29.アベルくんとお馬さんの話。
29.アベルくんとお馬さんの話。
ヴァレンティア市内施設案内がヴァレンタイン辺境伯領行政改革案発表になってしまった。
話を戻すよ。
三つの公営の遊技場のご案内。(未成年立入禁止)
一つ目は【賭場】。
まぁ、カジノなんだけどね。
この世界にはちゃんとトランプに似たカードゲームやサイコロがある。
で、前世で見たようなゲームがあって、賭け事が出来るわけだ。
賭場の建物とその内部は煌びやかで綺麗らしい。
3歳児は行っても仕方がないからね。
冒険者が多い街だからね。こういう施設は人気がある。
地下に潜られて非合法な賭場が開かれるよりは健全でガス抜きにもなるんだろう。
賭場の周りにはホテル、レストラン、バーなどが立ち並んでる。
まんま繁華街になってんだよね。
賭場の営業時間は24時まで。
併設されてる騎士団詰め所は24時間営業。
ご苦労様。
明かりの魔道具のお陰で遅くまで営業できる。
道路も街灯が照らしているしね。
周りのレストランやバーもそれなりに遅くまで営業中だ。
眠らない街とは言わないまでも、人の賑わい、活気は旺盛な街になっている。
次にご紹介するのが城塞外にある大きな競馬場、【ヴァレンティア競馬場】だ。
ここ、ヴァレンティア競馬場はノヴァリス王国内の二大競馬場として知られている。
もう一つはセイナリアにあるノヴァリス王国競馬場ね。
この二つの競馬場にはそれぞれ違った特徴がある。
特に違うのは馬の品種だ。
ヴァレンティア競馬場で走る馬は、ガタイが良く、当たりも強い軍馬が用いられる。
冒険者の街であると同時に、軍と騎士団の街であることがこれでよくわかると思う。
競技は大きく分けて二つ。
一つはトラック競争。
多少の当たりは有。迫力がパない。
あたりまえだけど、極端なことをしたらそりゃ反則だよ。
もう一つは、ばん馬だ。
重りを乗っけたそりを引かせて、坂とか荒地とかを走らせて競争させる競技。
前世の北海道でやっている、ばんえい競馬に似ている。
馬がさらに一回りデカい。大迫力だよ。
どちらも軍と騎士団の訓練から派生された競技らしいね。
トラックは騎兵、ばん馬は兵站からの派生だってさ。
レ-スのある日は競馬場の外は出店で賑わって、祭りの様相だ。
競馬場は騎士と兵士で大賑わい。もちろん冒険者を含む一般市民も好きな人が多いようだ。
そして、うちのエドワード爺ちゃんと、ローランド父さんの大好物だ。
この時ばかりは仕事を忘れて貴賓席に陣取り楽しんでいる。
もう一方のノヴァリス王国競馬場で走らせられている馬の品種は、前世でいう所のサラブレッドに近い。
見れば全然違う品種の馬なんだけれど、走るために品種改良された馬たちという意味合いならば、近いと言えるんじゃないかな。
研ぎ澄まされた綺麗な身体をした馬が多いらしい。
競技もシンプルにトラック競技だけ。
坂があったり、多少の障害はあるらしいけどね。
競馬場はVIP専用スペース、上級貴族スペース、貴族スペース、馬主スペース、一般スペースと、ヒエラルキーごとに細かく見物スペースが設けられている。
貴族全体用の大広間もあり、貴族の社交場としても機能しているようだ。
馬主は、たとえ下級貴族であっても競馬場では優遇される。
優れた競走馬の馬主なら、それだけでステータスは爆上がりだそうだ。
競走馬を育てるのがうまい領地もあるんだって。
それだけで領地経営がうまくいっているようなところもあるという話。
爺ちゃんや父さん、チャールズ団長に言わせると
「あれじゃ戦場では使えまい。」と口を合わせる。
おまえら、語るべきはそこじゃ無いだろと。
エドワード爺ちゃん、王都でさんざん見てきたんじゃないの?って聞くと
「王の護衛で見る機会は多かったし、レース自体は血がたぎる思いもした。だが、うちの競馬と比べるとな、わかるだろ、アベル。」
と、言うから
「見たことないからわかんない。」
と、正直に答えた。
俺の答えを聞いた爺ちゃんは、天を見上げ、ため息をついていたよ。
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