第1部「狩りの開拓」 第14話 最凶
ここはどこかにある洞窟
そこに一人の女が座っていた。長身痩躯をそれに見合わないフルプレートメイルと巨大な斧で武装している。そこで彼女はずっと何かをつぶやいていた。
「・・・・・れ・・・・。・・・・ま・・・・・だ・・・・・・や・・・・」
目は焦点が合っておらず、ただ腕に掻き抱いた斧に喋りかけているようだった。斧からは血よりも濃い紅いオーラが溢れていた。
※※※
あの「ブリッツ帰還事件」から一夜明けた今日、俺たちはブリッツとの連携訓練ということで新しく解放された荒原フィールドへやってきていた。俺たちが倒れている間にグランドラゴン討伐は終了してしまったらしく参加賞らしいショボいアイテムがポーチに入っていた。だが嬉しいことに七大ダンジョンの地図はどのギルドにも現れなかったらしい。結局デマだったようだ。
そういうわけで今回は俺、ウコン、サクヤ、ブリッツの3人で狩りに来ていた。だが、いつもの狩りと決定的に違う部分があった。ブリッツ以外がガスマスクのような頭装備、というより「ガスマスク」というアイテムを装備した怪しいパーティーになってしまった。
ガスマスク レア度5 頭防具
様々な毒を無効化してくれる装備。だが防御力は皆無で見た目がとても怪しい。
スキル 「状態異常無効化」
「俺ら、今めっちゃ怪しいよ。絶対に」
「文句言うな。ブリッツの実力が知りたいんだろ」
「絶対昨日の一件で分かったやろ?」
「はははは、私の実力が知りたいならば結構。かまわん。試しにそこらにいるモンスターで試してみよう。ほら、あそこにモンスターが」
ブリッツの指さした先には巨大なトカゲが眠っていた。頭の上の名前表示を確認してみるとフレイムリザードと出ていた。
「さぁ、始めようか」
ブリッツはフレイムリザードに向かって駆け出した。フレイムリザードはブリッツに気が付くと口を開けて威嚇をしだした。すると喉が赤く輝いていき、口から炎が放射状に広がった。
「ブレス!」
「大丈夫だ。見てな」
ブリッツは手錠に繋がれた鉄球を振り回すとフレイムリザードの頭に振り下ろした。頭蓋に鉄球を受けたフレイムリザードは混乱の状態異常を引き起こすとともに毒、麻痺、睡眠の状態異常にかかりあっけなく体力を0にして息絶えた。
「何が起こったんだ?」
「アイツはユニーク種族の「ヴァンパイア」のスキル「状態異常強化」で状態異常がかかりやすくなってる上に幸運にステータスのほとんどを割り振ってるから高レベルのモンスターでもすぐに状態異常判定で当たっちまうんだ。それにアイツの持ってる武器「血界の拘束」は攻撃力だけじゃなく周囲にいるすべてを状態異常にする力がある。それがたとえモンスターだろうとプレイヤーだろうとな」
血界の拘束 レア度10 両手用戦槌
かつて吸血鬼の王を捕らえていた手枷だが、今はその怨念を宿し生きとし生きるすべてに災厄をもたらす武器と化した
スキル「吸血王の怨念」「殺戮のち血煙」
「さて、私の力を見せたところでラグナ君。君に一つ質問がある」
「なんだ急に?」
「君、ユニーククエストを受けたことあるでしょう?」
「!!」
「おいブリッツ。なんだそのユニーククエストとかいうのは?」
「ユニーク種族の前にのみ現れるクエストで失敗すれば二度と現れず、またユニーク種族だからといって必ず現れるわけではない。私の「血界の拘束もその報酬で手に入れたものですよ」
「そう、俺はユニーククエストを受けてクリアした。今装備してる「反逆者」シリーズの装備がその証だ。それがどうした」
「あなたが何かに囚われているように感じたからですよ。良ければ話していただいても?」
「ああ」
そう、あれは半年ほど前の話だった。




