六甲山系を歩く 再度山①
趣味の山歩きについてのエッセイです。
山は兵庫県の六甲山系限定です(笑)
初回は再度山です。さいどやまと読んではけません。
不定期連載となりますが、山登りに興味がある方、既に山登りをしている方に読んで頂けると幸いです。
山歩きはいいものである。山の中を歩いていると意識せずとも木や花や土の香りが自然と鼻腔をくすぐる。
僕の住む神戸は山と海が近い。どこからでも山が見えるし、海から離れていても少し高い所に行けば海も見える土地柄である。
あまりにも近すぎて神戸では方角を表現する際、北や南ではなく山側、海側という言葉を使うほどだ。山は見れば分かるので北だの南だの言うよりもわかりやすいのだ。大抵の場合は電車の駅から降りた時、山側が北側、海側が南になっている。ただし山も海も一直線ではないのでたまに東や西になったりするが山と海は変わらない。
そして六甲山系の山にはいくつもの登山口がありほとんどの場合電車の駅から歩いて行ける。
少し遠いところはバスで行くのがおすすめだ。いくら運動するつもりで出かけていても街中を長々と歩くのは苦痛だ。登山靴を履いていかにも山に登りますよという格好をしていればなおさらである。街中でそのような格好をして歩いていると自分が浮いているように感じてしまう。
さて、タイトルが「六甲山」ではなく「六甲山系」と書いたのには理由がある。六甲山と言うのは主に標高九百三十一メートルの六甲山最高峰のことを指すが、そこから東西に延びる山脈も六甲山系と言う。つまり単体の山の最高峰と山脈の名前が一緒と言うことで、ヒマラヤ山脈の最高峰の事を「エベレスト」ではなく「ヒマラヤ」と呼ぶようなもので、なかなか紛らわしい話ではある。
六甲山系の山々は西は塩屋と言う神戸のかなり西のあたりから東は神戸と飛び出して、宝塚のあたりまで伸びており全長はルートにもよるが最長五十六キロと言われている。
その五十六キロを縦断することを六甲全山縦走といい、各登山団体主催の大会もあり愛好家が多い。
縦走と言うくらいで登り以外は走らないと一日で制覇することは難しい。
僕が参加した二十代の時でも走れるところはほとんど走って十時間以上かかった。歩くとほとんど休憩なしでも十五時間以上はかかるだろう。
最近は安全性を考慮し走るのは禁止の傾向になっているようだ。
なので、前日の終電でスタート地点まで行って、例えば夜中零時に出発して夕方に宝塚に着くようにする。あるいは中間地点の市ケ原と言うキャンプが出来る河原で一泊して二日かけて制覇と言う方法もある。
トライルランの猛者であれば七時間くらいで制覇できる人もいるらしいがそういう人はフルマラソンでも三時間切るようなガチ勢なので当然普通の人は真似できない。
まあ、全山縦走について語ると長くなるので今回はこれくらいで。
さて、山を登るときアプリなどで目的までxxキロと表示されたりするが、これはそのまま鵜呑みにしてはいけない。これは地図上の平面的な距離であって高低差があると道が縦に延び、実際の距離はそれ以上になるからだ。さらに上り下りの疲労も重なり、たかだか一キロ進むのにも膨大な体力を消費する。
尚、六甲山系のような比較的低い山の昇る際、一番良い季節は冬である。九百三十一メートルの最高峰はまだしもほとんどの山では山頂との気温差がほとんどなく、夏は脱水症状や熱中症の危険が高い。十月ごろから三月ごろがベストシーズンと言えるが桜も見たいので四月までとしておこう。
とは言いながら私は年中、月に二、三回登っているので当然夏場も登る。先ほど触れた脱水症状や熱中症を防ぐためには、こまめな水分補給や通気性のいい帽子、ひんやりする首巻きなどいろいろなグッズで装備を準備することが肝要である。あと、日焼けもえげつないので日焼け止めは勿論、服も長袖、長ズボンが好ましい。薄くて軽い長袖やズボンは専門店でなくても量販店で売っているのでそちらで買い求めた方が安上がりである。
個人的にはズボンとしては某量販店で売っているジョガーパンツがおすすめだ。軽くて通気性がよく十二月くらいであれば冬でもいける。
更に夏場は蜂やアブなどの虫が多く発生するので、そう言った意味でも長ズボンをお勧めします。整備された山道であれば半ズボンはまあ、許容範囲だがサンダルなどは論外で、アリやムカデに襲ってくれと言ってるようなものである。
さて、前置きが長くなってしまったが、今回紹介するのは再度山である。この山は神戸の中心地にあるJRの元町駅から登ることが出来、新神戸駅に降りるルートで歩きやすく整備された道があり、途中に茶屋や自販機などもあるため、初心者にもおすすめの山だ。
時間は休憩三十分を入れて三時間半ほどみていれば初心者でも大丈夫だろう。
ただし、勘違いしてほしくないのはいくら初心者向けで比較的安全だといっても危険のない山など存在しない。十分な準備と安全遵守の心構えが必要であることを書き添えておく。
今回は比較的メジャーなルートをご紹介しよう。
季節は四月ごろ、比較的暖かい季節として服装は軽くて風通しの良い長袖と長ズボンがいい。
靴下は足、特に爪を傷めないよう分厚い物。
帽子は必須。日よけのこともあるが、落石や木の枝が突き出ているような場所でも防御力を発揮する。落石は小さなものであっても皮膚が切れて出血したり目に当たったりする可能性があるのでちゃんとつばがある帽子の方が安心だ。
雨合羽は百均で良いので必ず持っていく事。
出発地点はJRか阪神の元町駅、あるいは地下鉄の県庁前でもよい。
JR西口の改札前にコンビニがあるのでここで準備ができる。僕の場合はスポドリ一本とお茶一本、と昼食のおにぎりを買っていく。非常用にエネルギーバーや飴等を持っておくとよいだろう。
ようやくスタート地点至ったところで横断歩道あるいは歩道橋を渡って北、つまり山側に向かって歩く。
最初は当然街中だが既に坂道である。途中には小学校や行列のできるパン屋、カレー屋などが立ち並ぶ。
神戸に住む人は常に山とともに生きているので多少の坂道は気にしない。
しばらく行くと県庁がありその間を抜けてさらに山へ向かう。
兵庫県にも各自治体がありそれぞれはそれぞれの地区を管理しているのに、そのとりまとめ部署である県庁が恐ろしく大きいことに驚く、ゆうに数千人は職員が居そうだ。まとめるだけなのだからそんなにいらないだろうと思うのだが。
なんてちょっと社会派ぶったことを考えているうちに山に突き当たる。正確には諏訪山公園および諏訪神社だ。
諏訪と言う名前の神社は全国各所にあり総本山は長野権威ある諏訪大社であり、「諏訪大明神」を祭る神社である。
ここからが登山口となるがルートとしては諏訪山公園、諏訪神社、その横の一般道と三種類ある。一番楽なのは一般道で舗装された緩やかな坂道を登るルートであるが、今回はヴィーナスブリッジを通るルートを紹介したい。
そのためにはまず諏訪神社に行かねばならないが、ここが結構な急坂になっていていきなりアキレス健に負担がかかる。箱根駅伝の五区を目指す人であれば格好の練習場所であるが、参道なので走ってはいけない。
急坂を登った後さらに階段を上った先が諏訪神社。ここで山中の事故に遭わないようお祈りしていきましょう。
そして神社の右手から脇の道に出てさらに登り、ヴィーナスブリッジを目指します。
続く




