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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第70話 水魔法の実戦

アクアリザードを倒した蓮は、剣を下ろした。


「……覚えたばかりだけど、使えるな」


 先ほどまで何度も失敗していた水魔法。


 今は、自分の意思で水を生み出せる。


 蓮はもう一度、右手を前へ向けた。


「水魔法」


 手のひらに魔力が集まる。


 シュッ。


 小さな水球が生まれた。


 そのまま前へ飛ばす。


 バシャッ!


 水球が岩にぶつかり、弾けた。


「……威力はまだ低いな」


 火魔法と比べると、攻撃力は明らかに低い。


 だが――


「使い方次第か」


 蓮は水球をもう一度作る。


 今度は形を変えてみる。


 細く。


 鋭く。


 魔力を集中させる。


 水が細い刃のように伸びた。


「……こういうこともできるのか」


 魔力操作を使いながら、形を変える。


 水は火よりも自由に形を変えられる。


「面白いな」


 蓮は水の刃を消した。


 そのときだった。


 水面が揺れた。


「……またか」


 《気配察知》が反応する。


 水の中から、複数の気配が近づいてくる。


 蓮は剣を抜いた。


 次の瞬間。


 バシャッ!


 三匹のアクアリザードが一斉に飛び出した。


「三匹か」


 それぞれが口を開く。


 魔力が集まっていく。


「水弾……!」


 三方向から水弾が飛んできた。


 蓮は横へ跳ぶ。


 水弾が地面を叩く。


 その隙に一匹へ接近する。


「まず一匹」


 剣を振る。


 ザンッ!


 アクアリザードの身体を斬り裂いた。


 残り二匹が襲いかかる。


 蓮は一歩下がった。


「水魔法」


 右手から水球を放つ。


 バシャッ!


 一匹の動きを止める。


「今だ」


 踏み込む。


 剣を振る。


 ザシュッ!


 二匹目が倒れた。


 最後の一匹が飛びかかってくる。


 蓮は身体を捻って避ける。


 そのまま背後へ回り込んだ。


「終わりだ」


 剣を振り抜く。


 最後の一匹も倒れた。


「……悪くない」


 蓮は剣を見つめる。


 そして、右手を見る。


「水魔法も、戦いに使えるな」


 まだ覚えたばかり。


 威力も弱い。


 それでも、相手の動きを止めたり、牽制したりすることはできる。


「火魔法とは違う使い方ができそうだ」


 蓮は周囲を見渡した。


 31階層には、まだ広大な水場が続いている。


 先ほど戦ったアクアリザード以外にも、魔物の気配がいくつもある。


「もう少し試してみるか」


 蓮は剣を構えた。


 水魔法を使う。


 剣で斬る。


 魔力操作で魔法の形を変える。


 それぞれを組み合わせながら、少しずつ戦い方を変えていく。


 戦うたびに、水魔法の扱いにも慣れていった。


 小さな水球。


 水の刃。


 足元へ水を流して相手の動きを乱す。


 まだ完成した技とは呼べない。


 それでも――


 蓮なりの使い方が、少しずつ形になっていった。


「……これなら、もっと強くできそうだ」


 蓮は前を見る。


 水に囲まれた31階層。


 その先には、まだ見たことのない景色が続いている。


「行くか」


 剣を手に、蓮は再び歩き始めた。


 水魔法を新たな武器として加えながら――


 31階層の探索を続けていく。

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