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追放された雑用係、実は最強の古代魔法使いでした  作者: ラーラーリールー


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第1話 追放

夜の雨が降っていた。


王都アルディアの冒険者ギルド。


その二階にある会議室で、レインは静かに立っていた。


目の前には、自分が三年間所属していたSランクパーティー『蒼天の剣』の仲間たち。


そして中央にはリーダーのカイルが座っている。


重い空気だった。


だがレインには、なぜ呼び出されたのか分かっていた。


最近ずっと感じていたからだ。


仲間たちの視線。


会話が止まる瞬間。


依頼の後に聞こえてくる不満。


その原因が自分だということも。


「レイン」


カイルが口を開いた。


低く冷たい声だった。


「話がある」


レインは小さく頷く。


「はい」


しばらく沈黙。


やがてカイルはため息をついた。


「率直に言う」


その瞬間。


胸が少しだけ痛んだ。


嫌な予感が当たると分かっていたから。


「お前をパーティーから外すことにした」


静かな声だった。


しかしレインの耳には大きく響いた。


追放。


たったそれだけの言葉なのに。


三年間の全てを否定されたような気がした。


「……理由を聞いてもいいですか」


レインは必死に声を絞り出す。


すると前衛のガルドが鼻で笑った。


「理由?」


「分からないのか?」


隣に座る魔法使いのセリアも腕を組む。


「戦闘で何もできないからよ」


「荷物持ちしかしてないじゃない」


レインは言葉を失った。


確かにその通りだった。


彼には剣の才能もなければ魔法の才能もなかった。


だから雑用を引き受けた。


荷物を運び。


食料を管理し。


地図を作り。


仲間の装備を手入れした。


自分にできることを必死に探した。


だが。


戦えないという事実だけは変わらない。


「でも……」


思わず言葉が漏れる。


「俺は皆の役に立てるように――」


「立ってない」


カイルが遮った。


冷たかった。


「もう限界なんだ」


「これから先は危険な依頼が増える」


「戦えないお前を守りながら戦う余裕はない」


その言葉に反論できなかった。


間違っていない。


何一つ。


だから余計に苦しかった。


「明日までに宿を出てくれ」


カイルは袋を机に置く。


中には金貨が入っていた。


「今までの報酬だ」


レインは袋を見つめる。


三年間。


一緒に戦った。


笑ったこともある。


危険な依頼を乗り越えたこともある。


仲間だと思っていた。


だが。


彼らにとって自分は違ったらしい。


「……分かりました」


それだけ言った。


泣きたくなかった。


惨めになりたくなかった。


だから頭を下げる。


「今までありがとうございました」


返事はなかった。


レインはそのまま部屋を出た。


誰も引き止めない。


それが答えだった。



雨は強くなっていた。


ギルドを出ると冷たい風が吹く。


レインは屋根の下に立ち尽くした。


行く場所がない。


王都に知り合いも少ない。


冒険者としての実績もない。


Sランクパーティーに所属していたと言っても、雑用係だった人間を雇いたがる者はいないだろう。


「終わったな……」


思わず呟く。


空を見上げる。


黒い雲。


降り続く雨。


まるで今の自分みたいだった。


その時だった。


――ドンッ。


誰かと肩がぶつかる。


「すみません!」


慌てて振り返る。


そこにはフードを被った老人が立っていた。


「ほっほっ」


老人は笑った。


「気にするな」


不思議な雰囲気だった。


ぼろぼろのローブ。


しかし目だけは異様に鋭い。


老人はレインをじっと見つめる。


そして。


「面白い」


小さく呟いた。


「え?」


「いやなに」


老人は笑う。


「若者よ。人生とは不思議なものだ」


「失う日もあれば、得る日もある」


意味が分からない。


だが老人は気にした様子もなく歩き出した。


数歩進んだところで立ち止まる。


そして振り返った。


「北へ行け」


「北?」


「辺境の村アストラだ」


老人は微笑む。


「お前の運命が待っておる」


そう言い残し。


次の瞬間には人混みの中へ消えていた。


レインはしばらく立ち尽くした。


意味が分からない。


怪しい老人だった。


普通なら忘れる。


だが。


なぜか胸の奥に引っかかった。


辺境の村アストラ。


そこに何があるのか。


もちろん知らない。


だが。


王都に残る理由もなかった。


レインは雨空を見上げる。


そして。


小さく息を吐いた。


「……行ってみるか」


その選択が。


やがて世界の運命を変えることになるとは。


まだ誰も知らなかった。


第2話 辺境への道 へ続く。

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