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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第三章 体育祭&杏理編

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第107話 己は戦闘民族かなんかなのか!?




 倉庫内が甲高い金属音で満たされる。

 それは不規則なリズムで響き渡り、偶に紛れる銃声があってもその音は収まることを知らずに鳴り響いていた。

 

 その音の正体は両者、真白と殺し屋のナイフが交差する際に発する音だ。


「凄っ……」


 双方に会話はない。

 ただ斬撃の他、合間合間に入る足技や打撃といった体術が圧倒的に真白の方が優っている。俗に言う肉体言語という奴だろうか? もはや彼らはお互いの技術と獲物を合わせ確かめ合っているのかもしれない。


 もうこれは性別など関係ないだろう。

 これが純粋な真白の強さなのかもしれない。相手の殺し屋もなかなかだが、素人目から見ても圧倒的に真白の方が強いのが分かる。


「クソッ!!」


 ようやく言葉が漏れる。先に言葉を発したのは殺し屋の方だった。

 彼は真白の攻撃の僅かな隙をつき、床を強く蹴って垂直に跳ぶと、二階壁端の手すりを掴み飛び移ったのだ。もはや人間技ではない。


 距離をとったことで真白に銃を向ける殺し屋、流石にこれは真白も対処ができないだろう。


「いやまだだよご主人様」


 突如聞こえた声に振り返るといつの間にやら側に天がいた……かなり近い距離に、


「近……」

「ペットはご主人様の側にいるのが当然だろう?」

「汗臭いから離れてくれない?」

「……ご主人様それは流石に傷つくよ」


 あ、明らかに凹んでるわ。いくらなんでも酷かったか。


「でもなんだろうね……こんな状況だけど身体がゾクゾクしてきたよ♡ 風邪かねご主人様♡」

「不治の病だろ。末期だなそれ」


 そのまま大人しくくたばれ雌豚が、


 残念過ぎる天の発言にため息を溢すと、数発の銃声が鳴った。見てみると真白がステップを踏んで弾丸を回避している。


「大丈夫かよ真白」

「ご主人様心配はいらないよ」


 琴凪君はこんな程度大丈夫さ、と天の発言に首を傾げていた時、真白は壁に向かって走り出し、


 垂直な筈の壁を蹴り上げ足場にし、二階の通路へと着地した。


「「化け物かアイツ(コイツ)!!?」」


 俺と殺し屋の想いが一つとなる。


「日本の学生は皆こんな感じなのか!?」


 違います。(真顔)

 歯を食いしばり真白と対面する殺し屋は再び銃を構えた……が、忘れちゃいけない奴が背後に現れ、


「死ネ」


 包丁を首に向かって振り下ろした。


「殺すな心!!」


 俺の言葉が届いたのか一瞬だけ動きが止まった心に対し、殺し屋は銃で防御して包丁から身を守ったのだ。

 もうなんかあれだ、撃たれはしたけど殺し屋が可哀想に見えてきたわ……。


 ギリギリで防いだ殺し屋は安堵している……


「あ、危なかった……」

「……ギコギコ」

「あ?」

「ギコギコはしないよ」


 が、心は止まらない。


「一度刃が入ったらスーーーっと!!!」

「「ハァァァァァァァァァッ!!??」」


 心が切り裂いた。

 “包丁で”、“ハンドガンを”、である。

 特別な包丁ではない。至って普通の家庭用三徳包丁でだ。


「えぇ!! ちょ!? えぇぇぇぇ!!??」


 これには殺し屋も驚愕である。

 そりゃそうだわ。あれは驚くってあんなの人間じゃないもんよ……(褒め言葉)


「お、驚いた……まさか心君もあんなこと出来るとは……」

「変態に引かれてる時点で心もかなりヤバい奴やん」

「へ、変態ってそれは私のことなのかなご主人様!? 流石にそれは傷つくよ!?」

「うるせえよ変態」

「くぅぅぅぅ♡」


 どこが傷ついてんだよ。天下の生徒会長様が嘘ついて良いのか?? 良いだろう尻出せ尻、思いっきり引っ叩いてやるよ。


 と、そんなことこんな状況でしてたら皆に殺されるかもしれないからやらないとして、


 殺し屋に目を向けてみると、心と真白にボコられて二階から一階へと落とされている。

 もうこれはあれだ、流石に可哀想だなこれ。


「さて、では私もそろそろ行くとするかな」

「え」

「ん? どうしたんだいご主人様何か言いたそうだね?」

「あ、いや、流石にもう良いんじゃないかなと思ってな……」

「何を言っているんだご主人様、私はやられた分はキッチリ返さないといけないんだ」


 うっ……まぁ天の気持ちは少し分かるが、


「この名刀”枝垂桜”も血を欲しているからね……」

「お前それ叩っ斬ろうとしてんだろ!!? やめとけマジで!!」


 天の発言を聞き、俺は刀を抜かないように柄をしっかり握りしめ抵抗する。


「何をするんだご主人様離さないか!!」

「いいやこれ以上は駄目!! やり過ぎだ!! 見てみろアイツもうボロボロじゃないかこれ以上はオーバーキルだって!!」

「なにおぅ!? ええい離してくれ!! やられっぱなしは流儀に反するんだよ!!」

「どんな流儀!? 己は戦闘民族かなんかなのか!?」


 お互い引かず力が入っていく。


「離さないかぁぁぁぁぁ!!!」

「離すわけねぇだろこの変態がぁぁぁ!!!」


 馬鹿みたいに二人の力が刀に加わり、


「「あ」」


 どちらかが僅かに力を緩めた結果、バランスが崩れて勢いよく転倒してしまった。




 そして____何か手が柔らかな物を掴んだ。それはとても柔らかく、まるでマシュマロの様で、触っているだけで幸せ成分が脳から溢れ出す感覚がするそんな二つの塊……、


「嘘やん」

「ご、ご主人様のエッチ……」

「え!!? なにが!!?」


 こ、こんなのただ柔らかいだけの肉でしかないでしょ!? そうだよなんならサーロインとかハラミの方がフワフワだろうが!! なんだよこんなのただの柔らかい二つの肉塊だろうが……!(動揺)


「び、び、びびびび、ビーフシチューの中の肉の方が柔らかいからねぇーー???」

 


 ……うん、とりあえず一揉み。


 モミ。


「ん♡」




 ……あ、ふーんエッチじゃん。




「なにしてるんですか先輩」

「……え」


 突然聞こえる背後からの声はとても無機質で、全身が鳥肌で満たされていく感覚が途轍もなくヤバかった。


 そして何も起こらない筈もなく、


「先輩の浮気者ぉぉぉぉぉ!!!!!」

「ぐぁぁぁぁぁぁ!!??」


 景ちゃんからの平手打ちが頬に炸裂し、壁をぶち抜きボロボロの殺し屋へとロケットの如く突っ込み、俺の意識は一瞬で刈り取られたのだ。


 これだけは言っておこう。


 俺達の勝利だね。(満身創痍)



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