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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者:
第二章 ゴブリンの王国
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ドワーフの国へ


「この馬は本当に力強くタフで大きいですね」


「おお、わかるか!」


「軍馬にも採用され、鉱石を引くのにも使われておるぞ!」


「元々は魔物だったが長い時間をかけ交配させ、我らドワーフの誇りの一つであるグレートフォースだ!」


 羊の倍はある車高と重量からでる迫力はひと睨みで角のあるウサギの魔物を退かせ、風を切り草原を駆けて行く。


「グハハハハ! 我らがグレートフォースもワイバーン討伐を喜んでおるぞ!」


「マモル殿が討伐したワイバーンはこの平原の支配者!」


「これからは新たな支配者がでないよう国同士が連絡を取り合い対策を取るぞ!」


「メェェェェェェ!」


「この子も気持ちよく走れて嬉しいみたいです」


 盛大にゴブリンたちから送り出されたマモルはゴブリンライダーのランエボラとグレートフォースに乗るドワーフたちと共に羊に乗りドワーフの国を目指している。どこまでも続く平原には群れを成す草食の魔物や、木々に擬態した魔物にその木の幹よりも太い蛇型の魔物が姿を見せるが、羊と馬の速度についてこられるものはなく追う素振りすら見せずあまり関心がないように見える。


「この辺りは魔物たちもワイバーンが討伐されたのを感じ取っておるのだろう」


「巣穴から出て次の強者になりえるものを見極めておるのかもしれんな」


「マモル殿! 東に見える赤い山が見えるか! まだ小さいが近づけば雄大な鉄の埋まる山々だ!」


 マモルの視界にはまだまだ遠く見える赤い山々。雲がない青空の下くっきりと見えたそれはドワーフの王国の入口。鉄の門と称される鉄の生産地にして加工技術の最先端であるドワナプラ王国であった。


「鉄を多く含んでいるから山が赤いのですか?」


「その通りだ!」


「鉄は水と反応すると赤く脆くなる!」


「だが水と相性の悪い油で丁寧に手入れすればサビることはない!」


 速度を落とさず会話を続け羊たちの疲れに気が付いたランエボラが声をかける。


「すまぬが少し休憩を!」


 皆でゆっくりとスピードを落とし魔物の気配に警戒しながら小川の近くへと歩き、エルエルがふわふわと浮きながらもまわりに目を走らせバシャリと水面が跳ねる。


「こいつ神聖なる我を一飲みにしようとしたのねぇ」


 ぬいぐるみ状の体がひらりと揺らぎ下から襲い来る顎を躱し、現れる巨大な魔物。口だけでもエルエルよりも遥かに大きく体長も十メートルに届く大きさで、特徴的なのはギラリとした瞳が三つありその背には巨大で頑丈そうな甲羅。


「デビルアイだ!」


「額の瞳を見過ぎるな!」


「催眠効果があるぞ!」


 ドワーフたちは素早く注意事項を叫ぶと背負っているバトルアックスを手にする。が、そこへ雷鳴が轟く。


「晴れておるのに雷が……」


「魔法なのか!?」


「雷王の斧でもないのに……」


 数発の白い雷撃が降り注ぎ煙を上げるデビルアイと呼ばれた巨大な亀の魔物は上げていた首が地面に落ち絶命する。

 小川のまわりは泥濘ぬかるみが少なくかわりに小石が多いこともあり気を付けながら素早く近づき指輪のアイテムボックスを起動して収納すると目を丸めるドワーフたち。ランエボラは同じようにワイバーンを回収したこともあってか驚くことはなかったが顔を引きつらせ、聖属性の雷撃の魔法を放ったエルエルはドヤ顔でゆっくりとマモルの頭の上に着地する。


「我を崇めても良いのねぇ」


 短い両腕を上げポーズを取るエルエルにイラっとしながらも小川の様子を確認し、どうやら先ほどのデビルアイがこの辺りの縄張りにしていたのか魔物の姿はなく羊とグレートフォースを休ませ水を与える一同。


「我を崇めても、」


「崇めるよりも昼食にしない? 皆さんもどうですか?」


 そう口にしながらも小川の端を平らにならし鍋を置く場所を作り、指輪のアイテムボックスを起動して湯気を上げる鍋を取り出す。


「俺たちもいいのか」


「英雄殿は気前がいいな!」


「もう良い香りがしてきたぞ!」


 大きな鍋を囲みマモルが器に入れると味噌の香りが辺りを包みエルエルは上から鍋の中身を覗き込む。大きな鍋にはたくさんの具材と一口サイズに切り分けられたカニやエビにワイバーンのモモ肉のぶつ切りが浮かぶ味噌味の寄せ鍋であった。


「熱いので注意して下さいね」


「おお、美味そうだ!」


「エビやカニが入って豪華だぞ!」


「朝もいろいろと食べさせて貰ったが楽しみだ!」


 熱々の寄せ鍋をフォークで口に入れるドワーフたち。案内役として同行しているランエボラやエルエルも口にするとその表情を蕩けさせ自然と表情が緩む。


「エビの身やカニの身が美味いのは理解できるがワイバーンも美味いのだな」


「我らの空を苦しめてきたワイバーンの身がホロホロと口の中で崩れるわい」


「味噌といったか、この味付けも良いの!」


「体も温まるのねぇ」


 皆で寄せ鍋を口にしながら目前に迫るドワーフの王国に期待を膨らませるマモルであった。





 次からはドワーフの国になります。 数日開くかもしませんが読んでいただけたら嬉しいです。


 お読み頂きありがとうございます。

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