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囚われのアリシア~私にだって意地がある!~  作者: ホマージュ
第二章 遊戯大国クムルンランド  中編
13/51

激動の前の静けさ

少しだけ時間がとれるようになってきた!

まだ続くよ

「髭の方が楽に言えるし、髭に任せちゃおうかな」

アリシアはベッドに転がりながら自分の爪を眺める。

「そうか、ならカブに断りを入れなきゃな」

「うーん、めんどくさいなぁ…」



昼過ぎ、

カブの牧場に訪れたアリシアだったが、

牧場を前にきびつを返し、走り出そうとする。

が、

「おい。」

ルシリアに襟を掴まれ止められる。

「なんか言いにくいから…ほら、ね。手を除けてくれない?」

竜の握力にアリシアは抵抗出来ない。

「自分で蒔いた種だ、しっかりと回収してこい。」

「えぇー!だってー」

なんてやり取りをしてる間に大分離れた場所からなのにカブに見つかってしまう。

「ほら、手を振ってるぞ」

「まじ?顔なんてこの距離見えないじゃない、こっちは気付かなかったことにして帰りましょ。」

「だめだ、」

「あーん、もう!わからずやー!!」

襟を掴まれながら引きずられてカブの元へと向かった。


「急にどうしたんだか?」

「えっと、その…」

「まあだ手紙が書き終わらなぐてよ、何枚も書き直ししてんだよ。って、あぁ!貸す馬を見に来たんだな?それならあっちの小屋に別にして休ませてるだ、今連れでくっからまっちょってくれな。」

「あの!」

「?」

「それ…なんだけど…えっと、なかった事に出来ないかな、なんて。えへ」

状況と言っている意味を理解出来ていないカブに経緯と現状をルシリアが説明をすると、ポカンとした表情のカブは少ししてから理解すると、

「そっかぁ、」

と一言。

「ごめんなさい」

視線を地面に移し、

「謝らんでぐれ、変などこ見せちまったなぁ、おらんことは気にせんで中央楽しんで来てくれな。」

涙を堪えているのだろう、早々に話を切り上げ背を向け力なく歩きだすカブに

ルシリアは耐えられなくなり叫ぶ

「手紙は早めに書き上げておいてくれ、いつ出立かわからん。」

アリシアはあからさまに嫌な顔をするが俯くカブには見えていない

俯きながら腕を額の位置に持ち上げると

「ありがどうなぁ、明日には書ききるからよ、頼んます」

深く深くお辞儀をするカブ

「あぁ、出立が職人次第になってしまうから早いと二日三日で出来上がってしまうと思われる」

その後のカブはただお礼を言うだけだった。


「なんで同情しちゃうかな、アンタにとって人間なんて皆食べていいやつかダメなやつかなのに!」

「娘を心配する父親の事を考えたら見ていられなくなってね。」

「ふーん、まぁ私も少ーしだけ同情はしたけどさ」

本当かよという眼差しのルシリアにアリシアは気付かない。


「おう!来たなおじょーちゃん。」

「えぇ、進捗状況を見に来たのだけれど…」

「工房の奥で分担して造ってるからよ、まぁ見てってくれよ。」

「えぇ、ありがとう」

ガタイのいい職人は扉を抑えつつ、アリシアに続いて

入ってくるルシリアを惚ける様に眺めていた


職人に案内されるまま奥に進むと、最奥の壁が無くなっていた。

そしてまだ馬車の形などしていないが、おおよその大きさは見てとれた。

「大きいのね…」

「折角ウチラの工房に風穴を開けたんだ、換金屋の要望以上には造るつもりだぜ。」

ふーん、と興味深そうに土台を見つめていると

職人がルシリアをチラチラ横目に話しかけてきた。

「ところでよ、その…なんだ?…えーと…」

「?」

「出来たら、赤髪のねーちゃんと晩酌を付き合って貰えるともっと仕事が捗るんだけどな」

「いいわよ。」

アリシアのまさかの即答に、職人は硬い拳を握りしめ見事なガッツポーズをする、

「私は嫌だけど。」

たった一言に屈強な職人は崩れ去った。

「あら、ルシリアが行かないなら私もパスしよっかな。」

「第一、私は無垢な人の方が好みなんだ。」

「へぇー。そうだったんだ。初耳~」

なんてやり取りをしながら工房の取り壊された壁を越えて歩いていった。




彼は震えていた

どこかの貴族っぽい女2人が帰った後に

全く動きの見えない若親方に心配した弟子は声をかけるも

「若親方、大丈夫、ですか?」

反応は無い、

肩に手を触れようとした瞬間だった。

急に立ち上がり上を向く若親方。

「ご褒美だっ!!!」

なにがなんだかわからない。

「年上の強気なべっぴん御姉様に!!俺も…押し倒されたかっ…た……ぁ」

こんな若親方を見たことは無い、弟子は何もみていなかった事にし、さも何事も無かったかのように作業に戻った。

その後も若親方はどこかを見つめ妄想に耽りながらずっとその妄想を呟いていた。




「でも意外だったわ、ルシリア」

アリシアがルシリアに追い付くと横で笑う

「なにがだ」

「だってカブに同情するくらいだから晩酌にも付き合ってあげるのかなーって」

ニヤニヤしながら口を押さえるアリシアに

「私はああいう男は嫌いなんだ、女に不自由ない余裕からか、下手にでてるのに自信がたっぷりのあの表情。考えただけで寒気がする。」

「へぇー……」

ルシリアの初めてみる表情に興味深そうに眺めるアリシアはクスリと笑った。


明日もまだ馬車は出来ていないだろうし、

明日は何しようかな?

ランド中央の情報収集でもしようかな、


空を見上げると特にあの日と変わらない。

だけど、あの日を戻す為に私は今ここに立っているのだ。と未知の国の中枢に入る事に期待と興奮が隠せずにいた。


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