【番外編】⑧『すでに、周囲が理解済みのことを、わざわざ大声で言わないでください。』
大学名に、赤沢とは冠がついていませんが、ある予感はしました。
今度は、新設予定の大学の公式ホームページを出します。役員一覧を見ました。理事の先生肩を偉い順、つまり上から調べます。
ずらりと縦に並ぶ、理事さんの肩書きを、心で読み上げます。専務理事の先生で、わたしの目は止まります。肩書きに、赤沢学園ナントカ長とありました。
新設大学の理事長先生は、わたしが不勉強で、全然存じ上げない多くの経歴を持つ、おじさんです。
どうみても、わたしが通う赤沢二高の系列校です。ありがとうございました。
「理事の先生、赤沢学園の方だから、うちの学校とカンケーあるみたいだよ。でも学校法人は別みたい。系列校から、頼まれて断れなかったのかな」
「ここの学食も、加登さんがメニューやレシピ考えてくれるのか?」
浪前、それ以上話したら、今現在、学食でおいしい料理を提供してくださる、方々に失礼です。しかも、声大きい。同じクラスの生徒で、家族が学食で働いている人がいたら。わたしは、背筋がゾワッと冷たくなります。
「期間限定で、加登さん監修のお弁当販売してくれないかな」
学食の方々に失礼にならない範囲の発言でした。コンビニさんも、有名な料理人さん監修のお弁当を、売ってたりします。浪前が余計なこと、いえ、失言をする前にわたしが、止めに入ります。
「『共トレ』で、社会人の方から、聞いたんだけど、もし、どこかの法人が倒産しても、経営者が一緒でも、法人を別にすれば、別法人となってれば、もう片方は、倒産しなかったりするんだって。赤沢二高は、大学が赤字でも、関係ないよ」
全国展開をしている会社でも、東京に本社があっても、北海道本社、沖縄本社などがあるのは、別法人にしてあるから、本社と名乗るそうです。
初めてしったときは、賢い方法と思いました。母へ、得意げに話したら、世間では珍しくもないことですが、触れないほうが良いそうです。浪前のせいで、話してしまいましたが、声量は、絞りに絞ってです。
「加登さんが、特任教授になる来年開学予定の大学。専務理事の先生が、この学校法人でナントカ長の先生だよ。赤沢二高の宣伝になるから、うちの高校で料理教室開くんだ!」
浪前が大声で、わたし、俺木、暇つぶしの姫が、すでに理解済みのことを、わざわざ口にします。
彼は、新たな発見をしたのです。『共トレ』の撃ち合い試合に勝ったような、満足そうに、笑顔です。
「おい、そういうことは、大声で言わないほうがいいぞ」
俺木が眉をひそめています。
わたしも、わざと、眉を寄せながら、肺の空気を出しながら、周囲を見渡してます。
浪前に困っているを、しっかり仕草で伝えます。
暇つぶしの姫も、ビクっと首が震えてから、肩を竦ませて両肩が上がります。大慌てで、スカートの裾を抑え直しています。
だから、最初からスカートで机に座るなよ。わたしは口にしたくてもできない、もどかしさがありました。
「やーらしいのいたの?」
わたしが尋ねました。自分のクラス内ポジションだけを、気にしている暇つぶしの姫は、スカートを覗こうとした男子がいたのでしょうか。
無言なので、エッチでゲスな男子生徒がいたんだだと、はっきり分かりました。




