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宴会


 精霊炉が復活したこともありお祭り騒ぎのドワーフたち。国王であるドドランダはマモルや精霊王ツムギたちを連れ日の落ちた城へと再度案内して感謝の宴がはじまる。


「ワイバーンの討伐に加え精霊炉の復活! 我らドワーフの悲願だった精霊炉の復活した今! 深い感謝を捧げ、今日という日は祝日に! 精霊炉の復活の日に制定する!」


 ドドランダ国王が叫び、家臣ドワーフたちは酒瓶を片手に叫びともに喜びの声を上げ、羊のメイドが手を払うと当然のように精霊王のツムギのまわりの音が消され静かになり、案内された城の大宴会場には多くの料理が並び興味深げに見つめるマモル。

 大宴会場では基本的にビッフェ方式で自身かその家臣やメイドが料理を取りに向かうのだが、ワイバーンを討伐し精霊王のツムギを連れてきた本日の主役であるマモルは上座に席に着き料理が並ぶ場所までは遠いこともあってか皿には多くの料理が盛り付けられ、エルエルは国王であるドドランダが叫ぶ前から料理を口に入れ、天使長と羊メイドも同じように味を確かめている。


「豆料理が多いようですが少し喉につかえるというか、引っかかるというか、あまり口に合わないですね」


「この塩辛い肉は美味しいのねぇ。酒との相性がいいのねぇ」


「炒った豆は口にあるのメェ。ポリポリとしていて豆の香りが心地よいのメェ」


 皿には多くの品目が盛り付けられ目を引くのはドワーフたちの主食である豆を使った料理。柔らかく肉と煮込まれていたり、そのまま食べられるよう炒られ塩を振られていたり、スパイスを複数使い辛く仕上げられた料理が並んでいる。他にも干し肉や燻製された魚なども多くありどれも塩辛い味が多く酒が進む味付けになっている。


「どの料理もパンチがあって飲み物が欲しくなりますね……」


 ドドランダ国王の演説が終わり料理に口を付け始めるマモル。その横では干し肉を齧り顔を歪める精霊王のツムギ。どうやら口には合わなかったようで他の料理にも手を付けずマモルへと視線を向ける。


「精霊王さまの口には合いませんでしたか?」


「うん、美味しくない! しょっぱい! 甘いのがいい!」


 見た目が五才ほどの赤髪の少女らしい感想を口にし、それを聞いたメイドたちが動き出す。マモルが困った表情を浮かべると同時に運び込まれた特別な料理からは甘い花の香が立ち込め、王妃や女性たちが座っている席が騒めきすぐに同じ料理が女性たちの下へと運ばれる。


「フルーツなの!」


 キラキラした瞳を向けた皿には多くの皮が向かれた果実が並び、少し前にマモルが購入したラミアたちがドワーフの国に持ち込み売っていたそれが色取り取りにカットされ、器用な飾り切りにされた花や鳥に龍など美しい一皿になっている。


「花に鳥に龍の形をしてますメェ」


「飾り包丁と呼ばれる技術です。ドワーフが作る刃物はどれも一級品であるという証明になればとコックたちが鍛錬を重ねた結果でもあります」


 マモルたちについているドワーフのメイドからの説明に満足気に頷く羊メイド。天使長も完成度の高い飾り切りに目を引かれ注意深く見つめ、マモルも波打つように体をくねらせる龍の飾り切りを見つめ感心したように食べる手を止め、それを前にした精霊王のツムギは飾り切りがもったいないと感じたのかそれらをよけて普通にカットされたフルーツを口に入れ満面の笑みを浮かべる。


「あまふてぇ美味しいのですぅ」


「ちゃんとモグモグごっくんしてから喋らないとダメですメェ」


「はーい! あむあむ」


 羊のメイドからの注意を素直に受けフルーツを食べ始める精霊王のツムギ。 精霊王という精霊たちの王にしては幼過ぎるという疑問をどのタイミングで口にしようか迷っていると、国王と宰相の二人がグラスを片手にマモルの前へと現れ一礼して口を開く。


「この度は本当に世話になった。我らドワーフたちの悲願を叶えてくださり感謝してもし足りぬぐらいだ」


「ワイバーンの討伐で貿易が可能となり、その貿易の目玉になるだろうミスリルやオリハルコンを使った武具。精霊炉の復活がなければこの国は他の国と対等に貿易できるかどうか……本当に感謝しております」


 深々と頭を下げる国王と宰相に気まずいマモルは話を変えようと指輪型のアイテムボックスを起動して、自身の身長よりも大きなクリスタルリザードの角を取り出し倒れないように支えるとドワーフたちの視線が一斉に集まる。


「壊れた雷王の斧に使われているのと同じクリスタルリザードの角です。友好の証にこれをドワーフの国へ送りますのでもう一度雷王の斧を制作してはどうでしょうか?」


 マモルがクリスタルリザードの角を持っているのはドワーフの使節団から伝わってはいたがそれを無償で提供するという提案を前にあんぐりと口を開けたまま固まる国王と宰相。他のテーブルで食事をしていたドワーフたちも急に現れたクリスタルリザードの角へ視線を集めており、その提案にあんぐりと口を開けたまま固まり更なる気まずさを味わるマモル。


「あの~我にも果物盛り合わせが欲しいのねぇ」


 静まり返った宴会場に空気の読めないエルエルの声だけが通るのであった。





 お読み頂きありがとうございます。

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