医学を無理矢理進歩させる
病院にて。
「これはまた、見たこともないような器具ですが。」
「顕微鏡というものです。最近開発した、とても小さな物が見える機械です。」
「これで何を見ようとしているのですか?」
「病気の原因を作っている生き物です。」
「先ほど、このガラスの板に2人の結核患者の唾を乗せましたよね。そして、これが私とローマンさんのもの。」
「はい、確かにそうです。」
「この4つのサンプルを順にみて、それぞれの共通点をおっしゃってください。」
「ええ、何だか小さい粒が見えます。これは生き物なんでしょうか。」
「大変ゆっくりとした動きなので、相当長く見ていないと分からないと思う。」
これは光学顕微鏡で倍率はせいぜい400倍がいいところだろうが、これでもオーパーツである。
「確かに、私たちのものには、この粒は見えません。しかし、これは悪魔の仕業ではないのですか?」
「確かに悪魔の仕業の病気もあると思う。しかし何でも悪魔が関与している訳では無いことが、これで証明されている。同じようにはしか、天然痘、黒死病なども同じような仕組みで起きる病気だよ。」
「この菌という粒を悪魔が産み出しているということではないのですか。」
「これを長時間観察していると分かるが、この粒が分裂して増えているんだ。悪魔の意志ではなく、この菌の意志でね。」
「それは、異端の考えではないのですか?」
「今まで目に見えない生物が起こしていた病気を悪魔の仕業と勘違いしていた。ただそれだけのことだよ。だから、病気の研究を医学界が行うとともに、宗教界は悪魔が何をしでかす存在かをもっと分析しないといけない。そういうことだと思う。」
「しかし、よく分かりましたね。」
「顕微鏡ができたおかげで最近、分かったんだよ。」
そういうことにしておかないと、説明がつかないし、私が悪魔扱いになっては困る。
「信じられないものを見ているんですね。本当に・・・」
「伝染病はその多くが同じだよ。そして、予防薬を作ることは可能なんだ。」
「え・・・結核を予防・・・」
「発症してしまうと治療は大変だけど、予防はできる。ワクチンというものを作るんだけど。」
「ぜひ、教えて下さい。」
「もちろん。その研究も行って欲しいんです。また血清療法というものも、今の技術で可能ですし、開腹手術が可能なほど優秀な鎮痛薬も作ることができる。」
「まさに・・・神の領域ですね・・・」
「まあ、これから追々説明していくよ。取りあえず、目の前の患者を治療しながら少ない医師で何とかしていかないと。」
「これは、知り合いの医者は全員連れてこないと!」
「そうですね。信頼できる人は、できる限り集めないといけませんね。」
まあ、取りあえずは信じてもらえたかな。




