エルハバード、人命救助する
帝国歴245年11月
さて、給料も払って今日から11月。
月初めに景気よく、と行きたいがあいにくの雨。
いかに温暖なリンツ領とはいえさすがにこの季節ともなると肌寒い。
「坊ちゃん、これ以上雨が強くなるといけませんので、早めに出発しましょうや。」
「そうだね、今からなら11時前には到着できるね。」
今日はスーディル港施設整備案と水深調査完了を受けた現地調査だ。
図面が雨に濡れるなあ、なんて考えながら予定より30分早く屋敷を出る。
「ごめんね、ゲルハルトも濡れちゃうけど。」
「酒が身体に染みわたるんで、これくらいが丁度いいんでさあ。」
「えっ?もう飲んでるの?」
「いやいや、まさか坊ちゃんを乗せてるのにそこまでしませんぜ。まあ一応、懐には入ってるんですがね。」
飲む気マンマンじゃねえか!
今日はセバスが別行動なので、ゲルおじさんは絶好調である。
私も一人で車内に居るのは退屈だし、一人で濡れているゲルハルトが気の毒なので、御者台に座っている。
「うん?・・・ゴミ?ってもしかして。ゲル!止めて!」
市内に入ってすぐ、道に何かがあると思ったが、あれは多分人だ。
いや、犬か何かであって欲しいとは思ったんだが・・・・
「お、おい坊ちゃん、どうしたんで!」
「人だよ人。倒れてる!」
ゲルと二人で何とか馬車に乗せる。ボロボロでずぶ濡れの子供だ。
「港に向かいますかい。」
「スーディル城の方が近い。急ごう!」
程なく館に到着する。
「おじさ~ん、いる~?」
「まあまあ坊ちゃま。お久しぶりです。」
出てきたのはコジマさん。
ここに勤めるおばあちゃんメイドだ。
「子供が倒れてた。助けたいけどおじさんいる?」
「ええ、とにかく中に。」
子供を運び込んでソファに寝かせる。
「ゲルハルト、済まないけど港に知らせてきてくれる?それと帰りに医者を連れてきて。」
「分かりやしたぜ、坊ちゃん。」




