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人罪魔徳  作者: 生焼け肉
序章
1/4

一話 警鐘

こんにちは!

半生焼け肉です!

なろうに投稿するのは初めてですがよろしくお願いします!


 「通ってよし。次の者!」


 そう言われた獣人は尾を揺らめかせながら荷物を両手で抱え街に入っていく。

 街は立派な石の壁で囲まれており、門の前にはライフル銃を持った警備隊が街に入る者たちの荷物検査や国に入るための入国税の受け取りをしている。


 「よし、荷物に問題はない。入国税もしっかりと受け取った。ようこそ、モーデング王国へ。ここは国の端に近い街デングだ。」


 そう言いニカッと笑う警備兵はこの国での注意事項を伝え次の者を呼んだ。

 国の端と呼ばれる街デングは国の入国の際必ず通る街の一つであり冒険者達が拠点にする街でもある。


 「暇っすねー…休憩で酒場にでも行こっかなー…」


 退屈そうに呟く若い警備兵は指で鉛筆を回している。

 その発言を周りの兵士たちは聞いていたが若者の後ろの人物によって聞いていた全員が黙りこくっていた。


 「ぐげっ!?」


 突然若者の頭に強い衝撃が訪れ、頭を擦りながら振り返る。


 「貴様。随分と退屈そうだな?そんなお前に今日は特別なお客様が来ることを教えてやろう!」


 鼠色の髭を蓄えた警備隊長ジーズは表情自体は笑顔だが圧がすごかった。


 「え~!特別なお客様ですか~?わぁ~楽しみぃ~…」


 引き攣った笑みで心にも思っていないことを呟く。


 「どなたが来るんで?」


 古株の質問に対してジーズは。


 「ああ!先の戦争の英雄の一人!白鳥の名を与えられた騎士、ディリレ・ルジット中尉殿とその小隊皆様だッ!」


 少しの静寂の後にその場にいた兵士たちの驚きの絶叫が入国待ちで並んでいた者たちの最後尾まで聞こえた。


 「ルジットって…あのルジットですか!?」


 「先の戦争…確かアプティミ王国の進軍の一部を一人で足止めして結果的にアプティミの進軍阻止に貢献した方だ」


 「その功績で王から騎士の称号と名を与えられた人…」


 「ライジレル法王国からの強襲戦では殿を努め1ヶ月半も行方不明になり、帰還中に包囲された逃げ遅れを救助しながら帰還を達成しているらしい」


 その名が出ただけでその場は騒がしくなり彼の又聞きした英雄談が次々と湧き出ていく。


 「疑問なんだが、なんでまたその英雄がデングに来るんだ?しかも小隊まで連れて」


 最初に質問した古株の質問に対してジーズの返答は


 「魔物関係だ」


 その場の若者以外がそれに納得したように頷く。


 「え?魔物ですか?なんでそんなものに凄い方が…?」


 「そうか…お前にはまだここの入国審査しかやらせてなかったな」


 「そうっすね。まだ研修中です」


 「そうだな。まず、ここの街が他より警備隊が多い理由にもなってるのが魔(・)物(・)だ。他の街でも魔物は来る。その度駐屯兵とか冒険者に依頼したりするもんだが。ここはちょっと特殊でな」


 ジーズの発言を補佐するように古株も続けて話し始める。


 「…ここの近くは敵対してる国が近くにない。あってもライジレル法王国くらいだがあそこもここに来ることはないだろうな」


 「法王国がここに来れないのも他よりも魔物対策を高めてるのも全て…強(・)食(・)の(・)森(・)のせいだ」


 「?なんすか?強食の森って」


 「この国とライジレル法王国、その他周辺国に広がる特殊な森だ」


 「とんでもなく広い。森の中ではオークの国があるとも言われてるくらいだ」


 「ただ広いだけじゃない。あの森から来る魔物は普通よりも数倍デカく、強くしぶとい。そのせいでこの街ができた頃は森から出てきた魔物による被害も酷かった」


 「自分まだ1ヶ月くらいしかいませんけど魔物なんて見てませんよ?」


 「街から遠くで討伐してるからな。定期的に巡回兵が森と街を行き来して森から出てきた魔物を街から離れた場所で駐屯兵や冒険者によって討伐されているんだが…ここ最近魔物の強さのランク、っと言ったところかそれが上がってきている。少し前の討伐で多くの死傷者が出てな。王都に願い出た結果ルジット中尉率いる小隊がここの守護に着いてくれることになった」


