12.アベルくんとちびっこメイド。
12.アベルくんとちびっこメイド。
「失礼します。」
また誰かが子供部屋に入ってきた。千客万来だな。
明らかに子供の声だ。おそらく、ちびっこメイドの二人組だろう。
ちびっこメイド1号は、ドワーフのリサ。ロッティーのお付きメイドだ。
6歳か7歳でドワーフらしい素朴な顔をしてる。あまり表情を変える娘ではないんだけど、笑うと可愛らしいよ。
仕事は主にロッティーのお使いや、身の回りの世話という名の遊び相手だ。
一緒に勉強をしていたりする、っていうより、ロッティーから一方的に勉強を教わっているなぁ。
リサはよくロッティーのお使いで図書室へ行かされている。
ロッティーの読書量は多いからね。
重そうに本を抱えてくる姿は、ハラハラするよ。
しかしこの城にはどれだけの蔵書があるんだろう。
ロッティーが読み散らかしている量を見るだけで、かなり多いと推測は出来る。
まあ、そのうち図書室に行くこともあるだろう。そん時までのお楽しみだな。
ちびっこメイド2号はローズ。俺のお付きメイドらしい。
歳はロッティーと同じく、5歳になったばかりみたいね。
顔立ちは整っていて、年相応に可愛らしい。
あ、ちなみに俺にロリ趣味はないよ。俺のほうが年下だし。
種族はオオカミの獣人で、頭からモフモフの耳が出ているし、身体に合わせたちっこいメイド服のお尻の部分から、モフモフのしっぽが出ていて、いつもゆらゆら揺れている。
いつか存分にモフりたいものだ。
現在、俺の面倒は乳母であるマリアさんが全面的に見てくれるので、ローズはマリアさんのサポート役って感じだ。
空いた時間は、やっぱりロッティーに勉強を教わっている。
今は読み書きの練習をやっているっぽいね。
簡単な童話をロッティーが読み聞かせしたり、蝋版ていうの?なんだか板の上に蝋を塗り重ねてあるものを、鉄で出来た鉛筆のようなもので、その塗ってある蝋に文字を書く道具を使って、単語の書き取りとかや っているみたいだ。
「算術もやるわよ。」ってロッティーが話しているのが聞こえたから、算術もやるんだろう。
基本的な四則演算までかな。でもロッティーの事だから、幾何とか微積分とか始めたらどうしよう。
しかしさ、4、5歳の子供たちを働かそうってどういうことなんだろうな?
労働基準監督署は仕事したまえよ。
こんなん見つかったら、意識高い国々から「児童労働やめろ!子供たちから搾取するな!」ってノヴァリス 王国が怒られちゃうよ。
まあ、この国には国の、働かせている家族には家族の事情ってものがあるんだろうし、リサやローズにも事情があるんでしょ。
あのローランド父さんが無理に働かせているとは思えないしね。
そんなアホなことを考えている俺の授乳を続けるマリアさんに、ローズは何層もの畳まれた布を持って近づき
「マリアさん、換えのオムツを持ってきました。」
と、言った。
「ああ、ローズちゃん、ありがとう。じゃあ、その棚に入れてくれる?」
マリアさんが言うと
「はい。」
と、良い返事をして、ベビーベッド脇に備え付けられた棚に、綺麗に洗濯されたオムツを入れていく。
入れ終わったらすぐに
「汚れたオムツはこのかごの中にあるものでいいんですよね?洗ってきます。」
そうローズが聞くと、マリアさんは
「アンネローゼが使ったオムツも入っているし、私が洗うからいいわよ。」
と、言った。
「大丈夫です、家にいたときも弟たちのオムツを洗っていましたから。気にしないで下さい。アベル様のお役に立ちたいんです。」
ローズが言うと
「じゃあ、お願いしようかな。ごめんね、いつもお使いさせて。」
マリアさんは申し訳なさそうに言う。
「マリアさん、私はアベル様のメイドですので、アベル様の役に立つことなら、いくらでも私を使ってくれていいんですよ。」
胸を張ってローズがマリアさんに言った。
「わかったわ。ありがとう、ローズちゃん。」
そう言ってマリアさんは俺への授乳を続ける。
「じゃ、行ってきますね。」
ローズはかごを両腕に抱え、重そうにふらふらと部屋から出て行った。
それを見送りながらマリアさんは
「アベル様は、まだ小さいのにおモテになりますね。うふふふ。」
マリアさんは優しく俺に笑いかける。
だからね、マリアさん。
俺にロリ趣味はないから。
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