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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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完成したわかめスープと今後の予定


 十日ほどの滞在で豆腐や鰹節作りにフリーズドライ製法という新たな魔法を作り上げたマモルとエルエル。乾燥したワカメとフリーズドライ製法を使い乾燥した豆腐と鰹節から作った粉末出汁にケットシーたちが作る塩で味を付けたわかめスープにお湯を入れる。


「思ったよりも完成度が高いね。豆腐もインスタントのお味噌汁を思い出すよ」


「不味くはないのねぇ。ただ、味噌汁が食べたくなる味なのねぇ」


「塩の代わりに味噌を入れれば味噌汁だもんな。でも、凄くないか? 異世界にインスタントスープが生まれた瞬間に立ち会えたんだぞ」


 海岸では試作したインスタントスープに喜ぶケットシーや人魚たちの姿があり、最初は否定していたミケーラとミッケルもわかめスープを口にしながら喜んでいる。


「お湯を入れて三分待つだけでこの完成度は驚くのメェ。具や味を変えればもっと美味しいものが作れそうなのメェ」


「これは海の味がするの。マモルは凄いの」


 手乗り羊メイドと海龍幼女。


「ガツンと噛み応えのある肉を入れると、もっと美味しくなる気がするのだけれど」


 少しだけ痩せた気がする豊満天龍からのアドバイスに無茶をいわないでほしいと思いながらも愛想笑いで乗り切り、概ね好評なインスタントスープの出来に胸を撫で下ろすマモル。


「お肉で思い出したのだけれど」


 インスタントスープを飲み終えた豊満天龍がおかわりがしたいという視線を粉末パウダーに向けながら口を開く。


「オークの国に新たなダンジョンが生まれたわ」


「ダンジョンですか?」


「ええ、しかも、以前からあったダンジョンと繋がって巨大なダンジョンになったみたいなの。光や風の精霊が教えてくれたのよ。マモルはダンジョンには行かないのかしら?」


 ダンジョンと聞きゲームでよくある通路を進みモンスターを倒してお宝を得るシーンを思い浮かべつつも、オークの村やゴブリンの国で怪しい商売をしていたオークの商人を思い出す。


「呪われた装飾品や魔法具とかが手に入るのですよね」


「ええ、その認識で間違いないわね。他にも金銀財宝や珍しい鉱物に医薬や錬金術の素材も手に入るわ。その中には珍しい食材や未知なる香辛料に調味料も手に入るらしいわよ」


 豊満天龍の言葉に違和感を覚えたマモルが聞き返そうと口を開く前にエルエルから言葉が飛ぶ。


「これは罠なのねぇ。マモルをダンジョンへ誘うための罠なのねぇ」


「ぎ、ギクッ!? わ、わわわわ、罠なんて失礼ですわ! 罠ではなく創造の女神カルアミールさまと天使長さまから圧を受け、渋々ダンジョンの情報を与えて少しでも足を向けやすくしただけで、罠などではないのすわ! 


 そもそもダンジョンなどあのワイバーンが倒せる実力があればお遊びもいいところ。しかも、エルエルさまというヤベー天使が一緒に行動しているのであれば問題どころかダンジョンの方を心配しますわ!」


 長々と素直に自分の心の内を語った天龍。それを見て青ざめる海龍幼女。他の古龍種が一緒にいても同じような顔色になっただろう。


「天使長が絡んでそうだとは思っていたけど、創造の女神カルアミールさままで絡んでいるとか罠でしかないのねぇ」


「罠というか、何かしら思うところがあるんじゃないか? その報酬として未知なる香辛料とか調味料って言葉を濁したんだと思うし」


「そ、そうだと思いますわ! オークの国のダンジョンへ行くべきですわ!」


 フルフルと震えながら若干涙目になる豊満天龍。エルエルをヤベー天使といったことについては触れずにマモルが口を開く。


「そうなると来た道を戻った方がいいのかな?」


 オークの村から始まり、ゴブリンの渓谷に向かいドワーフの国。森を抜けラミアの集落から海沿いのケットシーの村へとたどり着いたマモル。長い距離を進んできたなと振り返りながら出会った人たちの顔を思い浮かべる。


「オークの国へ行くのならラミアの森を西に抜けると早いですよ。大きな池があってその先がオークの国です」


「湖を迂回すると二、三日掛かるけどマモルなら空をビューンと飛べるのにゃ」


 ラミアのミランダとミケーラの助言に感謝しつつ今後の予定が完全にオークの国のダンジョンに決まり心底ほっとしている豊満天龍が視界に入る。


「次はダンジョンへ行くにして、ヤベー天使である我ことエルエルについて話し合いがしたいのねぇ」


「ヒィ!?」 


 悲鳴が砂浜に響きケットシーや魚人たちの視線が集まりフワフワと浮きながら豊満天龍との間合いが徐々に詰まり、ゆっくりと後退していた天龍は一瞬にして光に包まれ空へと逃げ、エルエルもその姿を元に戻し美少女天使が空へと舞い上がる。


「ヒィィィィィ!!! 悪いのは女神さまやあなたの上司なのにぃぃぃぃ!!!」


 叫びながら逃げる天龍。


「今夜は天龍の刺身なのねぇ!」


 目を吊り上げ追う天使。


「立つ鳥跡を濁さずとかあるけど……はぁ……」


 キラキラと目立つ追い駆けっこを見ながら大きくため息を吐くマモルであった。





 これにて四章は終了です。 数日間ほど投稿が遅れますが待っていただけたら幸いです。

お読み頂きありがとうございます。

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