 「騎士が率いる小隊は軍の中でも指折りとされるほどだ。随分とデカイ戦力を王都も寄越してくれたもんだ。てっきりアプティミ方面に回されるもんだと」


 「っと、そろそろ交代だ。遅れんようさっさと行け」


 「ういーす。行ってきまーす」


 ジーズに言われ若者は検問所に向かおうと立ち上がった瞬間。

 カンカン

 警鐘が音をあげた。

 ここ最近は音をあげることなく、埃を被り続けるだけの鐘が鳴ったのだ。


 「全員武器を持てッ!列に並んでる者は一時的に内側に入れろッ!」


 ジーズの声と共にその場の若者以外の兵士たちは立ち上がり装備を持って外へ向かった。


 「な、なんすかこれ…」


 「ボサボサするなッ!お前も武器を持てッ!あいつらに付いて行き並んでる奴らを内側に入れたら門を閉じろと伝えてこい!」


 「は、はい!」


 怒鳴り声にビクつきながらも若者は先に出た先輩達の背を追いかける。


 (警鐘が鳴るのは10年ぶりくらいだな…)


 ジーズは言葉に出さず自身の武器を持って見張り台までの階段を駆け上がって行く。

 扉をドカンという乱雑な音と共に開け見張りについていた兵士の一人に話しかけ状況を確かめようとする。


 「警鐘が鳴ったぞ!何があった?」


 下では先程の命令通りに列に並んでいた者達を兵士たちは入れていく様子が見え、そして丁度若者が先輩達に追いつき追加の命令を伝えていた。

 単眼鏡を除き続ける兵士はジーズに気づくとすぐに報告を始めた。


 「ジーズ隊長!こちらに向かって真っ直ぐ進んでいる魔物を確認しました!」


 「やはりか…小さければ我々で討伐できるのだが。…ここからでも視認できている、あの距離で」


 視線はかなり遠くを刺しておりジーズはこちらに近づいているシルエットに対して忌々しげに睨みつけていた


 「ジーズ隊長。近づいている魔物は恐らく…」


 単眼鏡を握り締めている兵士は額の汗が地面に落ちた後に続けた


 「……フ(・)ェ(・)ル(・)ム(・)リ(・)ザ(・)ー(・)ド(・)ですッ」







 「もっと異世界人を転移させるべきだ」


 目の前の髭を蔦のように伸ばしきった男のような者は相対する存在に向かって言い放つ。


 「その世界のことはその世界の住人達に委ねるべきです」


 対して花のように色んな色が混ざった髪を絹糸のように美しく編んだ女のような者は反対の意見を述べる。

 これを彼らはかれこれ長く続けている。

 一方は世界の急速な成長と新たな変化、世界全体の戦力上げを望む意見。

 片方は、世界はこのままゆっくりと進め独自の進化を望む意見。

 双方の意見には一定の理解を思いながらも私(・)はどちらにも付くつもりはない。

 これは私の管轄であり他の神々が口を出すべきではない。


 「双方の意見は分かりました。…がこれは私の領分です。貴方方が口を出すものではない」


 私の目の前の2柱はジッと私のことを見続け、やがて男神の方から口を出す。


 「確かに。これはお前の領分だ。だがあ(・)れ(・)ら(・)と相対したことがない。そしてそれはお前もだ。あれほどの危険因子がこのまま封印されてくれるとは思えん。早急に世界の戦力を上げ、我らの介入無しで倒せるようにするべきだ。」


 「異世界人を送ることも介(・)入(・)なのでは?我らはこのまま世界を見守ることに徹するべきでしょう?そうやって下手に介入し続けた結果、一体いくつのも世界を滅ぼしたのやら…」


 「そろそろやめてください。元々異世界人を送ることは決定事項です。そして送り過ぎもよくありません。先の天(・)罪(・)大(・)戦(・)をもうお忘れですか?異世界人のお陰であの大戦が予定よりも早く終わったのは喜ばしかったですがその後は異世界人が起こした国による戦争や国盗り合戦などでかなり世界が傷つきました。確かに。私は貴方方よりも若い神です。知らないこと、記録でしか知らないものもあります。しかし、誰が何を言おうとこれは私の領分。誰も手出しはさせません。」


 そう、これは私の仕事。

 どんな神にも介入はさせない。

 なぜなら


 「私こそが運(・)命(・)の(・)神(・)、ロスティール。過去、現在を手繰り未来を紡ぎ世界を管理する者。何者にも介入はさせません。」


 あらゆる生まれた者にせめてもの安らぎを与えることが私の仕事。


 「既に今回召喚する者は決めてあります。そしてどこに召喚されるかも。」

本作をご愛読していただき、ありがとうございます。

楽しんでいただければ嬉しいです!

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