ファッションデザイナーとマイスター
アインツホーフェン夫人にだいぶ削られたが、まだ倒れる訳にはいかない。
翌日は面接2件。
「今回は辺境からの募集に応じていただき、誠にありがとうございます。」
「まあ~!坊ちゃんかわいい~」
知ってる、知ってるよこの雰囲気!
でざいなーがあらわれた!ってヤツだ。
「お目にかかれて光栄にございます。閣下。」
いや、閣下って言われるほど偉くないんですけど、濃いなあ・・・
「それで、私たち針子にどのような物をご所望かしら。」
「まず、領内では綿糸や生糸の生産に努めております。これを使った斬新で全く新しい衣服を作り、未開の辺境と揶揄される状況を打破したいと考えております。」
「辺境で新たなデザイン、でございますか?」
「自由に創作してもいいのかしら~?」
「勿論です。むしろ、既存の物を焼き直すだけでは、ただの生産地を何ら変わりがありません。新しい流れを作り出して、帝都の人たちの認識を変えたいのです。できますか?」
「まあ~面白そうねえ。ワタシもちょっとがんばっちゃおうかな~。」
「閣下、是非私たちを存分にお使い下さい。必ずやお望みの物を作ります。」
「わ、私も精一杯頑張りマス。」
一人だけマトモな、いや何かが・・・
でも3人とも採用した。
続いて楽器職人。
「辺境で楽器製作とは、これはまた酔狂ですな。」
「確かに、我が領地は辺境ではありますが、酔狂では無く、産業発展を目的としています。」
「貴族様のお遊びでは?」
「いえ、今までにないものを作りたい。そのためには技術者による指導が欠かせません。」
「ほう、今までにない。」
「今回、製作いただきたいのは管楽器です。その最たる用途は騎士団、つまり軍に楽隊を組織したいのです。そして、そこに今までに無い楽器や既存のものであっても大幅に性能を向上させたものを使いたい。」
「面白そうだが、アイデアはあるのかい?」
よし、乗ってきた!
「ええ、ここではまだ明かせませんが、運指に今までに無い機構を採用します。もちろん、新たに作る楽器は、これまでに無い音色を持ちます。」
「何で軍隊なんだい。」
「兵の士気を上げ、領民に身近に感じてもらえる騎士団にすることですね。それに楽隊となれば、一度に大量の楽器が納入されますし、屋外で披露することで、より多くの人に知ってもらえます。将来的に一般化すれば、充分商売としても成り立つと考えています。」
「分かった。協力しよう。」
「いいんですか?」
「面白そうだ。今まで聞いたことのないような目的、新しい楽器なんて・・・そんなこという人は貴族でなくても珍しい。協力するよ。」
未開の辺境に来てくれる人がいるのか不安は大きかったが、まあ、何というか、予想以上に上手くいった。




