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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
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右腕も勝手に動く

 当家の執事セバスチャン。

 常に冷静沈着で紳士なナイスミドル、いや、ザ・執事である。


 人柄は温厚で怒った顔など見たことも無く、いつも余裕と気品が感じられる。

 何事も淡々とこなす、忠義に篤い人物である。


 そして意外なことに若い時は騎士だったそうで、失言製造機の師匠でもある。

 祖父の代から戦場の経験もあるとか。


 そんなセバスは今年49才。何と私と同い年である。

 いろいろあって晩婚だったそうだが、娘さんが一人いる。

 ちなみに孫はまだいない。

 そんなセバスは今日も動く。


 帝国銀行予定地では・・・

「今ならこの価格で買いますぞ。替わりの土地はここなどお買い得でしょう。差額で今より立派な家が建ちますが、1年後はどうでしょうなあ。土地も資材も値上がりしておりますので。」

「奥様、大通り沿いは最近馬車が増えてうるさいでしょう。ここなら閑静で商店街からも近いですぞ。」



 また、別の場所では・・・

「ほほう、お宅様は大工でしたか。ならば町の状況はお分かりでしょう?今なら自分の家を自分で建てるチャンスではないですか。稼げてるんでしょう、今。」

 つ、強い、強すぎる。

 彼は四天王の中で最強。

 まあ、マリアさんとゲルハルトと失言おじさんとの中年カルテットだが・・・


 さらにセバスは動き回る・・・

「んん?ここは確か山林のはず。山ならいくらでもあるのに敢えてそちらに話を持ちかけているのですぞ。相場は当然知っておりましょうに・・・」


「さてさて、投資するなら今ですぞ、若い有能な人材はきっと商会のお役に立つはず。先んずれば人を制すといいますぞ。」

「は、はい。執事長様・・・」

 ロスリー商会長もあえなく撃破される・・・


「レンガの買い占め?いけませんなあ、我が主も申しておりました。商売は自分良し、相手良し、世間良しが理想であると。ところで、当家にはいくらでお売りいただけるので?」


「我が主は金の成る木に実った金の卵、一代の英雄にございます。今から恩を売っておくべきでは?」

「ええ、それは私もそう思います・・・」

「時は金なりでございます。近くに銀行があると楽ですなあ。今だと馬車で往復4日近くかかるところを歩いて僅か5分。これでは勝負になりますまい?」

「そ、それはもちろん協力させていただきます。」

 きっとロスリー商会長が最大の被害者だ。


「いやあセバス、最近すごく調子がいい気がするんだ。ツキが回ってきたのかなあ?」

「ホッホッホ。そうですか。それは良いことでございますな。」


 無意識のうちに動く右腕がとんでもない外弁慶だと本体が知るのは、もう少し先にことである。



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