娯楽を作る
この世界には娯楽が少ない。
もちろん、このルネサンス期前後とおぼしき時代に現代のようなものがあるとは最初から期待していない。
せいぜいあっても大道芸、後は貴族の嗜みとして観劇やチェス、絵画、刺繍、音楽鑑賞、狩猟がある程度で、読書でさえ紙が貴重なせいで一般的ではない。
「今度は何を描いているのですかな?」
「木製の遊具だよ。庶民にも娯楽は必要だからね。こういったものを集めた遊園地なんかを作ると子供たちも喜ぶと思う。」
「ゆうえんち?」
「そう。憩いの場というより娯楽を目的とした公園さ。貴族階級はきっと危険だとかはしたないと言って避けるだろうから、どちらかというと庶民層向けの娯楽になるだろうけど、これだって商売のネタになると思うよ。」
「それで、これが遊具というものですか。」
「これはシーソー、こちらはブランコ。」
「ああ、これなら見たことがあります。」
「そして、公園のおよその配置はこれ。ここにあるのが水遊び用のプール。」
「しかし、坊ちゃんの頭の中からはいろんなものが出てきますなあ。」
「そしてこれはテニスラケット。」
「何だか難しい名前ですな。」
もう長い名前をいちいち覚えるのはやめたらしい。
「これはスポーツというものだね。仲間同士で楽しく運動するためにルールを決めて勝負する。そのための道具だよ。」
「楽しそうですな。」
「ボールを使ったスポーツのほか、力比べや格闘技、短距離や長距離を走る競技の他に、跳んだり跳ねたりする競技なんかも普及できればと思う。」
「格闘技なら騎士団でもやっていますが。」
「あまり危険でない範囲で庶民にも広げられたらと思う。それに領民を集めた競技大会とか学校で運動会なんかすると盛り上がると思わない?」
「お祭りみたいなものですな。」
「お祭りといえば、8月と10月にやってる祭りも伯爵家として協力して盛り上げたいね。」
「ほう、そのためのアイデアもあるのですね。」
「うん。火薬も出来たことだし、花火を作ろうかなと。それに領民が参加して歌や踊りを企画するのもいいし、祭りそのものにお金を補助してもいい。」
「いろいろ考えれば出てくるものですなあ。」
ついに花火スルーされたよ・・・
「それと金属加工工場ができるので、帝都から楽器職人を招きたいと思ってる。音楽も重要な娯楽になるしね。」
「楽器・・・ですか。本当に何でもするのですねえ。」
既存楽器の改良や、まだ存在しないサックスやチューバなんかを作る。
だって顧問だし・・・
アドルフさんごめん。




