4話 止まない赤雨の98戦線
<133X年イゴリオ戦争 ヴェル戦 98戦線>
指揮官「突撃―!!」
兵士たちの声「うおぉぉぉぉぉ!!」
群衆が突撃するが天へ連れ去る雨粒により先頭から崩れていくが歩みはとまらない
昨日まで一緒に笑っていた数百人の戦友が、一時間後には……となって斜面を埋め尽くし、その体を盾にして進まなければならないほどの地獄
狂っていなくても狂わないと進めない
最初から狂っているものでも更に狂わざるを得ない、それほどの地獄の環境
それを数えたらもはや狂う事すらできない日数…
もうどれほどの朝日を見たのか、明日も見れるのか…
明日も見るのか…
狂気地獄の向こう側にある【無】
そこにはメテウスが無になり走り続けていた
メテウスの顔に雨粒がかすり赤い跡が走る
無数の雨粒がかすり赤い跡を走らせるがメテウスは無のまま走り続ける
【無走無双】
<439部屋>
薄暗い室内。
戦況が反映されている盤面。
ハンバーグ作戦に取り掛かる。誰かがこの泥を被らねば、我が国という機械は止まる。私で良かったのだ。
前線の兵士の家族から届いた手紙には、我が子を危険な作戦に出さないでほしい、という無心の手紙に対し、自筆でこう返信の文が描かれている。
貴殿の息子の命は、我が国の宝である。私は一秒でも長く彼を生存させるための計算に、今この瞬間も命を削っている。
ボロボロになった一冊の手帳。
そこには、ヴェル戦以降の、自軍の淘汰数、と、それによって、救われたはずの推定生存者数、が、血の滲むような筆致でびっしりと書き込まれていた。
自分の計算が一人でも多くの若者を救えているか、誰にも言わずに確認し続けていたのである。
私の名前は、最悪の汚点の代名詞として残るだろう。
それで構わない。
だが、もしヴェル戦から生きて帰った者が一人でもいるなら、私の計算は無駄ではなかったのだ。
———
続く
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