vip待遇
更新が1ヶ月以上空いてしまい申し訳ございませんでした!
そして何度も閲覧頂いている方々に感謝を!
最後にグダグダ回があと二話位続きます。
その二話目でルート分岐致します。
ほんの少ししか物語は変移しませんが、
何度かルート分岐が御座いますので、頑張って下さい。
ガシャガシャと音を立てる風呂敷を肩に担ぎ、何やら悲しそうにトボトボと歩くのは赤髪のルシリアだ。
先程カブにこの街だけでなく、国全体でこの鎧は着ない方がいい、と忠告を受けたからだ。
宿代を払う為に来た換金所にてこれらを鎧としてではなく、宝石や金属そのものとして売るつもりなのだ。
当然、本来の値では売れないだろう。
しかしそれでも尚馬車の為の資金には到底足りないように思えた。
「普通の馬車ってどれくらいかかるものなのかしら」
アリシアはポツンと呟く。
かつてアリシアの乗っていた王族御用達の馬車は聖金貨なら2000枚、純金貨ならば100枚は下らない。
換金所に着くと、アリシアは受付台に掌大のオレンジ色の宝石を出した。
店員はギョッと目をむき出し、慌てて奥へ走って行った。
アリシアはルシリアの方を見やると、布袋を抑えて動こうとしない。
よっぽど気に入っていたらしい…
しかしアリシアには関係ない。
「ほら、早くあんたも出しなさいよ。出すもん出したら早く楽になれるわよ」
嫌がっている様を見ているともっといじめたくなるのがこの娘、アリシアである。
ルシリアも応じて頷く。
が、手は布袋から離さない。
「ねぇ、あんた。…」
アリシアがそこまで言うと奥から白髪の髭と先程の店員が慌てて駆け戻ってきた。
「大変お待たせ致しました。こちらを換金するということで宜しいでしょうか?」
ルシリアにだけわかるようにチッと舌打ちしてから笑顔を作った
「えぇ、お願いできるかしら。」
「えっと、失礼では御座いますが、盗品とかではないのですよね?」
「はぁ?」
思わず口に出すと白髪の髭はペコペコと謝っている
「…コホン。これはお母様から10年程前頂いたものですの、正真正銘私のものですのよ。」
身なりはしっかりとしているものの、どこか不自然な金髪の美女。
後ろに控えるのは長身の赤髪の女である。
何故か鎧の下に着るかたびらを着け、大きな布袋を持っており、従者?なのだろうか。こちらもそれを気にしなければ気品のよい美女である。
この奇妙な組み合わせも合いまり、疑わずにはいられなかった。
この宝石一つでこの街ニズウェルの年間予算を上回るだろう。
しかしそれに見合う金額の紙幣がこの換金所には、いや街にはなかった。
髭の出した答はこれだった。
「こちらの宝石はお預かり出来ません。」
「はぁ?」
「とても状態もよく、それにこの大きさ。私共ではお受け出来ません」
「はぁ?」
アリシアはイラついたのか後ろに控えるルシリアを睨みつけ、無理矢理布袋をひったくる。
途端、小さく「ぁ…」と聞こえた気がしたが気のせいである。
布袋をひっくり返し、ガシャガシャと鎧やらを台に広げる。
台に広げられた鎧や甲冑、手甲や兜どれをとっても一級品の中の一級品。
オーダーメイドされた特別品である。
宝石しか鑑定出来ないが、素人目でも破格の金額が付く事が容易にわかる。
「こ…こちらも私共ではお受け出来ません。」
汗を拭いながら言い放つ白髪の髭に
アリシアは苛立ちと怒りを、
ルシリアは安堵を覚えた。
「お客様、恐れ多いのですが、当街にはこれ程大きな金額になる物は他の換金所と合わせましても換金出来るだけの紙幣を用意しておりません。」
「私達、馬車が欲しくてこの街に来たんだけれど。」
ストレスの所為か、余所行きの口調が崩れてしまっている
「それでしたら現物支給として、専用の馬車を用意させていだだきますので、その間vipとしてこの街に滞在して頂く、というのはいかがでしょうか?」
一瞬沈黙が流れた。
「お代は此方の宝石のみで結構です。勿論!滞在中は追加のお代は頂きません!」
アリシアはチラ、とルシリアを見ると
ホッと胸を撫で下ろしているようだった。
その様子をじっと睨みつつ、深いため息を吐くと前に向き直し白髪の髭に
「わかったわ、宜しくお願いするわ」
アリシアの心の中では他の2つの換金所に行くことも視野に入っていたが、
妹をあまり虐めても、楽しいが得にはならないと判断した。
当然、白髪の髭もこんな上物を換金してくれる客などそうそうおらず、是が非でも他店でなく、自店で換金してもらいたい。
その為にも、後々の事も考え最大限にこの客に手を尽くす事にしたのだ。
結果、暫く休業し換金業を行えなくなったとしても。
最後まで閲覧有り難う御座います!
次回更新はもっと早く出来るように頑張ります。
ルート分岐、今月中には出しますので宜しくお願いします!