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志村恭介編 古城
「やっぱり、そうですか。これは西方城南西の、小高い丘の斜面で見つけたものです」
「・・ふうん・」
「何と言う石ですか?」
志村が聞くと、又少し考えるようにしながら高村が
「うん・・この石は榴輝岩と言って、正式にはエクロジャイトと言う名の高圧で変成を受けた岩石だ。世界的にも産地は限られて居る」
「成程・・で?どこの産地ですか?」
「・・・お前が行っていた四国の土居町、赤石山系の権現岳が有名だ」
「四国の石と言えますね?」
「そうだ。お前がそっちで拾って来たんじゃないのか?」
「いえ・・こっちで拾ったものです。そう言えば、脇坂博士は我々が四国で拾ったその榴輝岩・・エクロジャイトに興味は示しませんでしたが・・」
志村は少し質問気味に高村に言うと、今度はその足で西方城址に向かった。どこかにこの石と同じ物が存在していないかを調べる為である。丁度その頃、品川も西方城に合流して来て、
「先生、目ぼしいものはありませんでした」




