたなら、それも一緒に。」
「畏まりました。」
廊下で控えて俺たちを見守っていたジェームズさんが、さっと身をひるがえし、俺の部屋の方向へ廊下を歩いてゆく。
「じゃあ、私たちも私の部屋へ参ろう。」
「へーへ。」
俺はやる気なく返事をしてオスカーの歩く後ろをついて行った。
「ふん。」
やる気のない俺を見たオスカーは、鼻を一つ鳴らし、そのまま自分の部屋へと向かった。
オスカーの部屋に入り、オスカーは一つ独立したソファに座り、俺は三人がけの長いソファに座った。
「さて、何があった?」
「実はな、とある令嬢とベッドを共にした。」
あら、そりゃ、おめぇ。
「とうとう側室候補を迎えるつもりになった?」
俺がそう言うと、オスカーは渋い顔になり、
「まあ、貴様ならそう言う話になるであろうな。」
「違うのか?」
「いや、違わないのだが、ことは複雑だ。相手は未亡人。そして子持ちだ。」
ぶっはぁ!!!
より取り見取り、選び放題の奴がよりによってコブツキをってか!
「なぜそうなったか聞いても?」
オスカーは俺の質問に対して、眉間に皺を寄せ、
「欲望?」
と、一言。
ああ、これね。
「欲求が不満してた?」
「有体に言えば。」
彼奴、言いよる。
「で、相手は誰だ。」
「貴様もよく知っている方だ。」
オスカーは、そう俺に言ってくる。
「学校関係者?」
「ああ。」
「まさか!彼女って未亡人だったのか!!いや、それより先に、お前より十歳は上だろ!!」
「うん、まあ、そうだな。」
「いや、いや、歳はまあ、置いておこう。僕も彼女は十分魅力的に見える。オスカーが我慢ならなくなるのも分からんでもないさ。」
「そうか、アベルは分かってくれるか。これで百万の味方が出来たようなものだ。」
「だがな、」
そう言って俺は頭を抱えてオスカーに聞く。
「この学校は、教師と生徒が関係を持っていいところなのか?」
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